先週発表になった米国の経済データが何れも市場予想を上回り、俄かに顕著となった“FRB.による早期利上げペースのスロー・ダウン。”への期待は薄れて長期金利は上昇してドルもつれ高となった。
先ずは火付けとなった2月3日に発表になった1月の雇用統計であるが、非農業部門雇用者数が前月の+26万人、市場予想の+18.5万人から驚きの+51.7万人となり、失業率も前月の3.5%、市場予想の3.6%を下回る3.4%へと好転した。
そして先週発表になった重要指標は以下の様に何れも前月、そして市場予想を上回って米国経済の力強さを示すこととなった。
懸念の物価指数も消費者物価指数は前年比では6.5%から6.4%へと下げ基調が続いてるものの、前月比では0.1%から0.5%へ上昇し、また卸売物価も同じく前年同月比では6.5%から6.0%へと下落したが前月比では-0.2%から+0.7%へと大きく上昇した。
これらの数字を見て米国10年債利回りは3.6%台から一時は3.9%台へと大きく上昇し、ドル・円相場も金利上昇につれて前週の129円台から135円台へと大きく上昇することとなった。
FRB.高官や地区連銀総裁からは相次いでタカ派的(金融引き締めに積極的)発言が出されて、次回のFOMC.(3月21日~22日)では再び0.5%の引き上げ(前回2月のFOMC.では利上げ幅は0.25%に留まった。)が必要であるとの意見も聞かれた。
次期日銀総裁として政府から推された植田和夫氏は24日の国会での所信聴取を前にして沈黙を保っているが、記者団を前にしての“学者らしく色々な判断を論理的に行い、説明を分かり易くする。”との談話から推察するに、24日は市場に分かり易い言葉で所信を表明されるのであろうが、その後の議員との質疑応答が極めて注目される。
議員からは“どうやって黒田体制(アベノミクス)からの脱却を図るのか?”とか具体的に“何時ゼロ金利や市場に評判の悪いイールド・カーブ・コントロール政策を止めるのか?”などの質問が出るのは必定と思われるが、その答え次第では市場は大荒れになる可能性が有る。
現在市場は“大きな変化無し。”と読んでおり、市場が論理的な判断をタカ派的なものと受け取れば債券売り&円買いが進む可能性は高かろう。
円に対してあれだけ強気であった海外の投機筋は現在は鳴りを潜め、植田新総裁のその“論理手な説明。”を理解しようと満を持している感が有る。
海外勢は1月に最大規模の日本国債を売り越したがその手を緩める気は無い。
日本国債売り&円買いの意欲は衰えていないのが現状だ。
テクニカル上は131.80のレジスタンス(上値抵抗線)を上切って、次のターゲットは137.50と言われているが、ドル・ロングでいることは“植田新日銀総裁の論理的説明。”と言う時限爆弾を抱えながらのポジショニングと言う事になるのかも知れない
FRB.が利上げを続け、日銀新体制の戦略が分かるまではドル・円は上がるであろうと思っていたのにも拘わらずここ数週間の上げ相場で何も出来なかったことは残念だが、別に悔しいとも思わない。
次の大きな下げ相場の時(FRB.が利上げを止め、日銀が金融緩和政策を止める時?)に上手く乗れれば良しとしよう。
今週のテクニカル分析の見立ては上値志向が続き、135.50を上切ったら次は137.50狙い。
下は130.50迄サポート(下値支持線)無し。