先週のドル・円相場は前週までの、週に4~5円動くVolatile.(変動率が大きい。)な相場から一変して高値131.12、安値129.02と言う値幅2円10銭の130円を中心とした割合大人しいレンジ相場に終始した。
1月の4週間の高値が徐々に切り下がっているのが良く分かる。
同時に安値は第3週の127.23をボトムにして徐々に切り上がっており(今週は月曜日の午後1時現在で安値は129.57である。)、これらを一目で見ることの出来るドル・円の週足チャート見ると何方か(果たして135円方向か、それとも125円方向か?)一方に動きそうな気がしないでもない。
(2022年1月からのドル・円・週足・ローソク足・チャート)
問題は果たして何方の方向に行くのかであるが、海外の投機筋の短期プレーヤーは依然としてドル安&円高方向(125円?)を見ているが、ファンダメンタルズを重視する本邦の中長期プレーヤーはドル高&円安(135円?)を見る向きが多い。
と此処までこのレポートを書いている午後1時過ぎに突然ドル・円相場が129.30まで急落した。
どうやら一部通信社が報じた、“「令和国民会議」(令和臨調)は30日、政府・日銀が2013年にまとめた共同声明(アコード)の見直しを提言した。”と言うニュースに海外勢がドル売り&円買いで反応したらしい。
共同声明の見直し=金融緩和政策からの脱却=金利上昇=円高の発想であろうか?
実はこれが正しく海外勢の描くシナリオである。
個人的にはこの動きは“はしゃぎ過ぎ。”と言う感じがするが、減ったとは言え一部の市場参加者(数字で見えるシカゴ・IMM.や我が国個人投資家)は依然としてドルの買い持ちポジションを保持しており、何かが有れば(彼らが保持するポジションに不利なニュースなど)保持しているドルの買い持ちポジションの解消に走ってドル安&円高の方向に相場が走る可能性は高い。
因みにシカゴ・IMM.は1月24日現在で約2万2千枚の円の売り持ち(ドル換算で21億ドルの買い持ち)を保持している。
そして我が国個人投資家は同じく1月24日付で8億ドルのドルの買い持ちポジションを保持している。
今週は1/31~2/1にFOMC.を控え、週末2/3には1月の米国雇用統計の発表が有る。
FOMC.では0.25%の利上げが市場のコンセンサスとなっているが、会議後のパウエルFRB.議長の記者会見が注目される。
パウエル議長から市場の過度な楽観をけん制する為に、更なる利上げが必要であることや、年内の利下げは想定していないといったタカ派的な発言が聞かれる様であれば長期金利は上昇し、ドル・円相場もそれにつられて上がる可能性は大きい。
逆に景気減速を懸念して利上げペースのスローダウンの正当性について触れたりしてこれまでのタカ派的な発言のトーンに微妙な変化が見られるようなら、米長期金利の低下と共にドル安が加速する可能性がある。
言い換えればドル・円相場は上下どちらにも行く可能性が有り、ポジション管理には気を付けたい。
今週のテクニカル分析の見立ては129.50円を中心としたレンジ取引を想定。
上下の何れか(127.50~131.50)がブレークすると126円或いは133円までオーバー・シュートすることも有り得る。