“波乱の年か、それとも予想通りとなるか?”

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明けましておめでとう御座います。
本年も宜しくお願い致します。


年始恒例の日経ヴェリタスの新年号に掲載された計66名の為替、株、債券ストラタジストやファンド・マネージャーの2023年のドル・円相場の安値・高値、そしてその時期の予想の集計を行ってみた。

安値の平均は122.09で最安値は110円、高値の平均は141.89で最高値は160円であった。



安値を付ける時期の予想はばらけるが、12月が圧倒的多数であった。
高値を付ける時期は1月と3月が同点で2月がそれに続き、74%の参加者がドルは1月から3月の間に高値を付けると予想する。



これらの結果をまとめると、
ー今年は日米金利差縮小を意識して年初にドル高&円安傾向が続き,年末に掛けてドル安&円高が進行する。
ーFRB.による本格的な金融引き締め停止,そして金融緩和への移行の時期,そして日銀による緩和政策から本格的な脱却について確信が持てず,ドル安&円高の底の時期が掴み切れない。
ー大まかなレンジは122円~142円で、オーバーシュートすると下は110円、上は160円を見る人が居る。
であろうか?

僭越ながら塾長の個人的意見も似た様なものであるが、この日経ヴェリタスのアンケートが実施されたのが12月22日前後という事であの12月20日の“日銀の変。”=(市場の意表を突く突然の0.25%から0.50%へのイールド・カーブ・コントロール幅の拡大。)でドル・円相場が137円台から130円台へと急落した直後であった為、ドル安&円高方向へのバイアスが掛かり過ぎているきらいがあるかも知れない。

今年に入ってからいきなり日経新聞が1月3日に“日銀が1月の金融政策決定会合で物価見通しを引き上げる方針。”との観測記事を掲げてドル・円相場は一時129.51の安値を付ける場面が有ったが、その後米国長期金利上昇に伴って徐々に値を戻して134.77の高値を付け
た後に、市場予想を下回った12月米国ISM.製造業購買担当者景況指数や雇用統計の数字を受けて再び131円台へと反落している。

ドル・円相場は今年に入ってからたった1週間で凡そ5円の値幅で動いており、中々のボラティリティーである。

今年は何といっても日米金利差の行方、言い換えればFRB.と日銀の金融政策の行方がドル・円相場の動きに大きな影響を与えそうであるが、両者の市場に対するスタンスの違いが市場参加者を苦しめそうである。

FRB.は市場を驚かすことを極端に嫌い、最近はウォールストリート・ジャーナルの一記者を上手く使って事前に観測記事を書かせて市場の反応を見て政策決定をする傾向が有る様に思われれる。
我々はこの手法をMarket friendly.(市場に友好的)と評価する。

片や日銀は12月20日もそうであったが、“青天の霹靂。”の決定をやってのける。
我々はこの手法をMarket unfriendly.(市場に非友好的)と揶揄する。

驚いたことに、つい数ヶ月前までは“イールド・カーブ・コントロール幅の拡大は事実上の利上げを意味するので、微塵も考えていない。”と言っていた黒田日銀総裁が、決定後は“イールド・カーブ・コントロール幅の拡大は利上げを意味するものではなく、必要とあらば躊躇なく緩和政策を遂行する。”と堂々と仰る。

良く分からない。

海外の参加者、特にヘッジ・ファンドなどの投機筋は“中央銀行ネタ。”が殊の外好きで、今回の日銀の変にも興奮し、これからもあたかも他の中央銀行と同様に“どんどん引き締め政策を打ち出してくる!”と期待している。

1月3日の日経新聞の記事に対してのオーバー・リアクションで129.51迄売り込んだのも彼等だ。
(但し、逃げ足も速いが…)

“日銀はこれ以上中々金利は上げられないよ。”と諭しても聞く耳を持たない。

彼らが渋々納得したらドル・円相場は市場が予想する高値の140円台への回復が有るのではなかろうか?

そしてその後は米国景気後退、利下げの可能性を探りながら今度は市場が予想する安値の120円台へ向かうのかと思っている。



今週のテクニカル分析の見立ては短期的な上昇をこなしながら134円を超えない限り、更なる下落を予想。

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