執筆：外為どっとコム総合研究所 小野 直人
目次
執筆日時 2022年12月2日 17時40分
セリングクライマックス後を狙う、円安環境は変わっていない
11月28日週のドル/円は大幅下落
米国の利上げペース減速観測のほか、さえない製造業景況感から米国の成長不安が重しになり、米ドル全面安となりました。米ドル/円は、月末のロンドンフィキシングにかけて139.894円まで上昇したものの、その後は戻り売りに押されて133円半ばと8月中旬以来の水準まで下げました。（各レート水準は執筆時点のもの）
※相場動向については、外為どっとコム総研のTEAMハロンズが配信している番組でも解説しています。
FX、 新興国の一角が揃って下落、ドルもさえない。米FRB議長はハト派一辺倒でない（2022年12月01日)- YouTube
米ドル高材料が大幅後退
来週は12/5(月)に米国11月ISM非製造業景況指数、12/9(金)に同11月卸売物価指数（PPI）が発表されます。雇用統計やFOMCよりは市場の関心は低いですが、景気減速とインフレ鈍化が直近の為替相場の原動力となっているため、これらの指標も無視できそうにありません。個人消費の底堅さが確認できたため、ISM非製造業景況指数も大幅悪化にはなりづらいと考えますが、10月の結果が2020年6月以来の低水準となる54.4へ落ち込んでいるため、さらに低下してくれば米経済に対する不安が高まりそうです。さらに、物価動向の先行指標と目されるPPIも低下すれば、インフレ鈍化が広がり米ドル安目線が一層強まるかもしれません。これまでFRBの積極的引き締めと、日銀の大規模緩和の両輪で上昇してきた米ドル/円ですが、その片輪が外れて失速しやすくなっているのは間違いありません。
しばらくは、米ドルの持ち高調整がどこで止むか見守る時間なのかもしれません。ただ、円の内部要因は大きく変わっていないとの指摘もあります。9月の輸入物価が前年比で48.0%、前月比ベースで4.7％と高騰するなど、貿易赤字拡大の不安が燻っている日本においては、今後も円の頭を抑える材料として意識されます。また、日米金利差が縮小してくるようなら、日銀の大規模金融緩和拡大に余力が生まれると見ることもでき、このまま円高が進むかは微妙です。今年の円は対米ドルで約37円程度下げて、そこから17円近く戻していることを考えると、この先の円高は慎重に見極める必要がありそうです。セリングクライマックス後のあく抜けを期待して、今は余力を残しておきたい局面と考えます。
200日線下抜けで下目線想起だが、やり過ぎ感も強い
米ドル/円は、中期のサポートラインとみられる200日線付近を下抜けて133円台まで突っ込み気味に売り込まれています。200日線を割り込んできたため、年初の安値からの上昇幅の50％押しに当たる132.700円近辺が次の節目になりそうですが、さらにここを抜けるようだと、8月2日安値の130.382円が意識されてきます。もっとも、さすがにやり過ぎ感はありますので、132.700円付近からは下げ渋り感も徐々に高まると見られ、丁寧に下値を拾いたいです。
【米ドル/円チャート 日足】
出所:外為どっとコム「外貨ネクストネオ」
予想レンジ：USD/JPY：130.300-137.500
12/5 週のイベント:
12/5(月) 23:45 米国 11月サービス部門購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
12/5(月) 23:45 米国 11月総合購買担当者景気指数（ＰＭＩ、改定値）
12/5(月) 24:00:00 米国 11月ＩＳＭ非製造業景況指数（総合）
12/5(月) 24:00:00 米国 10月製造業新規受注
12/6(火) 8:30 日本 10月全世帯家計調査・消費支出
12/6(火) 8:30 日本 10月毎月勤労統計調査-現金給与総額
12/6(火) 22:30 米国 10月貿易収支
12/7(水) 14:00 日本 10月景気先行指数（ＣＩ）・速報値
12/7(水) 14:00 日本 10月景気一致指数（ＣＩ）・速報値
12/7(水) 22:30 米国 7-9月期四半期非農業部門労働生産性・改定値
12/8(木) 8:50 日本 10月国際収支
12/8(木) 8:50 日本 7-9月期四半期実質国内総生産（ＧＤＰ、改定値）
12/8(木) 14:00 日本 11月景気ウオッチャー調査
12/8(木) 22:30 米国 新規失業保険申請件数
12/9(金) 22:30 米国 11月卸売物価指数（ＰＰＩ）
12/9(金) 24:00:00 米国 12月ミシガン大学消費者態度指数・速報値
一言コメント
外為どっとコム総合研究所のTEAMハロンズ（＠TeamHallons） が平日毎日21時よりライブ配信しています。番組では、注目材料の紹介、テクニカル分析でエントリーポイントや利食い・損切りポイントを解説し、実際にリアルトレードも行っています。ご興味のある方は、一度、こちらにアクセスしてみてください。
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