総括
FX「対ドルでは弱いが、12通貨全体ではバスケット制度で安定推移」人民元見通し
(通貨5位(6位)、株価10位(9位))
予想レンジ 人民元/円 20.20-20.70
(ポイント)
*中国市場は国慶節で今週は休場、香港市場は10月4日のみ休場
*共産党大会、10月16日から開催、習氏の権限強化か
*日中国交正常化50周年だが、あまり盛り上がっていない
*9月製造業PMIは、マチマチ
*2Q・経常収支は775億ドルの黒字
*消費者物価は2%台で安定
*外交ではロシアのように完全に敵対的ではない
*22年実質成長率、2.8%に下方修正 世界銀行
*8月の鉱工業生産や小売売上高は改善
*ロシア産原油を大量購入
*バイデン米大統領は、米軍が台湾を防衛と発言
*王毅外相は、米中対話の必要性を訴えた
*景気減速で景気対策打ち出す
*米国は中国からの輸入品に対する制裁関税措置を継続
(対ドルで人民元買い介入か)
人民元は9月末で年初来で対ドルで12.26%安、対円で12.06%高で、12通貨中では5位。まずまずの順位であるが、対ドルで弱いので、中国国内では人民元安の声も出ている。日本円の安さから見ればたいしたことはないと思うがやや神経質だ。人民銀行は人民元の下落を食い止めるため、主要な国有銀行に対し、オフショア市場で元を買ってドルを売る準備をするよう指示したようだ。国有銀行は、香港、ニューヨーク、ロンドンを含む海外支店でオフショア人民元の保有状況を点検し、ドル売りの準備をするよう指示されたという。元は今年、対ドルで1994年以降で最大の年間下落率を記録する勢いだが、一斉の元買い・ドル売りが元相場を下支えする可能性がある。今回のドル売りの規模はかなり大きくなるようだ。人民銀はコメント要請に応じていない。
(9月製造業PMIは)
9月の製造業PMIは50.1。大都市での厳格な新型コロナウイルス規制や輸出の減速にもかかわらず、景況改善・悪化の分岐点となる50を3カ月ぶりに上回った。8月は49.4。一方、9月の財新製造業PMIは48.1と前月の49.5から低下し、一段の景況悪化を示した。政府版のPMIとは異なった数字が出た。
(2Q・経常収支は)
2Q・経常収支は775億ドルの黒字。1Qの889億ドルから減少した。22年上半期で1664億ドルの黒字となった。前年同期の1164億ドルの黒字から43%増加した。配当、利払いなどの第一次所得収支は1290億ドルの赤字、第二次所得収支は110億ドルの黒字となった。
(景気対策を李克強首相が語る)
ゼロコロナ政策で人為的に経済が減速しているのは確かだ。李克強首相は、経済成長が伸び悩む中、景気回復を強固にするべく取り組む方針を示した。建国73周年記念に向けた祝賀行事での発言で首相は「現在、中国は依然として多くの困難と問題に直面している。経済安定化に向けた様々な政策を効果的に実施し、経済回復の基礎を固めるため時間を無駄にしないようにすべきだ」と語った。
中国政府はここ数カ月、景気浮揚政策を次々と打ち出している。しかし、厳しい新型コロナウイルス対策の継続と不動産市況の低迷を受け、回復はまだごく途上にある。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン2σ上限から下限へ下落
日足、2σ下限から反発し中位超え。9月22日、28日の長い下ヒゲも効いた。雲の上。10月4日-5日の上昇ラインがサポートだが今日は下抜きか。9月13日-10月5日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き、20日線下向く。
週足、ボリバン2σ上限から反落も中位で反発。9月12日週-10月3日週の下降ラインが上値抵抗となるか。8月1日週-9月26日週の上昇ラインがサポート。
月足、8月の下ヒゲの長い陽線で9月はボリバン2σ上限に達す。そこからは小康。7月-8月の下降ラインを上抜く。6月-8月の上昇ラインがサポート。
年足、21年は大陽線。20年-21年の上昇ラインがサポート。15年-21年の下降ラインを上抜いて22年スタート、ここまで陽線。
チーファンラマ
10月16日は共産党大会、習氏へ権力集中か
10月16日の中国共産党大会で、「党主席」の肩書が復活するかが焦点。習近平党総書記(国家主席)が就けば、「終身制」につながる。過度の権力集中への懸念から党内で慎重論も強い。
党主席は、毛沢東が1976年に亡くなるまで手放さなかったポスト。任期はない。当時の憲法には中国人民解放軍など「武装力量」を統率する統帥権があるとの規定もあった。
党主席は毛への権力集中と個人崇拝を後押しし、悲惨な文化大革命を招いたとの反省から、鄧小平が廃止した。このポストを復活させようとする動きは、鄧が敷いた政治の集団指導体制を改める総仕上げと受け止められている。
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