“米国経済先行きに不安?”

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FRB.による高インフレ下の急速な金融引き締めを織り込んで長期金利は大幅に上昇したが、投資家はその先の景気不安や利下げへの転換を意識し始めている。

ウォール・ストリートの幾つかの大手証券会社が米国景気後退の確率を来年が30%、そしてその後2年間は50%との予想を発表した。

急速な利上げが景気を冷やし過ぎる“オーバーキル”への警戒が強まり、先週は債券が買い戻されて長期金利は低下し、それを好感してニューヨーク株式市場3指数は週末に向けて大きく買い戻されることとなった。

一時戻り高値の136.71まで付けたドル・円相場は長期金利の低下に伴って安値134.27まで値を下げた。

(今年に入ってからの米国10年債利回り(赤い線)とドル・円相場(黒いローソク足)の動きのチャート。)

景気後退懸念⇒金利低下⇒ドル・円相場下落⇒株価上昇と言う動きとなった訳である。

市場はFRB.が7月も0.75%の大幅な利上げを行うと織り込んでいるが、日銀は相変わらず政策変更の必要性を認めようとせず、今朝発表になった日銀金融政策決定会合における主な意見(6月16-17日分)によると、
-急激な円安の進行は、先行きの不確実性を高め、企業による事業計画の策定を困難にするため、経済にマイナスに作用する。
-資源価格上昇と為替変動により、値上げ品目は拡がりをみせているが、前向きの循環のもとでの物価安定の目標が実現されたとはいえず、金融政策は現状維持が適当。
-足もとの物価上昇は、輸入価格上昇に伴う一時的なものであり、需給ギャップや予想インフレ率の動向を踏まえると、物価安定の目標の安定的な達成は難しい。
と円安の我が国経済に対するマイナス作用は認めたが、現状の物価上昇は日銀が考える正当な理由によるものではなく、昨年パウエルFRB.議長が執拗に主張した“現状の高いインフレは一過性のものである。”との誤った認識と極めて近い意見が述べられた。

昨今の我が国の多くの物品の猛烈な値上げラッシュを見ると、“違うんじゃないの?”と思うのは塾長だけであろうか?

一部に日銀が必死に利上げを拒否し、政策金利である短期金利のみならずイールドカーブ・コントロールにより長期金利までをも抑え込もうとしている理由に、長期金利が上昇すると日銀が保有する巨額の国債(凡そ800兆円くらいと言われているが、今月も巨額の買いオペを行っており、正確な数字が分からない。)に対する利払いが巨大化(単純計算で0.010%上昇すると8兆円の利払い負担増となる。)して評価損が発生するからだと言う意見が有る。

だから来年春、黒田総裁が辞任するまでは必死に世界とかけ離れた現状の緩和政策を続けて、後は次期の日銀執行部に委ねると言うものだ。

インフレを過小評価して利上げが遅れ、その結果として急速な利上げに踏み切り、利上げ開始からたった3ヶ月で景気後退懸念が始まったのが米国である。

頑なに利上げを拒否する日銀を中央銀行と抱く我が国経済はどうなるのだろうか?


ドル・円相場に関しては先週も述べた様に24年来の高値達成感と共に米国長期金利の頭打ちに留意したい。

依然として高値を追わず、下がったところを買うと言うBuy on dips.の戦略を続けたい。


今週のテクニカル分析の見立ては先週と同じく買われ過ぎを警戒しながらレンジ取引を想定。
上サイドは136.50、下サイドは133.50のブレークに注意。
何方かが切れたら137.50、或いは132.50へのトライも有り得る。

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