総括
FX「消費者物価は6.5%でインタゲ超え。次回利上げ幅拡大か」南アランド見通し
通貨2位、株価7位
予想レンジ 南アランド円 8.3-8.8
(ポイント)
*通貨番付はドルを抜いて2位へ復活
*5月消費者物価は6.5%とインタゲを上抜く
*追加利上げ観測が高まっている
*エスコムの計画停電は続く
*ラマポーザ大統領が刑事訴訟された
*ロシア産原油の輸入を計画している
*貿易・経常収支は黒字が継続
*1QのGDPは予想より強い
*政策金利を予想通り0.5%引き上げ、4.75%へ
*上海経済再開もランドを支えた
*失業率は35%と高い
*アフリカ開銀はアフリカ大陸でのスタグフレーションを示唆
(ドルを抜き返し2位へ浮上)
再び、南アランドはドルを抜き返し2位へ浮上した。年初来高値を付けた後、日本の三者(財務省、日銀、金融庁)の円安懸念声明で下落も、日銀総裁の金融緩和維持で反発、貿易黒字という基礎的ランド買い需要もあり反発した。
(5月消費者物価はインタゲ超えで追加利上げ観測高まる)
5月の消費者物価昇率は前年比6.5%で、予想を上回った。4月は5.9%だった。中銀の目標レンジ3-6%を上回った。中銀はインフレ対応で過去4会合連続で利上げを行っており、5月は2016年以来初めて05%の引き上げに踏み切った。インフレ高進はウクライナ情勢に関連した燃料・食品価格の上昇が主因。7月21日の政策金利予想は0.5%引き上げ5.25%の予想だが、引き上げ幅はこれを上回るかもしれない。
(懸念材料はエスコム社と大統領スキャンダル)
懸念材料は、国営電力会社エスコムが、賃金交渉の行き詰まりを受けた労働者の抗議行動により、電力供給の削減を拡大すると明らかにしたこと。週初から続けていた「ステージ2」の輪番停電を「ステージ4」に拡大し、最大4000メガワットの電力供給を削減する。エスコムは従業員への脅迫や発電所に通じる道路の封鎖が行われているが。こうした違法な脅迫行為が続いたり拡大したりすれば、電力供給が停止するリスクが高まると警告した。賃金交渉を解決する糸口を探っているとし、電力供給は必要不可欠なサービスであり、抗議行動は許されないと強調した。大統領の資産隠しの件もくすぶっている。
(南アの最低賃金)
南アの労働組合は、すべてのセクターで最低賃金を平準化するために政府と交渉している。政府は、2022年3月1日に南アフリカの最低賃金を更新した。通常の労働時間ごとに23.19ランド(約197円)に設定された金額は、2021年に設定された最低賃金から6.9%の増加に相当する。
例年とは異なり、特定の労働者グループには例外が設けられておらず、家事労働者と農業労働者の最低賃金も、計画された平準化の一環として働く通常の時間ごとに23.19ランドに設定されている。ただし、拡大された公共事業プログラムの一部として雇用されている労働者は、1時間あたりわずか12.75ランドだ。
テクニカル分析(ランド/円)
雲に入らず反発
日足、雲に入らず反発。ボリバン中位を越える。6月23日-24日の上昇ラインがサポート。6月9日-24日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、6月6日週の長い上ヒゲで下押すも6月13日週は下ヒゲを残す。先週はそれで反発。6月13日週-20日週の上昇ラインがサポート。6月6日週-20日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、6月は上昇スタートも3月、4月同様に上ヒゲが長い。3月-5月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限。
年足、21年はかろうじて陽線。22年も陽線スタート。18年-21年の下降ラインを上抜く。20年-21年の上昇ラインがサポート。
喜望峰
大統領が資産隠し?前大統領の盟友が告発
南アの法律では、外貨の取り扱いに厳しい制限がある。ズマ前大統領の盟友であり、元国家保安局トップのフレイザー氏は6月、牧場を所有するラマポーザ大統領が自宅からの最大400万ドルの盗難を隠蔽したと警察に告発した。この資金は狩猟用動物の販売に関連したものだとラマポーザ大統領は説明している。
ラマポーザ大統領は、20年に盗難被害にあったことを認め、被害は届け出たとしている。一方で、いかなる不正も否定しており、400万ドルという金額に異議を唱えているが、被害額はまだ明言していない。「汚職との闘いで失うものが最も大きい者たちが、われわれを引き下がらせようと、汚い手口や脅迫に訴えている」と語った。警察当局は現在、この主張について調査している。
今回のスキャンダルは、ラマポーザ大統領にとって重大な局面で明るみになった。南アフリカでは、24年の総選挙を控え、与党・アフリカ民族会議(ANC)は22年に党首を選出する。そうしたなかでのスキャンダルは「大統領としての信頼性を大きく損なう」と言われている。ラマポーザ大統領が再選されるという見通しは変わらないが、経済の停滞や頻発する計画停電に今回の疑惑が重なり、ANCは24年の選挙で、30年ぶりに過半数を失う可能性が高まっているとアナリストらはみている。
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