米債10年債利回りが先月付けた3.2%台から2.7%台へ下落したことを受けて、同じく先月付けた高値131.34から一時126.36まで下落したドル・円相場であるが、先週は米債10年債利回りの2.9%台への上昇を受けて130円台を回復し、戻し高値の131.34をも伺う勢いを見せている。
9週連続で奇麗な上昇を見せ、その後同じ様に奇麗なパターンを見せて下落していたドル・円相場は週の終値ベースで127.10から130.81へと3円71銭(凡そ3%)の急騰を見せた。
(年初からのドル・円・週足・ローソク足・チャート。)
先週もニューヨーク株式市場3指数は終値ベースでダウ、ナスダック、S&P.共に凡そ1%近く下落したが、株価が下落してリスク・オフとなって米国債券が買われ、その結果利回りが低下してドルが売られるという前週までの動きは見られなかった。
逆に株安、債券安(金利高)、そして対円ではドル高と言う動きとなったのである。
言い換えれば株式、債券、為替市場の相関関係が崩れて先行きの読みが甚だ難しくなったことにより、市場は“更なる日米金利差拡大”と言う原点に戻って行動したことがドル・円相場の大きな反転の引き金となったのかも知れない。
先週は一部のFRB.高官による9月以降の利上げに関しての慎重発言で市場は“FRB.は株価下落を考慮して、Less Hawkish.(タカ派的スタンスを緩める。)となるのではないか?”との憶測が広がり、木曜日にはニューヨーク株式市場3指数とも大きく値を戻したのだが、長期金利は下がらず、寧ろバイデン大統領とパウエルFRB.議長との会談では、秋の中間選挙を控えて支持率低迷に悩むバイデン大統領が、“株価はいいからインフレを何とかしろ!”とインフレ対策に釘を刺した感が有る。
週末金曜日に発表された5月の米国雇用統計データは失業率は変わらなかったものの非農業雇用者数は市場予想の+31万人を上回る+39万人となり、FRB.が早急にLess Hawkish.となる必要性は無いことを表した。
日本銀行は“全く動く気は無い。”なか、FRB.は粛々と利上げを進め、今月からバランス・シート縮小(QT.)を開始する。
ドル・円相場の131円台から126円台への下落は更なる上昇への程良い調整であったのかも知れない。
先々週までの4週間はAI.やアルゴリズムを駆使しての取引に長けるヘッジ・ファンドに翻弄された感は有るが、シカゴ・IMM.と我が国個人投資家は依然として高水準のドルの買い持ち(円の売り持ち)を保持している。
因みに、シカゴ・IMM.は5月31日時点でネットで94,439枚の円の売り持ち=(約93億ドル相当の買い持ち。)を保有しており、我が国個人投資家は約25億ドルのドルの買い持ちを保有している。
131円台から126円台へのドルの下落(円の上昇)を、ドルを買い増す(円を売り増す)良いチャンスと見てドル買い(円売り)を行うとは正に天晴れでありますな。
先週は126円~128円のレンジを想定する中、128円を超えたらドテンして買いに転じる様に見立てた、テクニカル分析の今週の見立ては、129円を下切るまでは買いポジションを保持。