“落ちるナイフを掴むな。”

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金融界の格言の一つに,“落ちるナイフを掴むな。” =(Don’t catch a falling knife.”)と言うのが有る。

意味するところは、“相場が落ちている時に自分の勝手な相場観で買うな。落ち切ったと思ったら買いなさい。さもないと痛い目に遭うよ。”である。

今のドル・円相場に当て嵌めると、“円が続落中に買おうとするな。円が底を打ったと思ったら買いなさい。”であろうか?

そして、そのドル・円相場が依然として上昇中である。(円が続落中である。)

今年に入ってからのドル・円相場の週足・ローソク足チャートを見ると、3月から9週連続で陽線(終値が始値よりも高い。)を示しており、今週も130.51で始まってお昼前後には131円近辺で取り引きされており、どうやら10週連続で陽線を示す可能性も有ろうか?

ドル・円相場の更なる続伸を促したのは先週開催されたFOMC.(連邦公開市場委員会)で政策金利であるフェデラル・ファンド・レートの誘導目標を22年ぶりとなる0.50%の大幅引き上げを行って0.75~1.00%にしたことと、6月からFRB.(連邦準備理事会)が保有する資産の縮小に着手すると決定されたことである。

日本時間5月5日午前3時に上の決定事項が発表されるとドル・円相場は130.37まで上昇したが、パウエル議長が記者からの“市場では0.75%の利上げの可能性も考えていたが。”との質問に対して,“FOMC.は0.75%の利上げは積極的に検討しているものではない。”と答えると米長期金利が急低下し、ドル・円相場は128.63まで急落してニューヨーク株式市場の3指数も大幅に値を戻した。

この動きは、市場がパウエル議長の発言に反応したと言うよりは、これまた金融界の格言にある、Buy on rumor, sell on fact.=(噂で買って、事実で売れ。)が起きたのである。

此方も言い換えれば,“次回のFOMC.で利上げは確実視されている。前もってドルを買っておこう。”(噂で買っておいて。)としてドルを買い、実際に利上げが行われるとドルが上がったところで利食いの売りを入れて(事実で売って。)一旦ドルの買い持ちポジションを縮小、或いは解消したのである。
そして其処がドル・円相場の先週の底値となり、同じく長期金利の底値、そしてニューヨーク株式市場の3指数の高値となった。

そしてこれらの動きが終わると市場は再びFOMC.での決定に敬意を表して、債券を売り(金利上昇)、ドルも上がり、株価は下がった。

後だしじゃんけんの誹りを受けるかも知れないが、先週のレポートで述べた様に、この様な動きを想定して、“基本的な戦略としては中長期的なドル上昇を期待してドル・ロングを保持しながら、下がったところでは買い増せるようなポジション、或いはリスク管理を行いたい。”と言う考えは変えていない。

今週は4月の米国消費者物価指数が発表され、3月の+8.5%と言う凡そ40年ぶりとなる高い数字から若干低い8.1%が予想されており、過熱気味のインフレ傾向が多少落ち着くかも知れない。

スピード違反気味のドル・円相場の上昇に歯止めが掛かり、ドル・円が下がる様であれば絶好の買い場となろうか?


今週のテクニカル分析の見立ては基本的には先週と同じ。
ドルの買われ過ぎを警戒しながらも129円を下切るまではドル・ロングを保持。


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