総括
FX「4月はここまで最強、株価は世界最強。通年でも弱い円を抜くか」トルコリラ見通し
(通貨最下位、株価首位)
予想レンジ トルコリラ/円 8.2-9.2
(ポイント)
*リラは4月ここまで最強通貨、株価は年初来35%高
*リラは年初来は最弱だが円を猛追している
*コロナ感染は大幅減少
*リラ特別預金増加でリラが安定
*ウクライナ危機の悪影響が市場ではない
*貿易・経常収支は赤字が続く
*インフレは61%だが*政策金利は14%で据え置かれた
*今週は消費者信頼感、中銀議事要旨、外貨準備高などの発表がある
*21年9月16日以来の雲の上
*S&Pは格下げを実施
*非居住者にも特別リラ預金制度適用
*トルコはロシアに経済制裁を課していない
*エルドアン政権が与党に有利な選挙制度改革を計画している
*主要食品の付加価値税を1%に引き下げ
*トルコ実業界はリラの対ドルレートを9から14の間で推移することを望む
(4月最強通貨、株価は年初来35%高)
年初来ではまだ最弱通貨だが、対円で13日連続陽線を続け、4月はここまで最強通貨だ。トルコにとって悪材料と見られたウクライナ紛争だが、リラ相場には影響していない。株価に至っては、世界最強で年初来35.13%高だ。
(トルコの弱点は改善していない)
トルコの弱点である貿易・経常赤字が改善しているわけでもない。昨年12月に設定された、為替差損保護つきリラ特別預金が増加して、リラの国外流出が収まっていることがある。また中銀が、輸出業者に義務付けられている中銀への外貨収入売却比率を25%から40%に引き上げることを検討しているとの報道もリラ買いを誘った。経済のファンダメンタルズではなく、政府の強権でリラが持ち直していることは否めない。
(増加するリラ特別預金がリラの下落を防止している)
リラ特別預金で外貨への逃避を防ぎリラ下落を防止している
(インフレ61%でも政策金利は据え置き)
政策金利についてはインフレ率が60%を超えているにも関わらず14%に据え置かれた。エルドアン大統領が輸出促進のために続けている異例の措置を市場も慣れてきているのでリラ相場への反応はなかった。
トルコの金融政策、為替政策を疑問視したS&Pは格付けを引き下げたが、今の所は強制的な為替政策でリラ相場が安定しているようだ。
(ネバティ財務相)
トルコのネバティ財務相は、インフレ加速は一時的な現象とし、当局はインフレ圧力を生じさせない融資を優先していると述べた。金利とリラ相場は投資や輸出、生産を支えられる適正水準に到達したと指摘した。
トルコのインフレ率は、昨年の通貨危機や国際エネルギー価格上昇で3月に61%に達した。4Qにベース効果で落ち着くまで、年内は高止まりが予想されている。
(今週は)
今週は消費者信頼感、中銀議事要旨、外貨準備高などの発表がある。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
13日連続陽線、週足は5週連続陽線
日足、雲の上に出る。ボリバン2σ上限近い。4月15日-18日の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限は8.7355日線上向き。20日線上向き。
週足、5週連続陽線。今週も陽線スタート。3月28日週-4月4日週の上昇ラインがサポート。21年11月15日週-12月20日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン中位上抜く。5週線上向く。
月足、21年12月-22年3月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ下限。21年9月-10月の下降ラインが上値抵抗。
年足、7年連続陰線。22年は寄り引き同時に近づいてきた。18年-21年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
コロナ最悪期脱出
トルコの1日あたり感染者数は2月に10万人に近づいたが、その後、急減し現在は5千人を下回っている。保健相は最悪の事態は過ぎ去ったと宣言し、マスク着用義務を廃止するなど感染対策を緩和した。
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