総括
FX「近隣国の紛争でトルコ大打撃。トルコは調停に奔走、需給悪化」トルコリラ見通し
通貨最下位、株価2位
予想レンジ トルコリラ/円 7.5-8.5
(ポイント)
*ロシア・ウクライナという近隣国の紛争はトルコに大打撃
*トルコはロシア貿易にルーブル、人民元、金を使用出来ると提案
*エルドアン大統領は和平協議実現へ奔走
*3月10日にロシア・ウクライナ外相会議がトルコで開催される
*ウクライナ危機でリラ下落時には介入実施か
*2月の消費者物価は54.44%上昇
*貿易・経常収支も拡大
*次回政策金利決定は3月17日
*21年GDPは11%成長、ただ22年は3.5%成長に減速か
*リラ預金増加、外貨預金減少
*ウクライナ危機での地政学的リスクはある
*フィッチが格下げ
*トルコの経済モデルは為替相場の安定ということでは進んでいる
*主要食品の付加価値税を1%に引き下げ
*トルコ実業界はリラの対ドルレートを9から14の間で推移することを望む
(速報 トルコ・ロシア貿易の通貨は)
エルドアン首相はプーチン大統領に、ユーロとドルに加えて、トルコとロシアの間の貿易はルーブル、人民元、金で行うことができると語った。
(トルコの近隣友好国同士の紛争で、大迷惑。リラ安)
2か月続いたリラの安定が崩れてきた。年初来対円で7.45%安、対ドルで7.82%安。ウクライナ危機で、貿易において、穀類はロシアとウクライナからの輸入がトルコ全体の63.9%(2020年)を占め、鉄鋼も24.8%と、その依存度は極めて高い。また、天然ガスは輸入全体の約3割をロシアに依存しており、一連の資源価格の大幅上昇は、すでに50%近い高水準にあるトルコのインフレ率に追い打ちをかけると懸念されている。トルコの主要輸出品目である繊維製品の輸出も伸びなければ赤字が拡大する。観光収入もロシア・ウクライナからで23%を占めているだけに、紛争後は大きく落ち込むだろう。苦しいのは、危機以前から貿易・経常収支が赤字が拡大している。さらに追い打ちをかけられる。
(急落時に介入実施か)
ただ世界がロシアとの貿易を断絶すれば、制裁を加えないトルコが出島的役割を果たせば思わぬ好結果が出る可能性は秘めている。安定した為替が下落したので政府はリラ買い介入を行っているようだ。外貨準備が減少している。また救いは株価であり、為替ほどの動揺はなく年初来7.16%と強いことだ。長期的なリラ安で製造業は恩恵を受けているのだろう。
(奔走、エルドアン大統領)
エルドアン大統領は3月6日、ロシアのプーチン大統領と電話会談し、ウクライナで停戦を宣言して和平合意を結ぶよう促した。
会談は1時間にわたり行われ、トルコ大統領府が発表した声明によると、エルドアン氏はトルコが紛争の平和的解決に貢献する用意があるとプーチン氏に伝えた。
エルドアン氏は「即時停戦によって地域の人道上の懸念が緩和されるだけでなく、政治的解決策を模索する機会も与えられると述べ、和平への道を共に開こうと改めて呼び掛けた」という。
一方、ロシア大統領府によると、プーチン氏はウクライナが抵抗をやめてロシア側の要求を満たした場合のみ、軍事作戦を停止するとし、ウクライナでの「特別作戦」は計画・予定通りに進んでいると述べた。
(3月10日トルコにてウクライナ・ロシア外相会談)
エルドアン大統領の甲斐あって3月10日にトルコのアンタルヤでウクライナ・ロシア外相会談が開催される。
(2月の消費者物価は54.44%上昇)
2月の消費者物価は前年比54.44%上昇で、2002年以来約20年ぶりの大幅な上昇となった。昨年末のリラ急落と商品相場高が影響し、予想以上の伸びを示した。
生産者物価、前年比105%上昇だった。ロシア・ウクライナ情勢の緊迫に伴う商品価格の上昇を反映した。
(貿易赤字拡大)
1-2月の貿易赤字が前年同期から186%拡大した。エネルギー価格上昇が背景。
2月の貿易赤字は81億ドル、輸出は前年同月比25.4%増の200億ドル、輸入は主にエネルギー輸入増に押し上げられて同45.6%増の281億ドルとなった。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン一時3σ下限へ下落
日足、3月4日にボリバン3σ下限まで下落。2月24日-3月4日の上昇ラインがサポートだがギリギリ。3月3日-4日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、12月20日週-2月21日週の上昇ラインがサポート。12月20日週-2月28日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン下位。
月足、12月-2月の上昇ラインを下抜く。ボリバン2σ下限。11月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足、7年連続陰線だが22年1月は陽線となった。2月はまた陰転。18年-20年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
ロシアの富豪からトルコの富豪へ。両国とも貧富の差が激しい
ロシアの実業家アブラモビッチが、ロシアの後に制裁の対象となるオリガルヒへの圧力が高まる中、チェルシーを売却する。
買い手として現れたのがトルコの富豪だ。トルコ人実業家のバイラク氏とチェルシーが本格的に交渉を開始したと報道されている。バイラク氏は「ABグループホールディング」のトップで、暗号資産、建設、観光、エネルギーなど各業界で成功を収めている。
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