“コモディティー価格暴騰。”

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ウクライナ情勢の悪化を受け、コモディティー価格(商品価格)が暴騰している。

ロシアがウクライナに武力侵攻した前日の23日と先週金曜日の金と原油先物価格(WTI.)を比べて見ると、
          金(1トロイ・オンス当たり)WTI.
2月23日 1,910.4ドル        92.10ドル
3月4日 1,966.6ドル        115.68ドル
    +2.9%                        +25.6%
金価格の上昇は大したことは無い様に見えるが、これはSWIFT.網から締め出されて決済機能を失ったロシアが6,300億ドルの総外貨準備の内の1,300億ドル分の金を売却するのではないかとの思惑が市場に存在して頭を重くしているものと思われる。

年初の1月3日との価格を比較すると恐ろしい程の高騰ぶりである。
            金(1トロイ・オンス当たり)WTI.
1月3日 1,800.1ドル        76.08ドル
3月4日 1,966.6ドル      115.68ドル
    +9.2%                         +52.1%
原油価格はこの2ヶ月で1.5倍になったのだ。

週明けの東京の先物市場では一時金は2,001ドル、WTI.は129.47の高値を付けており、価格の高騰は止まる気配が無い。

記録を取っていないので比較が出来ないが、ロシアとウクライナが主要生産国である小麦や他の商品、例えば天然ガス、大豆、砂糖なども大きく値上がりしている。

これは多くの国にとって大きなインフレ要因として重くのしかかる。

主要国中央銀行にとっては利上げ推進の格好の材料となるが、ところがどっこいウクライナ情勢の悪化はコロナ禍が落ち着きを取り戻している中の景気回復の足を引っ張っており、下手をすると急激な景気減速を招きかねない。
実際、一時は0.5%の利上げの可能性が大きいとされた3月のFOMC.での利上げ幅は0.25%で落ち着く模様であり、今年5回程度の利上げを予想した市場の一部では利上げ停止の可能性を唱える向きも有る。

市場にサプライズを与える事を嫌うパウエルFRB.議長は先週の議会証言で卒なく、
-3月の利上げは適切であり、25bpの利上げを提案する。
-インフレが高過ぎる状態が続けば、より大幅な利上げの可能性を閉ざさない。
-バランスシートの縮小は利上げ後に開始。
としたが、
-ウクライナの米経済への影響は不確実性が高い。
とも述べて慎重な姿勢を見せた。

この様な状況で売られる通貨の筆頭は当然ユーロであり、ポンドが続く。

そしてコモディティー価格の上昇によって恩恵を被る資源国通貨である、又地政学的に欧州から遠く離れた豪ドルやNZドルは必然的に買われる。

こちらもロシアがウクライナに武力侵攻した前日の23日と先週金曜日の終値を比べて見ると、

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ユーロとポンドが対ドル、対円で大きく下げ、その逆に豪ドルとNZドルが対ドル、対円で上げているのがよく分かる。

これからの相場展開であるが、依然として“有事に買われるドル。”と“リスク・オフ時に買われる円。”のペアーであるドル・円は115円を挟んでのレンジから抜け出せそうにない。

それに比べてユーロとポンドのショート、そして豪ドルとNZドルのロングの保持はSafe bet.=(安全策)と言えるかも知れない。

シカゴ・IMM.のポジションを見てみると3月1日現在で、依然として大きな円のショート(ネットでショート68,732枚、約75億ドル相当のドル・ロング)とユーロのロング(ネットで64,939枚のユーロ・ロング、約81億ユーロ相当のユーロ・ロング)を保持している。

単純に計算すると約80億ユーロと言う結構大きなユーロ・円のロングのポジションを持っていることになる。

IMM.のユーロのロング・ポジションが解消されるまではユーロの頭が重いであろうことが此処でも推測出来る。

そう言う訳でユーロの下落傾向は続くと思われるが、今週のドル・円のテクニカル分析の見立ては、相変わらず115円を挟んでのレンジ取引を予想するが、今までのサポート(下値支持線)である114.50を下切れば更なるドルの下落、逆にレジスタンス(上値抵抗線)である115.50を上切れば更なるドルの上昇が予想される。

暫くは値動きの大きいユーロの動向に注意を払いたい。

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