FX/為替予想【人民元は折り返し】米中の金利差縮小を考慮したトレード戦略「プロが解説 人民元見通し」戸田裕大

人民元見通し

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、日本ではまだまだ情報の少ない人民元について、発表された報道や公表された経済データなどをもとに、相場の見通しを立てていきます。中国の金融市場(人民元や中国株・中国債券など)が世界の金融市場に与える影響は年々大きくなっていますので、人民元や他通貨の売買、ひいては世界経済の流れを掴むための情報としてご参考にして頂ければ幸いです。

第8回は「【人民元は折り返し】米中の金利差縮小を考慮したトレード戦略」といたしまして、私なりの相場見通しをお伝えいたします。

目次

1.人民元相場の定点観測
2.米中金利差の縮小が流れを変える
3.対ドルは弱気、対円は強気

1.人民元相場の定点観測

まず簡単に足元の人民元相場を振り返っていきましょう。

<USD/CNH(ドル/人民元)日足>
2022年2月14日13:00現在の為替レート:1USD = 6.3645CNH

USD/CNH(ドル/人民元)日足

USD/CNH相場ですが、1月前と比べて152pips上昇しています。チャートをご覧いただくと分かりやすいのですが、昨年末から下げ止まりの動きを見せているのが見てとれると思います。アメリカの利上げが意識される中で、米ドルは人民元に対して強含む、こういう見方が広がっているように思います

<CNH/JPY(人民元/日本円)日足>
2022年2月14日13:00現在の為替レート:18.14

CNH/JPY(人民元/日本円)日足

CNH/JPYは1月前と比べて0.13円上昇しました。日銀の指値オペと呼ばれる長期金利の低水準誘導策や、強い米国の1月消費者物価指数(インフレ圧力)が意識され、ドル円が上昇したタイミングで、年初来高値18.27円を記録しています

2.米中金利差の縮小が流れを変える

本日の記事でもっともお伝えしたいことが米中金利差の縮小が始まっていることです。外国為替レートの値動きに影響を与えやすい3ヶ月物の金利を比べてみると、その差がみるみる縮まっていることが分かります。

米国と中国の金利差

赤い丸で囲ってある箇所が2022年2月11日の金利差ですが、まだ人民元金利の方が高いとはいえ、その差が1.93%まで減少していることを示しています。

人民元はある程度は米ドルと連動するように、また過度な相場変動が発生しないように設計されています。ゆえにレート決定要因としてその2通貨の金利差が大きく影響します

通貨「人民元」の特徴について、ご興味ある方はこちらをご参照ください。
https://www.gaitame.com/media/entry/2020/03/13/142328

今後もまだまだ米金利が上昇していくことが想定されていますので、徐々に人民元高の圧力が和らいでいく、むしろ人民元安に振れていく可能性があることには留意しておきたいところです。

もう1つ、注目しているのが中国債券市場への資金流入額です。

中国の債券は全般に利回りが高く、グローバルに金利がなかった世の中で、人気を博していました。ただ足元は各国の債券利回り上昇の影響か、少し流入ペースが緩やかになっています。

海外機関投資家の中国債券保有額

今後も各国の金利が上昇していく中で、機関投資家が十分に利回りを得られる投資対象は増えていきますので、中国に流れてくるお金は次第に緩やかになっていくことが想定されます。こういったお金の流れを考えても、そろそろ人民元高が一服してもおかしくないと考えています。

3.対ドルは弱気、対円は強気

想定シナリオは以下の通りです。

今後1ヵ月の人民元相場見通し
対ドル:6.3000~6.4500 横ばい~上目線
対円:17.90円~18.35円 横ばい~上目線

まず対ドルですが、先に述べたファンダメンタルズ要因や、昨年末から下げ渋っている値動きからして、反転の兆しが現れていると考えます。そのためこれ以上の人民元高を狙いにいくのは控えます

USD/CNH(ドル/人民元)日足

ここからは6.3500をバックに、ドルを買って、人民元を売るサイド(USD/CNHの買い)で取引をしていきたいと考えます。

対円についてはドル/円が底堅いので押し目買いで良いと考えます。

CNH/JPY(人民元/日本円)日足

押し目の目安としては17.90円を挙げておきます。あとは何かのショックで下落した場合には17.65円もねらい目になるでしょう。必ずしもこの水準まで下押しするかどうかは分かりませんが、不安定な米株や、ウクライナ情勢の悪化により可能性は無きにしも非ずと言えるのではないでしょうか。

下で上手く拾えた場合には、CNH/JPYの買い持ちはスワップポイントもしっかりつきますので、ある程度、長めにポジションを持つことをイメージしています

以上が私の現時点における人民元相場との対峙方法になります。ご参考にして頂ければ幸いです。

引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

戸田裕大

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<参考文献>
各種為替データ:
CNH/JPY:外貨ネクストネオ
USD/CNH:https://jp.tradingview.com

米国の3ヵ月物金利:iborate.com
中国の3ヵ月物金利:Investing.com

海外機関投資家の中国債券保有額: https://www.chinabondconnect.com/sc/index.html

<補足事項>
人民元相場を追っていく時に、大切なことは、USD/CNH(ドル/人民元)を必ずチェックしておくことです。取引そのものはCNH/JPY(人民元/日本円)で行うことが多いと思いますが、CNH/JPYはUSD/CNHとUSD/JPYで構成されていますので、USD/CNHもチェックしておくことが肝要です。

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【「なっとく 豪ドル見通し」はこちら】

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若竹コンサルティング 創業者 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本のグローバル企業300社、在中国のグローバル企業450社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は若竹コンサルティング代表として、為替市場調査と為替リスク管理に関するコンサルティング業務を提供する傍ら、為替相場講演会に多数登壇している。著書に「米中金融戦争 香港情勢と通貨覇権争いの行方」。
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