総括
FX「米金融引き締め、中国金融緩和でも元は米ドルに連動し動く」人民元見通し
(通貨3位(4位)、株価12位(9位))
予想レンジ 人民元/円 17.7-18.2
(ポイント)
*米下院本会議、対中競争・半導体強化法案を週内に可決か
*1月製造業PMIなどは悪化
*景気減速で金融緩和が進められている
*今年前半に預金準備率の0.5%引き下げ予想が出てきた
*米国は金融引き締め、中国は金融緩和だが、為替は米ドルの構成比の大きい
バスケット制を採用しているので米ドルに連動する形で動く
*週末に中露首脳会談か
*海外投資家による中国国債保有高が最高
*21年は貿易黒字が過去最高となった
*2021年は最強通貨
*21年のGDPは前年比8.1%増で、予想の8.0%増を上回った。
*人民元は変動幅拡大を目指す
*米中対立は続く
*人民元は政経のボラティリティとは関係なく管理された変動相場である
*中国の強さは将来米国のGDPを追い抜く自信からか
*不動産税の導入開始
(1月製造業PMIなどは悪化)
1月30日に発表された中国の各種PMIは以下のように3か月ぶりに悪化した。
*NBS製造業PMI 50.1 (前月50.3R)
*NBS非製造業PMI 51.1 (52.7)
*NBS総合PMI 51.0 (52.2)
*財新製造業PMI 49.1(50.9)
春節にあわせた大型連休を前に一部の業種で生産を増やす動きが出た一方で、国内各地で新型コロナウイルスの感染が広がったことで個人消費関連の需要が低下したことなどが主な要因だ。また、小規模な企業に限ると景況感指数は46と、先月より0.5ポイント低下していて、原油などの原材料価格の高騰が経営を圧迫している。北京オリンピック・パラリンピックも控えて、感染対策が強化されて移動が制限されていることで減速が続いている景気の回復の重荷になることが指摘されている。
(米国金融引き締め、中国金融緩和でもドルと人民元はパラレルに動く)
中国は景気減速で既に金融緩和を開始している。12月消費者物価も1.5%上昇と落ち着いてきた。米国の高インフレと金融引き締めとは対照的な動きだが、人民元は米ドルに連動している部分もあり、米ドル上に伴い人民元も上昇している。もっとも膨大な貿易黒字、10年物国債利回りが2.7%近辺という米国比高い利回りがあることで人民元買いも続いている。ドルの比重の高いバスケット制をとっていることもあり為替を景気回復には利用できないところは中国の誤算であろう。
(ウクライナ緊張の中、週末に中露首脳会談か)
2月4日に北京オリンピックを訪れるプーチン露大統領と習近平国家主席との会談が予定されている。会談では、「欧州の戦略的安定、ロシアへの安全保障、欧州の安全保障、ロシアと米・北大西洋条約機構(NTO)との対話、地域の問題など国際問題に多くの時間を割く見通しだ」とされている。
(上期に預金準備率50bp引き下げへ)
クレディ・スイスのエコノミストは人民銀行が2022年上半期に預金準備率を追加で0.5%引き下げると予想している。人民銀行の劉国強・副総裁は先週、預金準備率の引き下げ余地はまだあると発言した。
クレディ・スイスは、中国株の投資判断も「ベンチマーク」から「オーバーウエート」に引き上げた。中国の余剰流動性が改善し始めており、こうした場合、中国株は上昇する傾向がある」と指摘した
2022年の国内総生産(GDP)は5.9%増と予測。コンセンサス予想の5.2%増を上回る。
(海外投資家による中国国債保有高が最高)
海外投資家による中国国債保有高は2021年12月末時点で2兆4500億元(3845億100万ドル)となり、過去最高に達した。
テクニカル分析(人民元/円)
1月28日、31日の長い上ヒゲで下落、ボリバン2σ下限で下げ止まり
日足、1月28日、31日の長い上ヒゲで下落。ボリバン2σ上限から反落、ボリバン中位を下抜く。2月1日-2日の下降ラインが上値抵抗。1月14日-2月2日の上昇ラインがサポート。5日線下向き。雲の上。
週足、ボリバン2σ上限から反落。12月20日週-1月24日週の上昇ラインがサポート。
1月3日週-24日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、ボリバン2σ上限に沿って上昇。10月-12月の上昇ラインを下抜く。雲の上。
年足、21年は大陽線。20年-21年の上昇ラインがサポート。15年-21年の下降ラインを上抜いて22年スタートも僅かに陰線。
チーファンラマ
米下院本会議、対中競争・半導体強化法案を週内に可決か
米下院は2月2日、中国に対する米国の競争力向上や米半導体業界への支援を目的とした法案を巡り手続き上の投票を実施し、賛成多数で可決した。週内にも下院本会議で可決される可能性が出てきた。法案には520億ドルの半導体業界向け支援が盛り込まれている。
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