FX「金融政策の差をつかみ相場の波に乗る」負けないFXトレーダーを育てる FX実力アップ教室 戸田裕大

FX実力アップ教室 戸田裕大

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは「負けないFXトレーダーを育てる」をコンセプトに、過去に為替トレーダーとして様々な失敗を経験してきた私が、どのように工夫して少しずつ上達していったのか体験談をお伝えしていきます。新人ディーラー(新人の個人投資家)にありがちな落とし穴と、その対策などを通じて、読者のみなさまの実力UPの参考にして頂ければ幸いです。

第14回目は「金融政策の差をつかみ相場の波に乗る」です。早速みていきましょう。

目次

1.相場の波に乗るということ
2.どうやって相場の波は発生するか?
3.では相場の波に乗るためにすべきことは?
4.おわりに

1.相場の波に乗るということ

私が外国為替トレーダーとしてデビューして3、4年目くらいのことでしょうか。たしか2013年だったと思います。

当時、外国為替データの分析の仕事についていた私は、大容量データ解析ソフトを用いて日々の値動きの分析を進めていました。市場のクセとでも言いますか、欧州時間になるとユーロはこうなる、仲値に向けてドル円はこうなる、そういったクセを捉えてそれをチームのトレードに活かしてもらおうと夢中に分析していました。

ところが、そういった分析そのものについて上司は相応に評価してくれたものの、実はチームのトレードに活かされることは、ほとんどありませんでした。なぜか?

私が所属していたチームの外国為替取引の1回当たりの金額は極めて大きく、そのためスプレッド(売り買いのレート差)が大きくなり、売り買いのコストが高くついていたのです。したがって短期的な値動きを捉えるトレードアイデアは所属していたチームに適しませんでした。

分析としてはよくやっているが、しかしチームではなかなか使う機会がない、ではどうやって私たちのチームは利益を挙げていたのか、気になりませんか?結論から言うと、それが「相場の波乗り」です。

私が言う「相場の波」とは数時間や数日の話ではありません。数週間、数か月にわたって続く波、つまり大きなトレンドのことです。

当時はアベノミクスが始まったばかりで、ドル円は1ドル80円、日経平均株価は9,000円の時代でした。そこで取った戦略はドル円の買い持ち、および日経平均の買い持ちです。

その後の値動きについてはご存じの方も多いかもしれませんが、ドル円は1ドル100円が、日経平均株価は1万円台ミドルが、それぞれ1年もたたずに定着しました。その間に、リスク管理の観点で細かなポジションの調整はあったものの、ポジションの方向性に大きな変化はありません。

<2013年~2014年のドル円の値動き>
2013年~2014年のドル円の値動き

アベノミクストレード、バイジャパン戦略などとも呼ばれましたが、非常に大きな機会がそこに眠っており、チームはその機会を存分に活かすことが出来たのです。

2.どうやって相場の波は発生するか?

ではこういった大きな相場の波がどのように形成されていくかご存じでしょうか?それは大きくはグローバルなマクロ経済政策ということになるのですが、本日はそのうち特に注目が集まる「金融政策の差」にフォーカスしてお話をすすめていきたいと思います。

金融政策とは主に、金利を調節し、市中に出回る資金量を調節することで経済を安定化、活性化させる政策のことです。外国為替(FX)は2通貨の交換ですから、2つの国の金融政策を比べることが重要で、これを「金融政策の差」と呼びます。

当時、日本もアメリカも量的緩和、すなわち資金量の拡大に動いていました。日本は安倍首相と黒田日銀総裁が、アメリカではオバマ大統領とバーナンキFRB議長が、それぞれ経済成長を目的に景気刺激に動いていたのです。

しかし、実はこの資金量の拡大規模が大きく異なっていました。具体的には日本は資金量の拡大に極めて積極的だったのですが、米国は日本と比べて慎重だったのです。したがって日本の資金量の拡大ペースは、米国のそれよりも格段に速くなっていきました。

結果として何が起こったのか?対米ドルで大きく円安が進みました。2013年の上半期には早々に1ドル100円に到達すると、下半期には105円に、さらに翌年には120円に到達したのです。

これは私が初めて体験した大きな金融相場で、これまでは短期的な値動きしか追っていなかったのですが、以降はより大きな視点で相場を捉えようと試みるキッカケになりました。

こう言った戦略を業界では「グローバルマクロ戦略」などと呼んでいます。おそらくは最も伝統的な投資手法と思いますので、ご存じのない方はぜひこの機会に覚えてしまってください。

3.では相場の波に乗るためにすべきことは?

波に乗るためには「金融政策の差」を見なければならないことをお伝えしました。ここからは具体的にどの国の何を見れば良いのかをお伝えします。

1つ目はFED(米金融当局)の金融政策です。金融政策の差を見極めるポイントは基軸通貨である米国と比べてどうか?この一点につきます。したがってなにはともあれ、米国の金融政策を見ることが極めて重要です。

多くの機関投資家は大半の時間をこの分析に割いていると言っても過言ではありません。ですからFOMC(金融政策決定会合)ではFRB議長発言のニュアンスが少し変わった、議事録の文言が少し変わっただけで大きな値動きにつながるのです。

何はともあれ米国の金融政策は特に意識して見てみると良いです。

2つ目は自分が取引したい通貨の金融政策です。ユーロならECB、円なら日本銀行、豪ドルならRBAの金融政策を追い、それとFEDの金融政策を比べます。

メンバーは今の経済状況をどのようにみているか?今後の米国の政策金利と比べて差がでるか?資金量に差がでるか?こういったことを細かく見ていきます。

基本的に金利が高くなる通貨は買われやすく、資金量の少ない通貨も買われやすくなります。ですからそれらを踏まえてトレードをすると大幅に波に乗れる確率が高くなるのです。

しかしこれだけは覚えておいてください。外国為替の変動要因は複数あります。資源価格や、株価、需給バランスなどにも影響を受けますので、あくまで「金融政策の差は1つの大きな変動要因」という認識を持つことも重要です。

4.おわりに

FXで勝ち切る手法は一つではありません。したがって本日わたしがお伝えした手法だけが正解ということではありません。

私たちは日本に住んでいますので、国際的な政治経済になじみがないのは変わったことではありません。そういった方には最初は値動き、チャートポイント、テクニカル分析を用いたアプローチが親しみやすいのは当然です。現に私もそうでしたから。

ただ慣れてきたところできっと壁にぶつかると思います。値動き、チャートポイント、テクニカル分析はそれぞれ相場の断片しかとらえていないので、判断要素として不足しており、結果としてそれだけでは相場は動いていないことがどこかでわかると思います。

少しずつ、少しずつでよいので、相場の本質に迫っていきましょう。その本質に近づこうとする行為そのものが洞察力をやしない、自分自身の大きな成長へとつながっていくことになります。

FX=ギャンブルと捉えるのは本当にもったいないです。外国為替(FX)こそがもっとも自分の成長につながる投資活動と私が保証しますので、簡単ではないかもしれませんが、いっしょに相場と向き合って成長していきましょう。

それでは本日はここまでとなります。
引き続き一緒に学んでいきましょう。

 

戸田裕大

<最新著書のご紹介>

f:id:gaitamesk:20200929125737p:plain

なぜ米国は中国に対して、これほどまでに強硬な姿勢を貫くのか?

ポストコロナ時代の世界情勢を読み解くカギは米中の「通貨覇権争い」にあります。
本書は、「最先端の中国キャッシュレス事情」「デジタル人民元の狙い」「人民元の国際化」「香港の最新情勢」など 日本ではあまり報道されない米中対立の真相に迫る、ビジネスパーソン、投資家にとって必読の一冊です。

【インタビュー記事】

【「FX実力アップ教室」はこちら】

【「なっとく 豪ドル見通し」はこちら】

【「プロが解説 人民元見通し」はこちら】

f:id:gaitamesk:20200214172637p:plain

若竹コンサルティング 創業者 戸田裕大氏
2007年、中央大学法学部卒業後、三井住友銀行へ入行。10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本のグローバル企業300社、在中国のグローバル企業450社の為替リスク管理に対する支援を実施。2019年9月CEIBS(China Europe International Business School)にて経営学修士を取得。現在は若竹コンサルティング代表として、為替市場調査と為替リスク管理に関するコンサルティング業務を提供する傍ら、為替相場講演会に多数登壇している。著書に「米中金融戦争 香港情勢と通貨覇権争いの行方」。
●免責事項
本サイトに掲載する情報には充分に注意を払っていますが、その内容について保証するものではありません。また本サービスは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであって、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたします。なお、本サービスの閲覧によって生じたいかなる損害につきましても、株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承ください。
top