“今年最後のFOMC.”

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今週は、日・米・英・欧の中央銀行が今年最後の金融政策を発表するが、市場はその中でも米国、即ちFOMC.での決定を一番注目している。

10日に発表された11月の米国CPI.=(消費者物価指数)は前年比で+6.8%と先月の+6.2%を大きく上回る高い伸びを示した。
ショッキングな数字ではあったが事前の市場予想と一致して市場へのインパクトは限られたものであったが、39年ぶりの高い数字は米国のインフレ加速の深刻さを知らしめるのに充分であった。

ここまで来るとあれだけハト派的な意見を述べていたパウエルFRB.議長も“インフレは一時的である。”と言う表現を止めざるを得ないのは至極当然であろう。

こうした中今週の14日~15日に開催されるFOMC.では、これまで資産買入の減額幅を毎月150億ドルとしていたのを、12月以降300億ドルに倍増し、テーパリングを2022年3月に完了するとの決定を下す可能性が高まったと観測され、既に市場は利上げ開始時期予想を2022年半ばに前倒しし、利上げ回数も2022年中2.5回、2023年中3回、2024年中1回の計6.5回(各回25bpの利上げで合計1.625%)を織り込みつつある。

米国民のインフレ懸念は相当なもので、このままでは来年秋の中間選挙ではバイデン大統領の再選はおろか、上下院ともに共和党に過半数を取られる可能性が高まってきている。
FRB.としては政治的にも、又中央銀行の最重要課題としてもインフレ対策=早急な利上げの必要性が高まってきていると言えよう。

米国金利の上昇は金利差拡大の観点から言ってドル・円相場に対してはドル高要因として働くが、株式相場にとってはネガティブであろう。

前々週までのオミクロン騒動でも見た様に株価下落=リスク・オフとなって円が買われる傾向が強い。
また安全資産である米国債券が買われて長期債利回りの低下も考えられる。


12月も半ば近くとなり、そろそろ“2022年の相場”についての質問なども聞かれだすが、一番無難な答えは、“日本銀行がにっちもさっちも行かない中、FRB.が果敢に利上げを行って金利差拡大の観点からドル・円相場はじり高となるであろう。120円も視野に入れておくべきだ。”と思われるが上で述べた様に、株価の下落のみならず依然としてはっきりしたことが分からない変異型コロナ・ウィルスのオミクロンや、新たな変異型ウィルスの出現の可能性についても無視は出来ない。

そう簡単にファンダメンタルズの一つでしかない日米両国の金利差拡大だけで“ドル・円相場は堅調であって然るべき。”と言う議論は危険かも知れない。


先週述べた様に、12月に入り市場参加者の減少と共に市場の流動性は減少する。
市場の流動性の減少と共に市場のボラティリティ(変動率)は増加する。

今は大きくリスクを取る時ではないと心得えており、慎重に行きたい。


今週のテクニカル分析の見立ては、114円を超えるまでは売りで、超えるとドテンして買い。

暫くは、112.50~114.50.のレンジを意識しておけば良かろうか?

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