総括
金融政策の信を問う9月23日の政策金利決定
通貨最下位、株価15位
予想レンジ トルコリラ/円 12.0-13.0
(ポイント)
*金融政策の信を問う9月23日の政策金利決定
*政策金利は19%で据え置きの予想が多いが、国際金融協会(IIF)は、0.5%の利下げを実施するとの見通し
*中銀、外貨預金準備率を2.0%引き上げ
*政府の見通しによると、今年末時点のインフレ率はプラス16.2%
*今年の国内総生産(GDP)伸び率は9%の見通し
*対外準債務が改善
*中銀は政策金利のベンチマークをコアインフレに変更した(リラは下落)
*大統領は利下げを要求している
*7月経常収支は改善 観光収入増加
*7月鉱工業生産、小売売上、失業率は悪化
*2Q・GDPは強く、今年の成長率は8%超えか
*今年は月別に見れば最強が3回、最弱が3回と乱高下している。
*コロナ感染者は増加
*大統領支持率低下
*通貨スワップ協定の締結に向けて4カ国と交渉
(金融政策の信を問う9月23日の政策金利決定)
今週の注目は9月23日の政策金利決定だ。中銀は政策金利をインフレ率よりも高い水準に維持すると表明していたが、最近は、総合インフレ率より低い水準にあるコアインフレ率の重要性に言及し、利下げを示唆した。ただこれで市場の信頼を失い、今月はリラが最弱通貨となっている。現在政策金利は19%、総合インフレ率は19.25%で上昇中、コアインフレ率は16.76%で低下中だ。
今週の政策金利は19%で据え置きの予想が多いが、国際金融協会(IIF)は、0.5%の利下げを実施するとの見通しを示した。年内にさらに1.5%の利下げを行い、政策金利は17%になる見通しという。IIFは「中銀は将来の政策決定ではコアの動きを重視すると表明しており、広く予想されている緩和サイクルを0.5%の利下げで9月に開始するだろう」と述べた。
エルドアン大統領は借入コストの引き下げを繰り返し求めており、投資家は金融緩和が早期に行われることを懸念している。ただ中銀がリラ安を無視しているわけではなく、先週は外貨預金と貴金属による預金の準備率を2.0%引き上げた。リラ安に繋がる外貨預金を抑制しようとしている。
(中銀、外貨預金準備率を2.0%引き上げ 為替に影響するか)
中銀は、銀行の外貨預金と貴金属による預金の準備率を2.0%引き上げた。外貨預金と期間1年までのイスラム金融のパーティシペーション・ファンドの準備率は21%から23%に、 1年超のパーティシペーション・ファンドの準備率は15%から17%に引き上げられた。
金属による預金準備率は期間1年までが22から24%、期間1年超は18%から20%に引き上げられる。
中銀によると、今回の措置により所要準備は約50億ドル増加する。
10月1日時点で、リラ建ての所要準備は139億リラ増加、外貨・金の所要準備は34億ドル増加する見通し。中銀は今回の措置について、金融の波及メカニズムの効果を上げることが狙いと説明している。
(政府中期見通し)
政府の中期経済見通しによると、今年末時点のインフレ率はプラス16.2%、2022年末時点には9.8%に大幅鈍化する見通し。23年には8.0%、24年には7.6%になると予想している。
今年の国内総生産(GDP)伸び率は9%、来年は5%と予想。23と24年は5.5%と予想している。8月のインフレ率は前年比19.25%上昇、ベース効果、為替の影響度低下、食品価格の調整などで年末までには16.2%に鈍化するとみられている。
(対外純債務改善)
日本の対外純資産は約3兆ドルで世界1位である。トルコは対外純債権国でなく純債務国。
7月末で5720億ドルの純債務、これでも前年比10.3%=2820億ドルの改善となった。外貨準備が13.4%=1058億ドル増加した。
(対日EPAで投資5割増も)
トルコ大統領府投資局のダールオール総裁は日本経済新聞社の取材に応じ、詰めの交渉に入っている日本との経済連携協定(EPA)について「実現すれば5年ほどで少なくとも5割超の直接投資の増加をもたらす」との見方を示した。規制や関税の急な変更に影響されにくくなり、従来の大企業から中小企業にもトルコ投資が広がることに期待を表明した。
トルコは日本と交渉中のEPAのほかにも、13年に韓国と、17年にシンガポールとの自由貿易協定(FTA)を発効させている。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン2σ上限からの下落続きボリバン3σ下限へ
日足、ボリバン2σ上限からの下落続き、3σ下限近くまで到達。3σ下限は12.40。
9月17日-20日の下降ラインが上値抵抗。雲の下へ。5日線下向き。
週足、先週は5週ぶりの陰線。8月23日週-9月6日週の上昇ラインを下抜く。9月6日週-13日週の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限は12.489、3σ下限は12.313。ボリバン下位。雲の下。
月足、7月、8月は連続陽線も9月は7月-8月の上昇ラインを下抜く。2月-3月の下降ラインが上値抵抗。ボリバン2σ下限は11.462。
年足、6年連続陰線。今年は僅かながらも陽線スタートも中銀総裁の電撃解任で陰転。18年-20年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
トルコは欧州の難民倉庫ではない
シリアやアフガニスタンなどから400万人を超える難民らを受け入れてきたトルコで、排斥の動きが目立ち始めた。これまで「イスラム教徒の同胞」として寛大な姿勢を示してきたエルドアン政権は、難民流入を抑制する方針に転換。欧州各国が追加受け入れに消極的な姿勢を示す中、出身国への送還加速も視野に入れている。
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。