総括
人民元安定、穏健な金融政策維持へ 大規模な刺激策行わず、これで株下落
(通貨4位 株価13位)
予想レンジ 人民元/円 16.8-17.3
(ポイント)
*8月輸出入は増加
*本日はCPI、PPIの発表
*本日はBRICS首脳会議
*金融緩和期待を中銀が打ち消す
*製造業PMIは8月で5か月連続の低下
*ドル元相場は極めて安定している
*国内の規制、統制強化が目立つが、対外経済開放や米中関係改善の動きもあり
*日本と比べるとコロナ感染者は少ない 9億人に接種
*ハイテク産業、民間教育産業、フードデリバリー産業に対する締め付け強化
*一方、育児産業は優遇
*対米関係は悪化しているが貿易量は増加
(市場振興策打ち出す)
先週、人民元は12通貨では若干下落した。リンクする米ドルがパウエル議長のハト派発言と雇用統計の悪化で下落したからだ。株価(上海総合指数)は先週、小幅上昇した。規制、統制強化の政策発表は続くが、香港で中国本土株を対象とした指数の先物取引を10月18日から開始すると発表したことに続き、習近平国家主席は革新的な中小企業に資金を提供するため北京に新たな証券取引所を設立する方針を発表し、株価浮揚に努めた。
(減速が続いた経済指標 富裕層は)
経済指標は減速が続く。8月製造業PMIは5か月連続減速、8月財新製造業PMIは3か月連続減速となった。中国がいち早くコロナ禍から回復していたので、それが普通の流れに戻ってきている。他国にもこの流れが波及していくだろう。さて規制強化を受けた高収益のIT企業は、利益を社会に還元し始めている。テンセントは農村の活性化や低所得者の所得向上などに計1000億元を投じる計画を公表した。アリババグループは、習近平国家主席が提唱する「共同富裕」実現に向けて5年間に1000億元を拠出すると約束した。資本主義から共産主義へ舵を上手く切ることができるかが焦点だ。富裕層の労働意欲を削いでは元も子もない。壮大な実験を試みている。
(穏健な金融政策維持へ 大規模な刺激策行わず、これで株下落)
中国人民銀行の潘功勝副総裁は、穏健な金融政策を維持し、大規模な刺激策は行わないと表明した。金融政策の余地はなお比較的大きいとも述べた。ベースマネーの大きな不足はなく、流動性の需要と供給は今後数カ月、基本的にバランスを保つとの認識を示した。
(8月貿易黒字増加、輸出入ともに伸びる)
8月の貿易統計は、輸出が前年同月比25.6%増と、伸び率は前月の19.3%から加速し、予想の17.1%も上回った。
輸入は33.1%増加。7月の28.1%から伸びが加速し、予想の26.8%増を上回った。
8月の貿易収支は583.4億ドルの黒字。7月は565.8億ドルの黒字だった。
(外国人は中国国債を買う、10年債利回りは2.85%)
8月の外国人投資家の中国政府債保有高が5カ月連続で過去最高となった。外国人投資家の中国国債保有高は2兆2000億元(3407.7億ドル)。前月末から0.8%増加し過去最高となった。
FRBがテーパリングを準備する中、中国人民銀行は景気減速に対処するため金融政策を緩和するとの見方が広がっており、利回り格差はさらに縮小する可能性がある。
中国国債は10月末から国際的な債券指数、FTSE世界国債インデックスに3年かけて組み入れられることになっており、中国債券市場に数十億ドルが流入すると見込まれている。
(本日は8月消費者物価などの発表)
CPI 予想 前年比 1%上昇
PPI 予想 前年比 9%上昇
(本日、BRICS首脳会議)
中国の習近平国家主席は、オンラインにて出席する。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン上位で推移
日足、9月3日-6日の下降ラインを上抜く。9月7日-8日の上昇ラインがサポート。9月1日-8日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。雲上。
週足、ボリバン2σ上限に達してからはじり安。ただ8月9日週-16日週の下降ラインを上抜く。2週連続陽線。今週もここまで陽線。8月16日週-23日週の上昇ラインがサポート。5月24日週-6月28日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、20年8月の対円15.11から始まった連続月足陽線は10か月で終り、11か月とならず。その後は小反落。4月-9月の上昇ラインがサポート。5月-7月の下降ラインが上値抵抗。 7月-8月の下降ラインを上抜く。
年足、11年-20年の上昇ラインがサポート。18年-19年の下降ライン上抜く。 16年-18年の下降ラインも上抜く。
チーファンラマ
中国「共同富裕」への異議削除、北京大教授が公表、当局の逆鱗に触れる
中国の習近平指導部が掲げる格差解消戦略「共同富裕」が大企業たたきの様相を強める中、「経済への政府の関与が強まると共同貧困になる」と異議を唱える北京大の教授の文章がインターネット上で公表された。ただ文章は9月6日までに一転して削除されており、当局の逆鱗に触れたとみられる。
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