注目のFOMC.が開催され、政策金利であるF.F.レートの目標誘導レンジを0~0.25%に維持することを決定し、労働市場の状況がFOMC.の最大雇用の評価に一致する水準に達し、インフレ率が2%に上昇して当面の間2%をやや超えるような軌道に乗るまでこの目標誘導レンジを維持することが適切だとしたが、ドット・チャート(金利予想分布)では、2023年末までに少なくとも1回の利上げがあると考えるメンバーが参加者18人のうち過半数を超える13人となり、前回の7人から大きく増加した。
また2022年末までの利上げを見込むメンバーも、4人から7人に増加して全体的にタカ派的(金融緩和に消極的)な内容となり、長期金利は上昇して株価は大きく下げた。
今までは頑なにテーパリングに関しては消極的であったパウエルFRB.議長が記者会見で、テーパリングについて議論を開始する為の議論があったことを認めたことも金利上昇及び株価下落に拍車を掛けた。
また金曜日には今までハト派と目されていたセント・ルイス地区連銀のブラード総裁が、新型コロナウイルス禍からの回復に伴い、経済成長、特にインフレ率が予想よりも伸びていることに対する自然な対応としてインフレ抑制に向け、“利上げを22年終盤に開始すべき。”と主張して更に株価は下落したが、奇妙なことに2年物米債利回りは終値ベースで前日比0.047%上昇したのに対して10年物債券利回りは逆に0.067%下落して長短金利差が縮小してイールド・カーブがフラット化した。
その結果、ドルは買われてその他通貨は大きく下げ、株価も大きく下げたがクロス・ベースでドルと共に円の買戻しが入って、ドル高、その他通貨安、クロス安&円高、そしてドルと円の綱引き通貨であるドル・円は僅かにドル買いが勝って小幅な上昇で週を終えた。
先週初と週末の終値を比べてみると、
ユーロ・ドル ユーロ・円 ポンド・ドル ポンド・円 豪ドル・ドル 豪ドル・円
6/14 1.2118 133.40 1.4105 155.27 0.7711 84.88
6/21 1.1859 130.71 1.3798 152.07 0.7479 82.43
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(-0.0259) (-2.69) (-0.0307) (-3.20) (-0.0232) (-2.45)
ドル・円 ダウ ナスダック S&P. 2年物利回り 10年物利回り
6/14 110.08 34,393.95 14,174.14 4,255.15 0.161% 1.497%
6/21 110.21 33,290.08 14,030.38 4,166.45 0.252% 1.443%
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(+0.13) (-1,103.87) (-143.76) (-88.7) (+0.091%) (-0.054%)
FOMC.やブラード総裁の発言により政策金利動向に影響を受けやすい2年物債券利回りが上昇したことは理解出来るが、10年債や30年債の長期の利回りが反対に下げたことが中々理解し難い。
考えられる理由として、
-長期金利上昇を見越して投機筋が債券の先物市場で売り持ちにしており、Buy on fact.(事実で買う。)で買い戻した。(債券価格上昇=利回り低下。)
-市場は商品価格の下落などを見てFRB.ほどインフレに対する懸念を抱いていなく、長期金利上昇に懐疑的である。
-FRB.が依然として月間800億ドルの債券を購入しており、需給の観点から債券価格の下落(金利上昇)を見込んでいない。
-世界の機関投資家(中央銀行を含む。)は1.5%前後の米国10年物債券利回りを当面は魅力的と感じており、ネットで買い越しとなっている。
などが挙げられようか?
買われているドルと円の通貨ペアであるドル・円は中々難しい。
長期金利の下落が止まれば将来的な日米金利差拡大を好感してドル・円相場も上がると思うが、かと言って10年債利回りが1.8%を超える様なことでも無い限り112円を超える様なドル高&円安も期待出来そうにない。
今までのレンジを多少上にずらして109.00~111.00のレンジを意識しておけば良かろうか?
週明けの東京市場では午後1時現在で日経平均株価が1,100円超下げてドル・円相場も109.75近辺まで下げている。
FOMC.の結果を見てドルが上がると思ったプレーヤーには意外な展開であろうか?
テクニカル分析の見立ては終値で109.65を下切れば108.80までの下落も有り、逆に110.65を上切れば111.00も有りとの事だが、109円台のLow.では買ってみても面白かろう。