”結局はドル安。”

f:id:okinawa-support:20190819165949j:plain

 

ドルの下落が止まらない。

ドル・円相場は今年の最高値の110.96を付けた3月31日の翌日4月1日から4日間の小反発を除いて下がり続け、綺麗な下げトレンドを形成している。

ここ2週間米国10年債利回りとドル・円相場の相関についてご紹介したが、ドル・円の戻り高値を付けた3月31日の米国10年債利回りの終値は1.744%で先週金曜日の終値は1.559%であったが、この0.185%の金利の下落がドル下落の要因であると言っても良かろう。

ドルは対円のみならず他の主要通貨に対しても下げており、このひと月結局は全体的なドル安の動きであったと言える。

f:id:okinawa-support:20210426181834p:plain


為替市場ではドル安が進んでいるが、先週バイデン大統領が所得100万ドルを超える富裕層に対する大幅なキャピタル・ゲイン課税の増税案を打ち出してニューヨーク株式市場の3指数が大きく下げ、10年債利回りも1.52%台まで下げる場面が見られた。

此の増税案は現行の20%からほぼ2倍の39.6%に引き上げることを提案する見通しで、所得税の限界税率は37%から39.6%に引き上げる。20万ドル以上の所得に課せられる純投資所得税(NIIT)の3.8%を含めると、全体のキャピタル・ゲイン税率は43.4%に上る可能性があり、富裕層のみならず一般投資家の投資欲を削ぐものと危惧されたが、議会での野党共和党との妥協も必要であり、未だ紆余曲折が有ると見て金曜日の市場では前日の下げを取り戻す上げを演じた。

アメリカ人の友人に言わせれば、”折角トレーディングで得た利益の凡そ半分も税金に持っていかれるのでは、やっていられない。”とのことであるが、最近の”マネーを使ってマネーを増やす。”マネー・ゲームの風潮には良い歯止めになるとも言えまいか?

バイデン政権が発足して以来、公約である財政支出拡大、増税、規制強化の財政支出のいいとこ取りだけ(財政支出を囃したてて株を買い、債券を売る。)してきた市場は多少目が覚めたであろうか?

5月は”Sell in May.”=(5月に売れ。)と言う格言が存在する。
来月は株式市場の調整の可能性に留意したい。

今週は27日~28日にFOMC.が開催される。
今回のFOMC.では経済見通しやドットチャートの公表もないが、先週突然カナダ中銀が資産買入れ額の縮小、所謂テーパリングを発表した後FOMC.がどの様な反応を示すのか興味深い。

FOMC.後のパウエル議長の記者会見で、緩和からの出口戦略に対するトーンに微妙な変化が見られるかどうかに市場は注目する。

パウエル議長は“量的緩和の段階的縮小は恐らく利上げのかなり前に行われる。“と述べ、”2022年末までに利上げする可能性は極めて低い。インフレ率はこれまで2%を下回っており、適度なオーバーシュートが望ましい。”などと、ハト派的な発言を続けているが、地区連銀の総裁の何人かは既にテーパリングの可能性について論じ始めている。

FOMC.において、FRB.が金融緩和からの出口を模索している様なニュアンスが伝われば、先週カナダ・ドルの反転に見られた様な動きがドル円でも見られる可能性もある。

月曜日の午後3時現在でドル・円相場は107.70近辺で取引されているが、この近辺に幾つかのテクニカル分析の要注意点が存在するらしい。

チャートを見ると、トレンドは未だドル安方向であることは明白であるが、売られ過ぎ、買われ過ぎを示唆するストキャスティクスは何時上昇・反転をしてもおかしくはない形を示している。

今週の見立ては終値で107.50を下回らなければ108.60を目指し、もし下回れば106.60を目指すかも知れないが、如何であろうか?



お断り。
来週のレポートはゴールデン・ウイークで東京市場が休場のため休載致します。
宜しくお願い致します。

top