高レバレッジ運用での失敗を活かし、ロスカットにならない「安心ロット」に切り替えてから着実に収益を上げ始めたMさん。相場に追従できるようになったことが、好成績をもたらす一番の要因となっているようだ。具体的にはどのようにトレードしているのだろうか。
以下の取材記事はトレーダー個人の経験やお考えに基づくものです。その内容について当社が保証するものではありません。実際のお取引については充分内容をご理解の上ご自身の判断にてお取り組みください。
Mさん プロフィール
年齢性別 :40代男性
職業 :会社経営者
FX歴 :3年
トレードスタイル:デイトレ、スキャルピング
投資商品 :FX
収支 :2021年1月&2月(約2カ月間)で1,200万円超
※㈱外為どっとコムでの収支
通貨 :ポンド/円
趣味 :ソロキャンプ
▼目次
1.チャートは時間を決めて見る
2.1分足はあなどれない
3.ファンダメンタルズは参考にしない
4.チャートからすぐ離れて仕事に集中
5.日や週をまたぐ取引をすることもある
6.決まった時間に見れば、必ずつかめる
7.ロスカットを許容することも大事
8.チャートにそのときの気持ちを書いておく
9.最終目標は3億5,000万円
10.少額でいい、経験値を上げていこう
チャートは時間を決めて見る
編集部:- Mさんのチャートの読み方が知りたいのですが、Mさんはどのようにチャートを見て、次の展開を予測して、ロング・ショートのポジションを決めるのですか?
Mさん:- まず、サポートラインは引きます。それで、ある程度の幅をイメージしながら、どの程度、ベクトルが上がっているのか、下がっているのか、ここでずっとレンジになるのか、また、日足とか、月足とかに切り替えて、何年前の相場が今の相場と似ているのかなどを分析します。
編集部:- 相場の方向性を分析するのですね?
Mさん:- これは最近なんですが、チャートにへばりついているわけではなくて、見る回数と時間を決めるようにしました。日本時間で朝の5時、10時、夕方4時、夜9時、夜中2時に起きて相場を見ています。そうすると、どこかのタイミングで、だいたいプラスに転じていますから、そのときに決済するのか、もうちょっと持ち続けるのかを見極めます。
1分足はあなどれない
編集部:- 日足、月足のほかは、どのようなローソク足を見られますか?
Mさん:- 1分足はよく見ますね。そこからどんどんと上位足に移ります。1分足はナメたらいけません。
編集部:- タイムリーに、今の相場の動きを示しているからですか?
Mさん:- ずっとじっとしているように見えながらも、上ヒゲと下ヒゲが出て、ものすごい押し合いになっているとか、市場の参加者が少なそうだとか、1分足を見ながら私は想像します。ひょっとしたら逆行するかもしれないと思ったら、安全のために、そこで決済し一度撤退します。
編集部:- いったん撤退した後、トレンドが出てから相場の動きに乗っかろうというような感じでしょうか?
Mさん:- そうそう。
編集部:- たくさん売られているのか、少しだけ売られているのか、それとも買われているのか、売り買いが激しいのか、そういうことを、チャートから判断されているということですか?
Mさん:- その通りです。だから、10対10の押し合いなのか、それとも、100対100の押し合いなのかを感じ取ろうとしています。
編集部:- 市場参加者たちの行動を想像し、その後、相場がどうなるのかを、そのときのローソク足の微妙な動き方から予測されているということですね。
ファンダメンタルズは参考にしない
編集部:- ところで、ファンダメンタルズの情報は参考にしていますか?
Mさん:- そういう情報収集はまったくしません。何かがあったときに、どう動くかはわからないけれど、そういうことがあるということだけを、頭に記憶しておけばいいと私は思っています。むしろ大事だと思います。例えば、「総理が退任すると、相場はいつもと違う動き方をする」というようなことを覚えておくんです。「雇用統計のような重要指標の発表で相場は動く」という方がいますが、私はそこで本当に動くのかは疑問に思います。だから、あんまり参考にするつもりはないんです。
チャートからすぐ離れて仕事に集中
編集部:- 仕事とFX取引との両立について教えてください。
Mさん:- 私の場合、一度FX取引を始めると、2~3時間はかかりきりになってしまうんです。だから、うまくいっていても、うまくいっていなくても、相場状況をチェックした後は、できるだけ忘れて仕事に集中するようにしています。メンタル面をやられたまま、チャートに釘付けになっていると、感情移入しすぎて、「これ以上、損失が膨らむのは嫌だ」と無理に「損切り」してしまうんですね。
編集部:- もう少しだけ、1日の過ごし方を教えてください。
Mさん:- 経営している工場は24時間稼働しています。朝4~5時には起きて、工場の様子を見回りに行きます。夜の9時に寝ますが、夜中2時に一度起きて相場をチェックします。ポンド/円相場は、夜中の2時頃に大きく動くのですよ。ですが、トータルすると8時間は睡眠をとるようにしています。
日や週をまたぐ取引をすることもある
編集部:- おっしゃるように、ポンド/円相場は激しい動きをする通貨として知られています。 ポジションの管理はどうされているのでしょうか?
Mさん:- 週をまたぎポジションを保有することもあります。
編集部:- 週ですか?デイトレやスキャルピングがメインということでしたが、どんなときに週を”またぎ”ますか?
Mさん:- 200万円くらいのマイナスになり、「その日のうちに決済してしまおうかな」という気持ちになるときがあります。ところが、相場状況によって「これはまだ持ち続けてもいいな、まだ大丈夫なはずだ」という気持ちになる相場の時があります。
編集部:- 両方の可能性があるということですね?
Mさん:- 説明がしにくいのですが、チャートを見て、1段階上のレンジに相場がシフトしてしまったのか、または、戻ってくる相場なのかを予測します。その辺をしっかり見極めて、売買を検討します。
決まった時間に見れば、必ずつかめる
編集部:- 今のお話を整理すると、「このレンジの中でまだ動くな」と思ったときは、損切りしないで、「明らかにステージ変わってしまいそうだ」と判断されたときは、200万円の赤字でも、諦めて損切りして、もう一度相場に入り直すということでしょうか?
Mさん:- その通りです。
編集部:- レンジのステージが変わるかどうかは、チャートの動き方次第で判断するということですね。でも、撤退基準がないと、予想が違ったとき、まったく身動きが取れなくなってしまうのではありませんか?
Mさん:- 私がさっき申し上げた時間に必ず相場をチェックすることを1ヵ月間続ければ、ぼんやりだと思いますが、傾向がつかめると思います。少量の取引でもいいので、自分のポジションが関係しているチャートをしっかりと見てみてください。チャートにはトレードのヒントがたくさん隠されていますよ。
ロスカットを許容することも大事
編集部:- ストップ注文や利益確定注文など、指定注文は活用されていますか?
Mさん:- 私の場合、指値注文(利益確定注文)は入れますが、ストップ注文は極力入れません。
編集部:- それは、定期的にしっかりと相場をチェックしているからでしょうか?
Mさん:- ストップ注文を入れておいて、自分のポジションが決済された後に、相場がまた逆行することが結構あります。そのときの悔しさは本当にすごいんです。ですから、しっかりと相場をチェックした上、自分なりの相場観を持って保有しているポジションについては極力ストップ注文は入れません。強制ロスカットが、私の「ストップ」でいいと捉えています。
チャートにそのときの気持ちを書いておく
編集部:- ご自身のトレード履歴を記録して、後から分析するようなことはしますか?
Mさん:- チャート上に”落書き”はしますね。「ここで買ったのは、ここからこんな感じで上昇すると思ったから」っていうように、あとで自分が見てわかるように、そのときの気持ちを書き留めるようにしています。
編集部:- 「トレードを楽しみたい」とおっしゃっていましたが、やはりトレードは楽しいですか?
Mさん:- そうですね。保有ポジションがマイナス200pipsになっているのを見て、やけ酒を飲んで寝て、夜中2時に起きて、アプリを開いたら、プラス500pipsになっていたときなんか、本当に嬉しさで目が覚めます(笑)。冗談はさておき、しっかりと相場と向き合い分析した結果、自分なりの相場観通りに相場が動いた時は、なんとも言えない達成感があり、本当に楽しいですね。
最終目標は3億5,000万円
編集部:- FXの年間目標や最終目標などはお持ちですか?
Mさん:- 今は本業から安定的に収入があります。会社の借入金がゼロにできるくらいに、FXで収益が上がったらいいなと思っています。最終目標は3億5000万円ですかね。会社のために購入した土地や建物の費用がそれくらいだったんですよ。でもまあ、今のペースだと、おそらく5年以上はかかるでしょうね。もちろん、会社の借入金ですから、本業の収益でしっかりと返済していけばいいんですが、何があるかわからないのが、会社経営ですから。今後もFXでの資産運用も頑張っていくつもりです。
編集部:- FXの取引環境を教えてください。
Mさん:- 私の場合は、スマートフォンがメインです。FXの一番の良さは手軽さでしょ。パソコンの画面をたくさん並べて、そこでしか取引できないというのは、私は違うと思っています。家のリビングと3つある事業所にパソコンは置いてありますが、FXの取引は機動性のあるスマホが一番ですよ。
編集部:- 仕事中に取引することはありますか?
Mさん:- ありません。仕事中はFXのことを忘れています。仕事が一段落したときに「今どうなっているかなあ。と、相場チェックすることはあります」が確認する程度です。先にも言いましたが、本業に支障がでてしまうような取引の仕方は、お勧めできません。
少額でいい、経験値を上げていこう
編集部:- もし、初心者の方から「FXやろうと思っているのですが、ちょっと悩んでいます。私はやるべきでしょうか、それともやめるべきでしょうか?」と聞かれたら、どう答えますか?
Mさん:- 悩んでいるくらいなら、本当に少額でいいから、1ロットでいいから、実際にやってみることを勧めますね。やってみて無理なら、すぐに離れればいいと思います。FXは経験がすべてです。まず、経験値を上げていくことが、とても大切だと思いますよ。
編集部:- 今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
PickUp編集部より
損切りするときはすべて自分の手で行い、いくらの損を出すのかを決めるというMさん。従業員を雇って24時間稼働する工場を経営する最高責任者として、すべて自らの責任において判断を下してきたことが、そうした手法に通じているように思えました。会社経営でもFX取引でも、ぜひ大成功を収めてほしいと思います。
【前編】
【トップトレーダーに聞く!インタビュー記事まとめ】