我が国の新型コロナ・ウィルスの猛威は一向に治まらず、全国の3日(土)の新規感染者数は1週間前に比べて43%増加したらしい。
現在新型コロナ・ウィルスに対する唯一の対処方法はワクチン接種と言われているが、我が国のワクチン接種は恐ろしく低いのが実情だ。
そう言えば何か月か前に“高齢者には4月12日からワクチン接種を始める。”と聞いたことが有るが、その後立派な(?)高齢者である塾長の所には何の音沙汰も無い
多くの医療従事者と日米首脳会談に出席する為に渡米する菅総理は接種を受けたとは聞いたが..
週末面白いことを発見した。
4月4日時点での主要国のワクチン接種率は以下の通りである。
イギリス 50.4%
アメリカ 31.4%
フランス 14.1%
ドイツ 12.3%
日本 0.7%
(Microsoft Bing.の資料による。)
大手のワクチン・メーカーのアストラゼネカを擁するイギリスは流石に最大の接種率を誇り、ファイザーとモデルナを擁するアメリカが追随する。
人口の関係でアメリカの接種率の方が低いのであろう。
為替相場を見ていてふと気付いた。
対ドルでのこれらの国々の通貨の強弱の動きはワクチン接種率に比例しているのではないか?
そこでドルを基軸として年初と先週末の為替相場を比べてみた。
ドルを中心に考えているのでドルは1とする。
1月4日 4月1日 変化
イギリス。=ポンド。 1.3563 1.3828 +2.0%(対ドルでポンド高)
アメリカ。=ドル。 1 1 ±0.0%
ドイツとフランス。=ユーロ。 1.2251 1.1760 -4.0% (対ドルでユーロ安)
日本。=円。 103.15 110.61 -7.2% (対ドルで円安)
まあ半分こじつけの様な物であるが、一言で言うと年初からの3ヶ月でドル高が進んだ間、ワクチン接種が盛んであったイギリスのポンドは対ドルで弱くなるどころか2.0%上昇した。
接種率31.4%のアメリカはまあまあと言うところで1とした。
ワクチン接種が進まなかった独仏のユーロは対ドルで4.0%下落した。
そしてワクチン接種が全くと言っていいほど進まなかった日本の円は対ドルで7.2%と大きく下落したのである。
バイデン新政権の新たな財政支出を好感し、コロナ後の景気回復に自信を持つニューヨーク株式市場では先週初ダウが最高値を更新し、S&P.もイースター休暇前の先週木曜日に最高値を更新した。
ワクチン接種がどんどん進んでコロナ後の経済に明るい希望が抱けるアメリカと、遅々としてそれが進まない我が国とでは自ずからその通貨に対しての評価が違っても不思議ではない。
先週高値110.96を付けた後110円台で落ち着いた動きを見せるドル・円相場であるが、もしこのこじつけのワクチン接種率と通貨の動きを参考にすれば中々円高の議論は出来ない。
敢えて天邪鬼的な発想をすれば筆者を含めて余りにも“ドル・円は下がらない。”と言う議論が増えてきたことだ。
2020年コロナ後の3月に付けた高値111.71や2月に付けた昨年の高値である112.22を超えれば120.00までは大きなレジスタンス(上値抵抗線)は無いとの意見も有る。
シカゴ・IMM.は更に円の売り持ち(ドルの買い持ち)ポジションを増やし、相場観を“ドル高”に転換したかに見える。
どうも現在のドル高の相場観は年初の“総ドル安論。”の反対に似た感じと言えなくもない。
逆に、我が国の個人投資家はついにドテンしてドルの売り持ちに転じた。
彼らは明らかに110円以上のドル高&円安は行き過ぎと感じている模様である。
但し、もし110円台が定着する様であれば彼らが再びドルの買い持ちに転じるであろうことは想像に難くない。
ドル・円相場の110円台には割高感が漂うが、どうやらレベル感に囚われないで弾力的に対処する必要性が有りそうである。
今週は前回のFOMC.議事録の公表が有るがこの中にテーパリングの表現が有れば米国長期金利上昇に拍車が掛かり、ドルの更なる上昇が見られるかも知れない。