総括
成長予想は9%に。本日の米中アラスカ会談に注目、対ドルではつかず離れず
予想レンジ 人民元/円 16.5-17.0
(ポイント)
*3月18日に米中外相会談がある
*1-2月鉱工業生産と小売売上高が急増
*UBSは21年の成長率を9%と予想
*1-2月の貿易収支で輸出が60%増となった
*2月生産者物価の伸びが大きい。インフレ懸念芽生える
*2月製造業PMIが悪化
*経済問題でも政治問題でも外交で妥協しない
*印紙税が引き上げられる
*2月で人民元は対円で7か月連続陽線
*中国の新型コロナによる死者は日本より少ない
*米国は対中関税を維持
*日本の1月の中国向け輸出は前年比37.5%増加
*2020年の経常収支は3000億ドル、ドイツを抜き首位に
*コロナ禍でも20年は2.3%成長
(対ドルではつかず離れず)
人民元相場は安定、バスケット構成比の高いドルに沿った動きとなる。主要12通貨中、ドルは7位、人民元は5位。一方、上海総合指数は弱く年初来マイナス圏となっている。GDP、貿易などの指標は力強い。2月の製造業などのPMIも悪化したが依然50以上を維持している。株だけが下落するのは2月PPIが1.7%上昇と1月の0.3%から大きく伸びて金融引き締め観測が高まったからか。人民銀行は穏健な金融政策を維持するとしているが、米国などと同様に市場は当局よりも先行きの金融引き締め観測が強い。
もし株価を持ち直させるものがあるとすれば米中アラスカ会談だろう。「米中で意見が大きく異なる課題を含めて様々な問題を話し合う」としているが、政経で力を伸ばしている中国はどの問題も安易に妥協はしないだろう。会議をするだけでも一歩前進だが、バイデン新政権の手腕が上海株にも影響しそうだ。人民元はドル高円安で安定か。
(1-2月鉱工業生産と小売売上高が急増)
1-2月の鉱工業生産と小売売上高は大幅に増え、予想を上回った。新型コロナウイルスショックからの景気回復が一段と鮮明になった。
鉱工業生産は前年同期比35.1%増加し、予想の30.0%増も上回った。
伸びが大幅だったのは主に昨年の生産が非常に大きく落ち込んだためとみられるが、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年1-2月と比較しても、生産は16.9%増加した。
国家統計局は、前向きな要因が増えているものの、中国経済回復の基礎はまだ盤石なものではないとの認識を示した。1-2月の小売売上高は前年比33.8%増加。予想は32.0%増。2019年1-2月との比較では6.4%増となった。
(バイデン政権、米中協議は強硬姿勢で臨む)
アラスカ州で3月18日に予定されている米中の高官協議に関して、米政府高官は、バイデン政権は結束し「より強硬な姿勢」で臨む考えで、関係改善への期待を表明している中国に「言葉ではなく行動で」示すよう求めると語った。
中国の香港政策や新疆における人権侵害、台湾への攻撃的行為、米国の同盟国やパートナーへの経済的支配について「深い懸念」を表明すると説明。
また、中国のサイバー空間での「悪意ある」行動などは容認しがたく、米国は中国に国際ルールの順守を求めるとした。
高官によると、米国は協議後の共同声明などは見込んでいない。
別の高官は、中国はこれまで約束をほとんど守ってこなかったとし、米政府は中国の姿勢が変わる可能性に現実的な期待を抱いていると説明。「米国の大きな競争相手となる大国と、妥協のない率直な議論を交わしたい」と語った。
(中国、日米共同声明に反発)
中国外務省の趙立堅報道官は17日の会見で、前日発表された日米共同声明が中国の海洋進出や香港・新彊ウイグル自治区の問題に懸念を表明したことに「厳重に抗議」したことを明らかにした。ただ今週、アラスカで行う米との閣僚協議で香港や新彊といった議題が排除されることはないと述べた。ただ「中国外交政策への悪意に満ちた攻撃であり、中国の権益を侵すことを意図した深刻な内政干渉」と批判。日本を米国の「戦略的隷属者」と表現し、中国が南シナ海や東シナ海で議論の余地のない主権を有すると主張した。
中国の権益を侵す包囲網の形成をやめるよう求めた。
テクニカル分析(人民元/円)
7か月連続陽線。3月も陽線か
日足、3月12日-15日の上昇ラインを下抜く。3月16日-17日の上昇ラインがサポート。3月16日-17日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。ボリバン2σ上限から小反落。
週足、2月15日-22日の下降ラインを上抜く。2月22日週-3月1日週の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限超える。
月足、7か月連続陽線。3月も陽線となりそうだ。1月-2月の上昇ラインがサポート。ボリバン2σ上限越える。雲中に入る。
年足、11年-20年の上昇ラインがサポート。18年-19年の下降ライン上抜いて2021年はオープン。 16年-18年の下降ラインも上抜く。
チーファンラマ
UBSが9%成長予想
UBSは中国経済が今年、当初の想定を上回る高成長になるとの見通しを示した。国内経済の力強い回復に加え、米国の経済対策が中国の輸出を後押しするとしている。
2021年のGDP成長率を9%と予想。そうなれば10年ぶりの高成長で、経済規模の米中逆転が早まる可能性もある。これまでは8.2%と見込んでいた。
「インフラ・不動産投資が鈍化したとしても、国内消費が実質で10%回復するとみており、輸出拡大と共に、企業の設備投資支援に寄与するはずだ」としている。
1-3月のGDPは、中国が新型コロナウイルス封じ込めのロックダウン(都市封鎖)を行った前年同期に比べ19%余り増えると予想した。
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