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香港メディアの変化と100兆元を突破した中国経済 為替は米ドル高「日本人の知らない香港情勢」戸田裕大

日本人の知らない香港情勢

こんにちは、戸田です。

本シリーズでは、発表された報道や現地の声、公表された経済データなどをもとに、香港や中国本土の最新の情勢について迫っていきます。香港ドル・人民元などの通貨売買のご参考にして頂ければ幸いです。

第30回は「香港メディアの変化と100兆元を突破した中国経済 為替は米ドル高」でお届けいたします。

それでは、さっそく本題に入っていきます。

目次

1.香港メディアの報道に変化
2.2020年 中国のGDPは100兆元を突破
3.香港ドルと人民元相場のアップデート

1.香港メディアの報道に変化

さて、毎週こうして香港情勢を追っていますが、香港メディアの報道姿勢に徐々に変化が表れていることを感じています。特に私がよくみているのが South China Morning Post という香港・華南地域の英字新聞ですが、半年前までは中立的な立場で意見を述べる社説も多かったですが、最近は、言葉を選びながら報道を行っている姿勢がひしひしと伝わってきます。実はこのSouth China Morning Post、アリババ系列ですので、最近の中国政府によるアリババ取締りとも、もしかすると関係しているのかも知れません。

香港では、2020年6月末に香港国家安全維持法が施行されてから、デモ取締りの強化、インフルエンサーの逮捕、民主派政治家の取締り、海外逃亡者への指名手配、教育改革、インターネットサービス・プロバイダー規制が行われ、そしていよいよウェブ・メディアの自主規制が強まっていると感じます。

香港におけるネット規制が徐々に強まる中で、香港企業がその国のルールを守るのは当然のことと思いますが、情報の受け手である我々は、そう言った国内事情を踏まえて記事が作られている点を考慮しなければならないと思います。これは日本や中国本土の報道についても同じことが言えますが、どの国の、誰が、どの立場で、どのメディアを通じて発言しているのかを自分なりに咀嚼できるようになっていくことがますます必要な世の中になってきていると感じます。

人間は意識をしないと情報の波に押しつぶされ、知らず知らずのうちに洗脳されてしまうものだと思います。少し手間はかかってしまいますが、なるべく、どこの誰がどの立場で発言した意見かを意識するようにして、可能であれば反対側の意見を聴くこともお勧めしたいと思います。

この記事を読まれている方は、FX取引を行っている方や、国際的なビジネスマンの方が多いのではないかと思います。FXにしてもビジネスを行うにしても、基本となるのは、事実の正確な把握だと思います。適切に事実情報に触れる環境を整えていくことで自然とFXやビジネスの勝率も上がると思いますので情報の整理を欠かさず行いたいものです。

2.2020年 中国のGDPは100兆元を突破

さて中国の2020年のGDPの速報が公表され、第1四半期が▲6.8%、第2四半期+3.2%、第3四半期が+4.9%、第4四半期が+6.5%となり、年間のGDP成長は+2.3%と発表されました。「世界中の先進国の年間のGDPがマイナス成長となることが予想される中で、中国だけが本当にプラスと言うことがあり得るのか?」このような疑問を持たれる方が多いのではないでしょうか。

私は正直に、中国の経済指標を鵜呑みにはしていません。しかし中国のGDPがプラス成長でも全く不思議はなく、今回のコロナでは、中国の全体主義と言いますか、鶴の一声で、外出規制を敷き、システム管理を徹底させた中国の手法は、世界でも飛びぬけて効果を発揮していたことは日本を含む、世界が認めなければならない点だと思います。

このような高い成果を残した中国政府から、今回のGDPに関する声明が発表されていますので、そのうちの一部をお伝えします。まずはGDPが100兆元(約1,600兆円)を突破したことに対する政府見解です。

政府見解:まず新型コロナウイルスの流行と言う特殊な環境下にあってもプラス成長を果たせたことは、偉大な成果である。一方で、中国は依然として世界最大の発展途上国であり、一人当たりのGDPは世界平均をわずかに下回っており、主要な先進国との差は依然として大きいことを十分に認識しておく必要がある。都市部と農村部の開発のギャップは依然として比較的大きく、イノベーション能力は依然として高品質の開発要件を満たしていない。経済的・社会的発展という長期的な目標を達成し、我が国を現代の社会主義国に育てるためには、絶え間ない努力が必要である。

中国政府の発表の通りですが、よく勘違いされるのですが、中国は人口が多いので、当然、経済規模も大きくて全く不思議ではないわけです。むしろようやく一人当たりのGDPが年10,000ドルに達したところであり、まだまだ日本や韓国の国民の方が金銭的に恵まれた環境にあることは言うまでもありません。しかし、国としての総合的な力、すなわち国全体の経済力はすでに日本の3倍近くになっていますので、発言力もその分、大きいということになります。ですからより中国の動向を注目してみていく必要があるわけです。政府見解をもう少し続けます。

政府見解:また新型コロナウイルスに関しては、一般的に言って、私たちには流行の拡大を制御する条件と能力がある。早い段階での流行の予防と管理の経験を積み重ねてきた。流行が発生した場所での迅速な行動、科学的な予防と管理の実施は、新しいコロナウイルスの蔓延を管理するのに役立つ。高度な予防と管理措置の実施は、生産と生命への影響を減らす。現在、ほとんどの地域の生産と生活は正常に機能しており、経済活動は概ね安定しており、流行の影響は制御可能である。

無論、中国の共産党を指導層とした指示系統、および全体主義的な考え方によって成せる技ではありますが、ほとんどの地域の生産と生活は正常に機能していると言い切れるあたり、今の中国の体制から、世界が参考にすべきところは多分にあると思います。

そんなものはない!と感情的になってしまえば、人間、それ以上の成長はありません。優れた点を他国から学ぶのは、日本が長い歴史から行ってきたことだと思います。日本のメディアにはこうした中国の成功事例についてもしっかり報道して頂き、議論に挙げて頂きたいと切に願っているところです。

3.香港ドルと人民元相場のアップデート

さて相場環境を確認していきます。先週の為替相場は米金利が上昇する中で、一段とドルが買われる局面もありましたが、バイデン新政権の新たな経済対策も公表され、ある意味、市場に材料の出尽くし感も広がったことで、上昇してきた株式市場の勢いに陰りがみられ、ややリスクオフのムードに包まれました。

このような市場環境の中で、香港ドルは以下のような動きとなりました。

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香港ドル/日本円(HKD/JPY)は13.40台を維持することは出来ず、13.30台後半での推移が続きました。今週も、ドル円の動きに大きく影響をうけることになりますが、ドル円が3ヵ月の移動平均を上回る水準、つまり104円台をキープ出来るのであれば、香港ドル/日本円も13.40台が定着し上抜けてくる可能性が高いとみています。

また米ドル/香港ドル(USD/HKD)についても反発の兆しが見られており、ドル買戻しに連れて、レンジの下限である7.75から離れ、緩やかに7.76台へと向かう流れが継続しています。こちらもドル買戻しの中で、引き続き上昇していくことを想定しています。

最後に人民元を見ていきます。

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人民元/日本円(CNH/JPY)の一方的な上昇は一服、直近では16円を割り込み15.90台後半での動きが続いています。しかし、1週間、1ヵ月といったスパンでみれば、まだまだ上昇気流に乗っている人民元/日本円、基本的には下がったところを買いで入るとワークしやすいと思います。

米ドル/人民元(USD/CNH)については、ようやく人民元高が一段落しています。足元では6.50台に乗せて推移しており、人民元金利の低下傾向も続いていることから、もう一段のドル高・人民元安への動きが想定されます。人民元の買いでエントリーする場合には、今は対円の方がワークしやすいと思います。

それでは本日はここまでとなります。

引き続き注目度・影響度の高い、香港及び中国本土の情報について皆様にご報告させて頂きたく思っております。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

戸田裕大

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【インタビュー記事】

<参考文献・ご留意事項>

各種為替データ
https://Investing.com

日本経済新聞:香港国安法で初、サイト接続遮断 警察官らの情報掲載
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68239070W1A110C2NNE000

日本経済新聞:香港、個人情報掲載サイトを遮断 国安法適用で初
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM161EJ0W1A110C2000000

South China Morning Post: サイト全体を眺めて感じた所感を掲載

国家統計局:国家统计局局长就2020年全年国民经济运行情况答记者问
http://www.stats.gov.cn/tjsj/sjjd/202101/t20210118_1812480.html

【過去の「日本人の知らない香港情勢」はこちら】

株式会社トレジャリー・パートナーズ 代表取締役 戸田裕大 (とだ・ゆうだい)氏
代表を務めるトレジャリー・パートナーズでは専門家の知見と、テクノロジーを活用して金融マーケットの見通しを提供。その相場観を頼る企業や投資家も多い。 三井住友銀行では10年間外国為替業務を担当する中で、ボードディーラーとして数十億ドル/日の取引を執行すると共に、日本と中国にて計750社の為替リスク管理に対する支援を実施。著書に『米中金融戦争─香港情勢と通貨覇権争いの行方』(扶桑社/ 2020 年)『ウクライナ侵攻後の世界経済─インフレと金融マーケットの行方』(扶桑社/ 2022年)。