“ゲーム・チェンジとはならず。”

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年が明けた新年の第1週こそ昨年から続くバイデン新政権の大規模財政支出拡大とFRB.による金融緩和姿勢継続の期待により、昨年から続く所謂リスク・オンの株高、債券安(金利高)、そしてドル安の流れがそのまま引き継がれた感が有ったが先週は思わぬ動きを見ることとなった。

そのきっかけは何人かの地区連銀総裁とFOMC.メンバーによる早期テーパリングの可能性についての言及であったであろう。
彼らの発言の根拠は恐らく止まることを知らない株価の騰勢とビットコインを始めとするリスク資産の高騰による資産インフレを懸念してのことであったのではなかろうか?

パウエルFRB.議長は短期的にインフレ率が2%を超えても緩和姿勢を変える積りは無いと明言していたが、FRB.がよくやる手(?)として先ずはFRB.高官にテーパリングについて発言させることによって金融政策変更の可能性を仄めかせ、市場の反応を見て最後に議長がFRB.全体の意見を代表する形で発言する可能性もあるのかと勘繰っていたが、パウエルFRB議長は注目のプリンストン大学でのオンライン・インタビューで、“経済状況は依然として目標からかけ離れており、目標が十分に達成されるまで、大規模な緩和スタンスを変更する理由はない。”と述べ、更に“利上げや量的緩和の縮小については当面ない。”と強調して市場の懸念を払しょくした。
結局市場の一部が恐れたゲーム・チェンジとはならなかったのである。

パウエル発言を受けて一時1.18%を付けていた米国10年債の利回りは再び1.08%台まで下落したが、株式・為替市場共に債券市場とは整合性の取れない動きをした。

債券が買われて10年債利回りは下げたものの、前週の金曜日に3指数とも最高値を記録したニューヨーク株式市場ではじり安の展開となり先週金曜日には3指数とも週の安値で引けることとなった。

債券高(金利安)の中株が売られ、為替市場でドルは対ポンドと対円では大きな動意は見られなかったが、対ユーロでは週の始値1.2214から終値1.2076までドル高(ユーロ安)が進み、結果として株安、債券高、ドル高となって昨年見られたリスク・オフのパターンに戻った

さて、今回市場が恐れたゲーム・チェンジとはならなかったがこのままこのパターンが続くとも思えない。

短期的な“買われ過ぎた株の利食い売り、売られ過ぎた債券とドルの買い戻し。”の動きと見て良いのではなかろうか?

中長期的な流れは依然としてリスク・オン相場の株高、債券安(金利高)、そしてドル安と考えている。

先週のレポートでも述べた様に103円前後での財務省、金融庁、そして日銀による三者会談とやらが功を奏して値を戻したドル・円相場であるが、大きな抵抗線と目される104円台のミドルを前にして我が国の個人投資家による大量のドル売りが持ち込まれた。

前週ネットで41億ドル相当のドルの買い持ち(円の売り持ち)であったポジションが一挙に17億ドルも減り、24億ドル相当に落ちた。

この数字は毎火曜日に日経Quick.社が大手外為取引業者8社の数字を元に集計したものであるが、奇しくも1月5日(火)に本年の安値102.60、1月12日(火)に本年の高値104.39に近い104.33を示現している。

見事に102.50~104.50のレンジ取引を行っているとも言えようか?
天晴れであります。


さて今週はトランプ大統領に対する弾劾訴追で揺れる中、バイデン新大統領による就任演説が注目される。

バイデン新大統領は先週既に1.9兆ドルにも上る追加経済対策を発表したが市場はあっという間にそれを織り込んで株価は安値引けした。

就任演説が目新しさに欠けるようであれば噂されるトランプ支持を謳う集団の不穏な動きへの警戒も相まって金融市場の調整、言い換えれば株価下落、債券価格上昇(金利低下)、そしてドルが買われる地合いが続く可能性は有るが一過性のものであろうか?


ドル・円に関しては104円台ミドルの上値抵抗線を評価して再び戻り売りのスタンスで臨みたい。

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