“新年あけましておめでとう御座います。”

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コロナに始まり、コロナに終わった2020年が終わり、新たな年を迎えた。
一時危惧していた正月明けの波乱も起きず、2021年は静かな幕開けとなった。

昨年の主要指数の年初と年末のニューヨーク市場の終値を比べてみると、昨年は株高が進んでリスク・オンとなり、ドルと円が売られたがドル売りが勝ってドル・円相場は4.8%下落した。
これは対ユーロでのドルの下落率9.4%に比べれば穏やかなものであったと言えまいか。

米10年債利回りは凡そ1%弱下落し、反対に日本国債10年物は0.045%上昇して日米名目金利差は縮まったにも拘わらずドル・円相場の下落幅が小さいことは興味深い。
尚、インフレ期待率を引いた実質金利差は名目金利差以上に縮小している。

塾長は2021年も米国財政支出拡大、FRB.による積極的な金融緩和策継続により更にドル安が進行すると見ているのだが、可能性としてドル・円の下落余地が他の主要通貨よりも大きいと考える。

  ドル・円 ユーロ・ドル 日経   ダウ   ナスダック JGB. 米債10年 
1月 108.54 1.1171 23,204.86 28,868.80 9,092.19 -0.025% 1.877%
12月 103.29 1.2217 27,444,17 30,606.48 12,888.28 +0.020% 0.916%
-4.8% +9.4% +18.3% +6.0% +41.8% +0.045% -0.961%


ところで今年も日経ヴェリタスが著名エコノミストによる新年恒例のアンケートを行ったが、その結果のまとめをご披露したいと思う。

先ずは昨年も為替相場の動きに最も影響を与えた株価(日経平均株価)であるが、高値の平均値は29,845円で、その最高値を更新する月は、
1月4名、2月0名、3月2名、4月1名、5月7名、6月7名、7月2名、8月0名、9月5名、10月2名、11月2名、12月31名(計63名)で圧倒的に12月の高値更新を予想する向きが多い。

安値の平均値は24,045円で、その最安値を更新する月は、
1月15名、2月11名、3月6名、4月5名、5月2名、6月6名、7月2名、8月2名、9月3名、10月4名、11月5名、12月2名(計63名)で非常にばらけているが、6月までの半年以内に最安値を付けるだろうと予想する人が45名居り、総括すると日経平均株価は年央までに安値を付けて年末に向かって値を上げると見る向きが多いと思われる。
レンジは24,000円から30,000円と言うところか?

次にドル・円相場であるが、円の高値(ドルの安値)の平均値は99.47で、その最高値を更新する月は、
1月10名、2月13名、3月16名、4月4名、5月2名、6月4名、7月2名、8月5名、9月0名、10月1名、11月1名、12月5名(計63名)で最初の三月で過半数以上の39名がドル・円相場の底が来ると予想する。

円の安値(ドルの高値)の平均値は108.56で、その最安値を更新する月は、
1月4名、2月3名、3月1名、4月2名、5月2名、6月2名、7月0名、8月0名、9月2名、10月4名、11月6名、12月37名(計63名)で此方は過半数以上の47名がドル・円の天井が10月から12月の年末に来ると予想し、その内の圧倒的多数の37名が12月に集中している。
レンジは99.50から108.50と言うところか?

株価と為替相場予想を一緒にすると、年央までに株価、ドル・円相場共に安値を付けて年末に向かって値を上げるというものであるが、恐らくこれは
-新型コロナ・ウィルスの影響による景気減速、株価低迷(?)は年央まで続く可能性が高い。
-年後半に掛けては新型コロナ・ウィルスに対するワクチン開発も進み、穏やかに景気は回復する。
と見る向きが多いのではないかと思われる。

エコノミストの皆さんのこの予想は塾長のそれに近いものであるが、株価上昇と共にドル・円相場も上昇すると言うのは昨年とは逆の動きであり、此方も興味深い。

このシナリオが崩れるリスク・シナリオとしては、
-昨年は膠着状態となった米中対立再燃。
-米ロ対立の顕在化。
-株価上昇と景気過熱に対する予防としてのFRB.による金融緩和期待の後退。
-米国長期金利上昇。
-米国によるドル高政策の放棄。
などが考えられるが、取り越し苦労であろうか?


年明けのドル・円相場は103円前後で始まり、静かな展開を見せているが早速1月5日には波乱の展開が予想される。

米大統領選挙はバイデン候補が当選を確実としたが上院の2議席が未だ確定せず、5日にジョージア州で行われる決戦投票で残り2議席を争う。
現在は共和党50議席、民主党48議席で現在共和党員が持つ残りの2議席が何方に行くかで共和党が過半数の50議席以上を獲得するかどうかの瀬戸際となっている。
もしこの2議席を民主党が獲得すれば下院は共和党50議席対民主党50議席のタイとなり、最後は民主党のハリス副大統領の採決に任されることとなって、下院も民主党が制して大統領、上下院全てが民主党となり所謂ブルー・ウェーブ(民主党一色)となる。

そうなれば増税案、財政支出拡大案など全て民主党の思い通りとなる可能性が高く、ウォール・ストリートはかなり緊張感を持って身構えていると聞く。

年末12月31日の最後の取引日にダウ、S&P.共に史上最高値を更新するなど株価の騰勢は止まらないが、思わぬ調整が起きる可能性については留意したい。
株価の調整が起きればドルが買い戻される場面も見られようが、その時はドル・ショートを増やす絶好の機会となるのではなかろうか?

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