先週の金融市場(株式、債券、為替各市場)は英国のEU.の離脱騒ぎで未だもめている英ポンド以外は極めて落ち着いた動きを取り戻し、終わってみれば何れも小動きに終始した感が有る。
11/30終値 高値 安値 12/4終値 変化
日経平均株価 26,751.24 26,817.94 26,467.08 26,652.52 -0.4%
JGB.10年債利回り 0.020% 0.020% 0.010% 0.010% -0.010%
ダウ30種平均 30,218.26 30,173.88 29,999.26 30,046.37 -0.6%
ナスダック 12,464.23 12,582.77 12,338.95 12,377.87 -0.7%
S&P. 3,699.12 3,702.25 3,663.46 3,663.46 -1.0%
米国10年債利回り 0.972% 0.939% 0.896% 0.896% -0.076%
ドル・円 104.18 104.57 103.83 104.03 -0.1%
ユーロ・ドル 1.2121 1.2166 1.2060 1.2111 -0.1%
ポンド・ドル 1.3483 1.3477 1.3225 1.3228 -1.9%
(11月30日から12月4日までのニューヨーク市場終値)
アメリカの情報ソースの一人と話していると、“Time to pack up.”=(そろそろ荷造りをする時だ。)と言うので、“Pack up to go where ?”=(荷造りして何処に行くんだ?)と訊くと、“Going nowhere because of COVID-19.”=(コロナのお陰で何処にも行けないよ。)と我々と同じ様な答えを言ってきた。
ニューヨークでは未だ外出制限にまでは至っていないものの、ニューヨーク州のクォモ知事はホリデイシーズンを控えて幾つかの制限に踏み切る可能性について言及しており、市民の間でも不安が増している模様である。
“荷造り”と言うよりは“ポジションを閉じる。”と言う意味合いのほうが大きかったと思われるが、どうやらここ数週間に渡ってドルのネガティブ・キャンペーンを行ってきた米系証券・銀行の短期筋がドルを相当買い戻したらしい。
その後の感想は“ドルを相当買ったが、ドルの頭は重い。”であった。
外資系銀行に長く務めた筆者に言わせると、“基本的には12月は何もしない。”のが常であった。
与太話になってしまうが外資系銀行の決算は12月であり、ディーラーのパフォーマンスの結果は大体11月の終わりで締める。
1月から11月までのパフォーマンスが良ければ(儲かっていれば)ボーナスを貰え、悪ければ(損をすれば)ボーナスを貰うどころか、くびになる。
言い換えれば12月に一生懸命頑張ってもボーナスには反映されず、下手をして損でもすればボーナスが減ってその上怒られるのが関の山。
だからディーラーは必然的に“12月は何もしない。”か、保有するポジションの“巻き戻し。”を図る事はご理解頂けよう。
その結果、先週彼らがドルの買い戻しを行ったのである。
まあ、良かろう、利食い千人力と言う。
今週は今年最後のFOMC.が開催される。
市場予想を下回った先月の雇用統計の数字を受けて次回FOMC.では、資産購入のガイダンス(継続期間や終了条件の方針)が強化されると見込まれるほか、買い入れ国債の年限長期化や買入額の拡大を通じて長期ゾーンの金利上昇を抑える姿勢が示される可能性が高い。
そうなればドルは再び下値をトライする動きになりそうだが、市場予想に反して何も無ければドルは上昇しよう。
それが筆者を含めたドル・ベア(ドルに対しての弱気論者)にとって最後のドル売りチャンスとなろうか?
来年のドルに対する弱気予想を受けて輸出業者の実需のドル売りオーダーが104.50から105円に掛けて並ぶと聞く。
ドル・円に関しては依然としてSell on rallies.=(ドルの上昇局面でドルを売る。)の戦略で臨みたい。