“No confidence.”

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先週初の月曜日、米製薬大手ファイザーに続き、米モデルナも新型コロナウイルス・ワクチンが高い予防効果を発揮したと発表して欧米の株価が大幅に値上がりしてダウとS&P.は史上最高値を更新したが、その後市場が落ち着きを取り戻ると徐々に値を戻した。
月曜日の株価ラリーの前週の金曜日と先週の金曜日の終値を比較すると、多少のアップ・ダウンは有ったものの日欧米市場全てその変化は上下1%以内に留まり、その間為替市場でもドル・円、ユーロ・ドル、ポンド・ドルも同じく1%以内に留まる結果となった。

          前週終値      高値      安値     金曜日終値   変化
日経平均株価   25,385.87      26,014.62   25,385.87    25,527.37        +0.6%
ドイツDax.      13,076.72     13,201.89   13,076.72    13,137.25        +0.5%
イギリスFTSE.   6,316.39       6,421.29     6,316.39      6,351.45        +0.6%
ダウ30種平均   29,479.81    29,950.44   29,263.48     29,263.48         -0.7%
ナスダック      11,829.29    11,924.13    11,801.60     11,854.97       +0.2%
S&P.                3,585.15       3,626.91      3,557.54      3,557.54        -0.8%
ドル・円            104.61          105.15         103.66        103.83         -0.7%
ユーロ・ドル      1.1832          1.1893         1.1800        1.1859         +0.2%
ポンド・ドル      1.3197          1.3312         1.3110        1.3290         +0.7%

一言で言えば、米政権の権限移譲の遅れ、世界中で新型コロナウイルスの新規感染者数増加、それによる経済活動低迷下を懸念して多少腰が引けていた時に月曜日、新たな新型コロナウイルス・ワクチン開発のニュースが流れて一気にリスク・オンとなって株価は上昇したが、矢張り一向に進まぬ米政権の権限移譲、世界中で益々新規感染者数が増える中、市場が落ち着きを取り戻すにつれて徐々に値を戻して“行って来い。”の相場になったのだろう。

多くの人が“No confidence.”=(自信が無い。)の状況でニュースに敏感に反応して取り敢えずポジションを取るものの、直ぐに買い戻したり、逆に売り戻す傾向が強いのかも知れない。

連休明けの月曜日のニューヨーク市場で11月の米総合購買担当者景気指数(PMI.)速報値が好調だったことや、米大統領選で勝利を確実にした民主党のバイデン前副大統領が財務長官にハト派(金融緩和策に積極的)と目されるイエレン前FRB.議長を起用すると伝わったことに加え、英製薬大手アストラゼネカが開発中の新型コロナワクチンで高い有効性が確認されたと発表されたことや米ファイザーが開発中のワクチンの接種が12月11日にも始まる見通しとの報道を受けて3指数共上昇して始まった。
先週と同じパターンである。

本日の東京市場ではニューヨーク市場の流れを受けて日経平均株価が大幅上昇で始まったが(午後3時現在金曜日比約+638円)、ワクチン開発のニュースもよく考えたらこれらのワクチンはまだ治験段階であり、その有効性や安全性が確認され、アメリカ食品医療品局(FDA.)が正式に使用を承認するのは未だ先のことであろう。
実際に期待通りの効果を上げるかどうかも定かではない中、ワクチンのニュースが出る度に株式市場が過剰反応することに多少違和感を感じざるを得ない。

かく言う筆者は、もし新型コロナウイルスのワクチン供与の話が有ったとしても直ぐに飛び付いて受ける積りはさらさら無い。

ドル・円相場は再び104円台ミドルを回復したがショート・カバー以外にドルを買う理由は見当たらない。


相次いで米銀大手が2021年の見通しとして顧客に対して大幅なドル安を見越すレポートを送っているのが気になる(皆がドル弱気に傾く。)が、そのドル安を唱える理由は納得の出来る物である。

因みに各社の見通しは、
   ドル・円  ユーロ・ドル  ポンド・ドル
A社。   88.62            1.39                  1.43

B社。 ドル下落        1.25                  1.35
B.社はドル・円相場の具体的なレベルに関しては触れていないが、“2021年は下げるが年末に掛けてFRB.の(2023年の)利上げ期待で上昇する。”としている。

C社も具体的なレベルには言及していないが、ドルが現在過大評価されていて2021年は約20%減価するであろうとし、単純に現時点でのドル・円104.50、ユーロ・ドル1.1855、ポンド・ドル1.3340から逆算すると、
   ドル・円  ユーロ・ドル  ポンド・ドル
C社。    83.60            1.42                  1.60
となる。
ポンド・ドルの1.60は有り得ないと思うのだが、ドル・円とユーロ・ドルはA社の予想ともそう外れてはいない。
エコノミストやストラタジストの机上の空論だと言ってしまえばそれまでだが、ドルに弱気な筆者には合点がいかない訳でも無い。


ニュースに反応してドルが上がる局面ではSell on rally.=(ドルが上昇すると売り向かう。)の戦略で臨みたい。

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