“近付く米大統領選挙。”

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米大統領選挙がいよいよひと月ちょっとに迫って来た。

現職大統領の共和党トランプ大統領と民主党バイデン候補の接戦は続いており、最新の世論調査では数字の上では依然としてバイデン候補がやや勝っているが、未だ予断は許さず親しいアメリカ人に訊くと(勿論多くが共和党員であるが。)“どっちが勝っても不思議ではない。”状況らしい。

先ずトランプ大統領が再選された場合であるが、取り敢えず大きな金融市場での混乱は無かろう。

もしバイデン候補が勝利した場合であるが、彼が公約として挙げて来た法人税の増税や新たに掲げたキャピタルゲイン増税案などを考えると、金融市場特に株式市場は相当下げるであろうと考えざるを得ない。

ここひと月調整色の濃い動きとなっているニューヨーク株式市場はバイデン勝利の可能性を少しずつ織り込みつつあるのではなかろうか?

勿論バイデン候補が選挙前の公約通りに動いて株式市場を震撼させる様な愚かなことをするとも思えないが、当面の最大のリスク要因として認識しておくべきであろう。

大統領選挙は11月3日(火)に行われるが、アメリカの場合日本の選挙の様に即日開票で誰が当選したかは直ぐには分からない。
それは郵便投票の割合が多くて直ぐに開票結果が出ないからである。
民主党員の約6割が郵便投票を行うと言われているが、11月3日選挙当日以降トランプ、バイデンの何方が優勢かの報道が熱を帯びそうである。

投票所投票の多い共和党員に押されたトランプ現職大統領が開票当日はもしかして圧倒的に票を取ったかに見えるが、郵便投票分を開票するにつれて徐々にバイデン候補の票が増えて来てトランプ票に迫ってくることが考えられる。

だから今からトランプ大統領は“郵便投票は不正の温床だ!”と揶揄してその有効性について疑義を挟む。

2000年のゴア対ブッシュの選挙戦のように接戦となる可能性が非常に高く、トランプ大統領が郵便投票の合法性を問題として最終的な当落判断が最高裁に持ち込まれる可能性が大きい。

先日リベラル派のルース・ギンズバーグ最高裁判事の死去に伴って、後釜としてトランプ大統領から最高裁判事に指名されたキリスト教保守派の支持が強いことで知られるエイミー・コニー・バレット連邦控訴裁判事の事が注目される。
ギンズバーグ判事の死去前の最高裁は9名の判事の内5名が保守派(共和党寄り)で4名がリベラル派(民主党寄り)で構成されていたが、バレット判事が10月中にも上院で最高裁判事として承認されると最高裁判事の構成が保守派6名、リベラル派3名となって上述の様に当落判断が最高裁に持ち込まれた場合、トランプ大統領は圧倒的に有利な立場となる。

合衆国憲法では2021年1月20日から新大統領による新政権がスタートしなければならない。
それまでどの様な修羅場となるかは不明であるが、11月3日から1月20日まで“とんでもない状況。”となって金融市場が大きく翻弄される可能性は高い。

投資家はリスク・オフの動きを取らざるを得ず、株価は下がる可能性が高かろう。

その場合の為替の動きを読むのは難しい。
リスク・オフになればドルと円共に買われる可能性が高く、ドル・円単体は動き難い。
ドル高=その他通貨安、円高=その他通貨安と単純に考えればクロス・ベースでの円買いがワークしそうである。


今週は月末を控えて機関投資家によるリバランスの動きに注目したいが、ニューヨーク株式市場で先月末から3指数とも下げており、(ダウは-4.4%、ナスダックは-7.3%、S&P.-5.8%)ドル買いが起きる可能性が高いかも知れない。

先週のドル・円相場は105円以下の底堅さを見せ付けられたが、104.50~106.50のレンジを意識しながら高い処での買い、安い処での売りを慎みたい。

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