総括
バイデン氏なら中国との経済関係リセットへ 人民元は中期では安定で小動き
予想レンジ 人民元/円 15.0-16.0
(ポイント)
*米中の対立というか中傷合戦は続く
*バイデン氏は経済関係のリセットを目指す
*トランプ米大統領は、「ティックトック」の事業再編交渉に関し、オラクルとの提携案を承認する考えを示した。
*中国国債は90%の確率でWGBIに採用される見込み
*経済指標は概ね好調
*物価動向は落ち着いている
*米中GDPの逆転も近いか
*テスラの中国販売は好調
*香港国家安全法は53か国が支持、27か国が懸念
*2022年は米中国交回復50年
*2021年は共産党建党100年
*世界各国は中国貿易において濃密すぎる関係
*20年は3%成長の公算
*IMFは中国の回復を示唆
*今年は「第13次5カ年計画」の最終年
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
(市況)
中国の経済指標は依然強い。8月貿易統計の輸出の伸びに続き、8月の鉱工業生産は8カ月ぶりの高い伸びを記録し、小売売上高は今年初めてのプラスとなった。新型コロナウイルス危機からの景気回復がより広い範囲で進展していることが示された。1-8月の固定資産投資も政府の刺激策などに支えられて減少幅が縮小した。人民元は8月から上昇していたが、9月15日に対円日足でボリバン上限近くで反落した。
人民銀行は、為替制度を大幅に変更する必要はないが、短期資金の大規模な流入や人民元が急騰するリスクに細心の注意を払う必要があるとの見方を示した。コロナ危機後の中国経済の回復を背景に、人民元の対ドル相場は5月下旬の安値から6%あまり上昇。外国人投資家による中国債の保有高は1-8月に28%増加した。3%の利回りが人気の理由だ。
(ティックトックは、アプリのダウンロード禁止について差し止めを請求)
ティックトックは23日、アプリの新規ダウンロードを27日から禁止するトランプ米大統領の命令について、米国の裁判所に差し止めを請求した。
米政府内では、ティックトックを利用している最大1億人の米国人のデータが中国共産党に提供されている恐れがあるとの懸念が広がり、大統領令の発出につながった。ただティックトックは、この命令は「純粋な安全保障上の不安ではなく、間近に迫ってきた選挙に絡む政治的な思惑が動機になっている」と指摘した。
(いじめっこ合戦)
*中国の習近平国家主席は、いかなる国も「好き勝手に行動したり、世界の覇者やガキ大将、ボスであるかのように振る舞ったりするのを許される」べきではないと述べた。
*環球時報は「米政府のいじめの姿勢や乱暴な論理を広く示しているのは明らかだ。中国の安全保障や国益、尊厳を損なう内容だ」と批判した。
*トランプ米大統領は、国連総会で新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだ上で「中国が世界に拡散させた」と指摘、「国連は中国に責任を取らせなければならない」と非難した。
* スティルウェル米国務次官補は、最近の世界各地での中国の行動を見る限り、中国は「責任感のある世界的な経済主体」ではなく、「無法ないじめっ子」だと述べた。
(バイデン氏は中国との経済関係リセットへ)
民主党のバイデン大統領候補の顧問は、中国との完全なデカップリングは非現実的との考えを示し、バイデン氏が大統領に就任すれば、中国との経済およびテクノロジーを巡る関係をリセットし、不公正な慣行に対抗すると言明した。
バイデン氏のシニア外交顧問ブリンケン氏は「一部が提案しているような中国との完全なデカップリングは非現実的で、結果的に非生産的」と指摘。バイデン氏は同盟国との関係再構築やテクノロジーに関する国際基準の設定などを通じ、米国の戦略的影響の拡大に注力していくと述べた。
その上で「現時点で中国の戦略的地位は米国に勝っている」とし、バイデン氏が米国の対中競争力の拡充に注力するとの見通しを示した。また、「必要であればバイデン氏は関税を導入するだろう。しかし、戦略や計画に基づき、米国民に害を与えるのではなく、成功するために導入する」とした。
(ワクチン開発加速)
中国国家発展改革委員会は9月23日、ワクチンの技術革新、診断、試薬、抗体医薬の開発を加速させる方針を示した
(中国国債は90%の確率でWGBIに採用)
モルガン・スタンレーは、中国国債が今週、国債の代表的な指数の1つであるFTSEの世界国債インデックス(WGBI)に組み入れられる確率を90%に引き上げた。中国が市場慣行をさらに改善したことを受けた。
指数算出会社FTSEラッセルはWGBIの年次見直しの結果を24日に発表する予定。WGBIをベンチマークとする資金は推定2兆ドルに上る。
実際の組み入れは2021年9月となり、今後数年で中国に600億-900億ドルの投資マネーを呼び込み、今後10年では3兆ドルの流入につながると推計する。
テクニカル分析(人民元/円)
一気にボリバン上限から下限、そして中位に戻しきれず
日足。9月15日にボリバン上限に達するも9月21日にはボリバン下限を下抜く。9月15日-23日の下降ラインが上値抵抗。21日-22日の上昇ラインを下抜く。ボリバン下限の15.37がサポート。5日線下向き。
週足。7月27日週はボリバン下限に達するも先週はボリバン上限。8月24日週-9月21日週の上昇ラインがサポート。9月14日週-21日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、6月-7月の下降ラインを上抜く。7月-8月の上昇ラインがサポート。ボリバン中位。18年6月-19年4月の下降ラインが上値抵抗。
年足、11年-19年の上昇ラインを下抜くも上抜き返す。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。
チーファンラマ
日中首脳会談
日中首脳が9月25日夜に電話会談を行う方向で調整に入ったことが分った。
菅首相はモリソン豪首相やトランプ米大統領らと順次電話会談を行っており、習主席との会談もその一環。また、日韓両国政府は24日午前にも菅首相と文在寅大統領との電話会談を行う方向で調整に入っている。
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