“8月円高のアノマリーは有効か?”

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8月は円高に成り易いと言うアノマリー(通常の理論では説明出来ないものの、経験的に観測出来るマーケットの規則性。)が存在する。
1998年から昨年までのデータを見ると、22回中17回円高に成っている。

これは月足ベースで見た場合、月初の始値と月末の終値を比較して月末の終値がドル安&円高に成っている確率が77%(22回中17回)にもなっている事であり、確かにアノマリーと言っても過言ではあるまい。

何故8月は円高に成り易いかと言うと、8月中旬に起きる外債投資の果実分の円転と輸出業者のドル売り予約の台頭だと説明されている。

2020年8月の初日の始値は105.82で8月31日(月)ニューヨーク市場の終値がこれを下回れば今年も“8月円高のアノマリー”は有効であったことに成るが、果たしてどうなるか?
本日ドル・円相場は午後3時現在で105.88近辺で取引されており、微妙なところであるが8月31日(月)ニューヨーク市場の終値はこれを下回り、アノマリーは有効だったことに成るのではないかと思っている。

理由として、
ー24日から27日の予定で共和党大会が開催され、トランプ大統領が指名受諾演説を行うが最近の世論調査では支持率をかなり巻き返しているトランプ大統領が、米国産農産物購入、国家安全保障上の配慮を理由としたティックトックやウィーチャットとの取引禁止の米大統領令、華為技術(ファーウェイ)への禁輸強化などを通じて対中強硬策を進める可能性が有り、リスク・オフとなって円が買われ易い。

ー27日、28日にカンザスシティー連銀が主催する年次シンポジウム、いわゆるジャクソンホール会合が開催され、パウエル議長が金融政策の今後の枠組みの見直しについて講演することが予定されている。
現行の超緩和的な政策の下で、将来的に見込まれているインフレ率の上昇について、中長期的に2%目標に安定して近付くために、一時的に2%を上回る状況を許容するような姿勢を示すなどの変更が見込まれており、インフレ率の2%超え一時許容などの変化は、現状の超緩和的な政策の長期維持につながることから、先週のユーロ売りにより買い戻されたドルに再び売りが広がる可能性がある。

ー先週のニューヨーク株式市場ではダウ30種平均こそ殆ど動かなかったが、ナスダック、S&P.共に連日高値を更新しており、投資家のドル建てポートフォリオ価値が相当上昇していて月末のリバランス(投資家が月末に保有資産の評価替えを行い、それに伴って外貨のバランスを組み替える)でドル売りが出ることが予想される。

簡単な仕組みはこうだ。通常のポートフォリオ構成をドル40%、その他通貨60%とし、このひと月で総資産が100から110へ増加し、ドル建て資産価値が40%から45%へ増加したとする。
7月31日付  8月31日付  8月31日のオペレーション
総資産。          100     110
ドル建て資産価値割合。   40%     45%   5%分のドル売り。
その他通貨建て資産価値割合。60%     55%   5%分のその他通貨買い。

ちょっと乱暴な計算ではあるが、これが月末のリバランスのメカニズムである。

と言う訳で短期的なドルの下げを期待しており、ドルのショートを保持しながら、Sell on rallies.=(上がれば売る。)の戦略が有効と思われる。

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