8月に入ってようやく長かった梅雨が明けて本格的な夏が到来した。
新型コロナ・ウィルスの影響によるテレ・ワークや夏休みの影響で為替相場の動意も小さくなり、先週の主要通貨の動きを週の終値ベースで比べてみると
7/31 8/7
ドル・円 105.93 105.92
ユーロ・ドル 1.1771 1.1785
ポンド・ドル 1.3080 1.3054
豪ドル・ドル 0.7141 0.7159
と甚だ小さいものであった。
ドル・円に関しては7月31日金曜日に105.93でクローズする前に東京市場で安値104.19、ニューヨーク市場で高値106.05の値幅1円86銭の結構大きな値動きを見せたが、どうやらこの大きな値戻しの背景には世界最大の投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の大口のドル買いがあったらしい。
当日、新しく就任したばかりの岡村財務官から、“引き続き緊張感を持って為替市場の動向を注視する。”との“何時もの口先介入擬き”が聞かれ、同時に財務省と日銀、金融庁の3者が国際金融資本市場に関する情報交換会合を開催したとの報が流れて一応気にはしていたが、どうやら公的な機関(GPIF)を使って104円割れを防ごうとしたものと思われる。
我が国の貿易収支が大きな黒字から均衡に近付きつつある今、何故に今でも円高阻止に躍起となるのか不可解であるが、円高=景気後退と言う発想が抜けないのであろう。
一般国民としては“自国通貨が強くなるのが何故悪い?物価が安くなって良いではないか?”と思うが、デフレ脱却に頭を痛める政府・日銀としては放ってはおけないか?
先週は注目の7月米国雇用統計発表を波乱なくこなし、現状では何と言っても相互の領事館閉鎖後の
米中関係の行方が気になるところであるが、どうも不気味で仕方ない。
先週から今週に掛けて見聞きしたニュースを挙げると、
ートランプ大統領が9月15日までに人気動画アプリTikTok.の米事業を売却するよう要請しており、それができなければ、営業停止にするとしている。
ーWeChat.を運営するテンセントとの取引を禁じる大統領令に署名。
ー米政府が中国人記者40人のビザ更新許可せず。
ートランプ米政権が香港の自治侵害などを理由に香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官ら11人に制裁を科すと発表した。
ー1979年の断行以降米政府の最高位の高官であるアザー厚生長官が台湾を訪問して蔡英文総督と会談した。
などがあり、これらに対して中国政府は猛烈に抗議しており、報復も辞さない構えだ。
南シナ海において米中両軍による偶発的な軍事衝突の可能性についても否定出来ない。
今週中にライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と劉鶴中国副首相が、米中第1段階通商合意を検証することが計画されている。新型コロナ・ウイルスの感染拡大により、中国の農業・エネルギー分野での購入額が合意目標を下回っているため、米国が合意順守に向けて圧力を掛けることで米中対立が激化する可能性がある。
お盆休みを控えて参加者の少ない市場となろうが、引き続き米中関係に関するニュースのヘッドラインに留意したい。
尚、先週話題にしたセブン&アイ・ホールディングスによるM&A.の話はその後全くニュースが入って来ない。
卓越した情報管理が徹底されているのであろう。
実際のビジネスの世界では、勧善懲悪ドラマの情報駄々洩れの“半沢直樹”とは全く違うものなのだ。