総括
今日、香港市場再開、国家安全法の影響は、経済指標は引き続き改善
予想レンジ 人民元/円 14.7-15.7
(ポイント)
*香港国家安全法が成立
*今日、香港市場再開、国家安全法の影響は
*人民元、株価ともに落ち着いている
*製造業PMIなど経済指標は良好
*2Qは前年比プラス成長か
*鉱工業生産、5月は2カ月連続増 小売は不振
*G7は香港への国家安全法適用で批判するか
*対豪関係が悪化している
*20年は3%成長の公算
*自動車販売は伸びる
*すべてで対米関係が悪化しているわけでもない(通商関係は前進)
*香港の英銀(発券銀行)は国家安全法を支持
*IMFは中国の回復を示唆
*今年は「第13次5カ年計画」の最終年
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
(人民元や株価は落ち着く、香港国家安全維持法可決でも)
香港での反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法案を全人代常務委員会が可決し即日発効した。米国が中国の当局者の入国制限を発表する一方、中国は対抗措置をとることも示唆し対立は激しさを増している。ただその中でも人民元や上海総合指数は落ち着いた動きとなっている。
(2Qは前年比プラス成長か)
世界のどの国も2Qはロックダウンを行っていたため、経済指標は前年比で大きく悪化する見通しだ。その中で中国の2Qの成長率が前年比でプラスとなる予想が出始めている。ブルームバーグのエコノミスト調査によると、2Qの国内総生産(GDP)は前年同期比1.5%増となる見通し。5月の前回調査では1.2%増が見込まれていた。通年の成長率予測も1.7%から1.8%に引き上げられた。緩やかな回復の軌道にあるとの楽観論の高まりが示唆された。
(香港の中国化か、中国の香港化か)
1997年の香港返還前にも「香港の中国化が起こり香港はゴーストタウンになる」といって実際にカナダ、英国、オーストラリアに移った人もいたようだ。
しかし実際は逆で中国の香港化が起こり、香港を手本にして中国は経済の開発を進めた。香港さらに繁栄した。今回の「国家安全法適用」はどうか。中国の14億人の生活を改善するには香港を活用した方がいいに決まっている。今回も世界が、トランプ大統領が危惧する方向とは逆に行くのではないだろうか。
(経済指標は引き続き好調)
*6月の製造業PMIは50.9と、前月の50.6から上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。予想(50.4)も上回った。中国ではロックダウン措置の解除後、景気回復が続いている。ただ、世界的なコロナ危機が需要を圧迫する中、輸出受注は弱いままだ。
*6月非製造業PMIは54.4で前月の53.6から上昇、2019年11月以来7カ月ぶりの高水準となった。 製造業と非製造業を合わせた総合PMIは54.2となり、前月の53.4から上昇した。
*財新の6月製造業PMIは51.2で、前月の50.7から上昇し、6カ月ぶりの高水準となった。
(国家安全維持法施行、中国は共通の願いと主張)
香港は7月1日、英国から中国に返還されて23周年を迎えた。香港での反政府的行動を取り締まる「香港国家安全維持法」が施行された後、香港当局は全域で治安対策を敷いた。香港国家安全維持法は、国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託の4種類の活動を犯罪行為と定め、最高刑として終身刑を科す。[nL4N2E74AV]
香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は、新法は返還以降で最も重要な出来事だと指摘。
「香港における国家安全保障と領土保全、安全な制度の保護を盤石にするための歴史的な一歩だ」と強調。「社会の安定を取り戻すための必然的で迅速な決断でもある」とした。
また、中国政府の香港出先機関である香港連絡弁公室のトップ、駱恵寧主任は、同法は香港市民の「共通の願い」だと述べた。
中国や香港の当局者らは同法について、一部の「トラブルメーカー」を標的にしたもので、権利や自由、投資家の利益に影響はないと繰り返し述べている。
しかし、同法の制定により、「一国二制度」の下で返還後50年間保障された高度な自治が損なわれるとの懸念が高まっている。
(高インフレやデフレは起きない=人民銀行)
人民銀行は、国内経済が緩やかに回復する中で高インフレやデフレは起きないとの見通しを示した。消費者物価の上昇率は今年、四半期ごとに低下するとみられ、拡大に転じる可能性は高くないと予想した。また年後半に投資と消費が回復するにつれて、生産者物価の前年比の下落幅は縮小していくとの見方を示した。
(中国の格付け据え置き)
S&Pは29日、中国のソブリン格付けを「A+/A-1」で据え置いた。見通しは安定的。
中国が今後数年、他の中所得国と比較して平均以上の経済成長を維持すると予想。
ただ、新型コロナウイルスの流行や経済構造改革の取り組み、米国との緊張による圧力を受けるとの見方も示し、米中関係は予見可能な将来、正常化しないと予想した。
新型コロナ危機から回復するに伴い、2021-23年の1人当たり実質国内総生産(GDP)の伸び率は平均5.5%との予想を示した。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン中位、雲中での動き
日足。6月8日-7月1日の下降ラインが上値抵抗。6月29日-30日の上昇ラインを下抜く。
6月26日-29日の上昇ラインがサポート。5日線上向き。雲中。
週足。ボリバン中位を下抜き雲の下へ下落。ボリバン下位。6月15日週-22日週の下降ラインを上抜く。5月25日週-6月22日週の上昇ラインがサポート。
月足、20年3月-4月の下降ラインを上抜く。3月-5月の上昇ラインがサポート。まだボリバン下位。6月は当初上伸しその後押し返されたが陽線。
年足、11年-19年の上昇ラインを下抜くも上抜き返す。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。
チーファンラマ
ブタ由来の新「パンデミックウイルス」を警告
米学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された研究論文によると、中国のブタから見つかった新しいインフルエンザウイルスがヒトへの感染性を高めており、「パンデミックウイルス」になる可能性に備えて監視する必要がある。ただ、専門家らは差し迫った脅威はないと指摘している。
養豚場の労働者も血中のウイルスレベルが高まっており、「豚産業の労働者を中心に、ヒト個体群の緊密なモニタリングが至急実施されるべき」とした。
論文はウイルスが種を隔てる壁を越えてヒトに移るリスクを強調。特に、飼育場、繁殖用施設、食肉処理場、生鮮市場の近くに数百万人が生活する中国の人口密集地域にリスクがあるとした。中国外務省の趙立堅報道官は、「この問題に関して中国は状況を注視している。われわれはいかなるウイルスについても、拡大とまん延を防ぐためあらゆる必要な措置を講じる」と述べた。
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