総括
2日連続上ヒゲ、今週はG7 VS 全人代、米中ハワイ会談
予想レンジ 人民元/円 14.6-15.6
(ポイント)
*17日に米中ハワイ会談始まる
*鉱工業生産、5月は2カ月連続増 小売は不振
*全人代は常務委員会を6月18-20日に開催
*G7は香港への国家安全法適用で批判するか
*対豪関係が悪化している
*20年は3%成長の公算
*5月生産者物価は大幅低下
*自動車販売は伸びる
*すべてで対米関係が悪化しているわけでもない(通商関係は前進)
*香港の英銀(発券銀行)は国家安全法を支持
*製造業PMIなど経済指標はまずまず
*IMFは中国の回復を示唆
*政府は2Qから経済が正常化するとしている
*今年は「第13次5カ年計画」の最終年
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
(米中ハワイ会談か)
ポンペオ米国務長官が、ハワイの米軍基地で中国の代表団と会談する(日本時間17日午前4時から開始)。年初から緊張が続く両国関係について協議するという。
米中はこのところ、新型コロナウイルス流行への対応のほか、中国が香港の統制強化を狙い導入を決めた国家安全法を巡り対立が強まっている。
トランプ大統領は5月、新型コロナを巡る中国の対応に非常に失望したと述べるとともに、現時点で習近平国家主席との対話は望んでいないとし、中国と関係を断つ可能性も示唆した。
(強気な中国。香港問題、今週はG7 VS 全人代)
今に限ったことではないが、統制されている市場なので人民元、上海株式市場ともに大きな動きはない。上昇し始めていた長期金利も先週末は低下した。世界的なコロナウィルス感染第2波懸念(北京でも感染者増加)やパウエルFRB議長の慎重な景気見通しで先週のドル元は下落した。トランプ大統領は人種差別に関わる抗議デモで多忙なこともあり、先週は中国へのコロナウィルス感染情報問題や香港問題への批判はなかった。ただG7外相は近く「香港の一国二制度」の維持などを中国に求める共同声明を出す方針を確認したようだ。一方、全人代は常務委員会を6月18-20日に開催し、香港への国家安全法制の導入に向けた手続きが進むかどうかを議論する。
(対豪、対日)
東シナ海では、中国の空母「遼寧」を中心とする部隊が4月、沖縄本島と宮古島の間を2回航行し、航空自衛隊が約20日間にわたってスクランブル発進する事態となった。尖閣諸島周辺でも5月、中国海警局の船が与那国島所属の漁船を一定期間にわたって追尾する事件が発生した。中国側は、日本の漁船が不法操業をしていたとして、中国の警察権を行使したと主張している。米国とともに中国へコロナウィルス感染の調査を要求した豪に対しては輸入や旅行の制限を実施している。外交的に強気な姿勢を示し始めている。また北朝鮮の韓国への強硬姿勢も気がかりである。
(中国経済、20年は3%成長の公算)
中国社会科学院の研究者、張明氏は、中国政府が支援策を強化していることにより、中国経済は今年3%成長する可能性があると述べた。
工場が生産を拡大していることから、GDPは2Qに2-3%成長に回帰するとした。
中国経済は1Qに6.8%縮小した。中国経済の縮小は史上初となる。中国政府は5月の全人代で成長率目標の設定を見送っていた。
また、中国人民銀行が下期に中期貸出制度(MLF)金利および銀行貸し出しの指標金利であるローンプライムレート(LPR)など主要政策金利を引き下げると想定。市中銀行の預金準備率は2回の引き下げが見込まれ、流動性確保に向けた特別債の発行に合わせて行われる可能性があるとした。一方、世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が見られているほか、第2波に対する懸念などから4月以降の海外受注が減少しているとし、「製造業にとって下期は非常に厳しい状況になるだろう」と語った。
(北京が非常事態製)
北京市は6月16日、市内で発生した新型コロナウイルスの感染が他の地域に拡大するのを防ぐため、新たな制限措置を導入した。リスクの高い人の市外への移動を禁止したほか、市外に向かう一部の交通サービスを停止した。さらに、警戒レベルを3級から2級に引き上げた。ここ数日に確認された感染者は計106人となった。感染源は市内の食品卸売市場とみられている。
北京市当局はこれまでに、24時間の検問所を市内に複数設け、学校を閉鎖したほか、市民に対人距離確保の徹底を呼び掛けるなど、「非常時」の態勢に入っている。
(鉱工業生産、5月は2カ月連続増 小売は不振)
5月の鉱工業生産は2カ月連続で増加したものの、予想ほど伸びなかった。小売売上高や固定資産投資は引き続き減少。新型コロナウイルス危機から経済が思うように回復していないことを示唆した。
鉱工業生産は前年同月比4.4%増加。予想(5.0%増)には届かなかった。各国の感染防止措置の影響で外需が落ち込み、緩やかに回復しつつある内需に依存していることが背景。
5月の小売売上高は前年比2.8%減で4カ月連続の減少。4月(7.5%減)よりは小幅な減少にとどまったものの、予想(2.0%減)以上の落ち込みとなった。厳しい雇用情勢や、流行第2波への懸念から消費者は慎重な姿勢をとっている。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン上限越えから下落、2日連続長い上ヒゲ
日足。ボリバン上限上抜きから下落。中位あたりで推移。6月12日-17日の上昇ラインがサポート。6月16日-17日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。雲中、2日連続長い上ヒゲを出す。
週足。ボリバン中位を下抜き雲の下へ下落。ボリバン下位。6月1日週-8日週の上昇ラインがサポート。
月足、20年3月-4月の下降ラインを上抜く。3月-5月の上昇ラインがサポート。まだボリバン下位。今月は当初上伸するも長い上ヒゲ押し返されている。
年足、11年-19年の上昇ラインを下抜くも上抜き返す。18年-19年の下降ラインが上値抵抗。
チーファンラマ
広州交易会、初のネット開催
中国で最も長い歴史を持つ国内最大の貿易商談会「広州交易会」が6月15日から初めてオンラインで開催されている。
広州交易会は年に2回、広州で開催されているが、今年は新型コロナウイルスの流行に伴う渡航制限で通常通りの開催を断念。2万5000社以上の出展企業が24時間生中継される10カ所の放送室から商品を紹介する。
会期中は、中国のインターネット大手、騰訊控股(テンセント・ホールディングス)が、クラウド・サポートを提供し、出展者とバイヤーがリアルタイムでメッセージを交換できる。
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