ゴールデン・ウィークも終わり、清々しい季節になったが依然として為替市場は盛り上がりに欠ける。
先週のドル・円相場は週初の高値107.06からじり安となり一瞬106円の大台を割ったが直ぐに切り返し、金曜日の驚く様な悪い内容の4月米国雇用統計発表の後じり高となって106.70で引け、週明けの今日高値107.00を付けて“行って来い。”の展開と成った。
その驚く様な4月米国雇用統計の中身は失業率が10.3ポイント悪化して14.7%となり、非農業部門雇用者数は先月分の調整後の-87万人から一挙に-2千50万人となって失業率と共に戦後最悪の数字を記録した。
ここ数週間、殆どありとあらゆる米国発の経済データが“戦後最悪”と表現される程酷いものばかりで、この4月米国雇用統計が止めを刺した感が有ったがどう言う訳か相変わらず株価は堅調である。
ダウ30種平均株価は金曜日、前日比∔455ドルで引け、ナスダックも5日間連騰した。
先週のレポートでも首を捻ったが、株に素人の筆者にはこの米国株式の堅調さがよく理解出来ない。
あれだけ悪い経済指標が出続け、2ヶ月前までは殆ど完全雇用に近かった雇用環境が一転して6人に1人が職を失う状況なのにどうして株価は上がるんだろうか?
素人考えではFRB.によるあれだけ果敢な金融緩和が行われて、市場にお金が溢れているからではなかろうか?
一言で言えば“実体経済を表さない株高”とは言えまいか?
ニューヨーク市場でお金が溢れているという事は当然ドルが大幅な余剰になっているとも言える。
4月20日のレポートで、
“あと少し気に成るのは果敢な金融緩和策と資金供給により膨れ上がりつつあるFRB.のバランスシートの行方である。
FRB.のバランスシートは果敢な資金供給によって2008年のリーマン・ショック時を彷彿させる程の規模に膨れ上がりつつある。
リーマン・ショックの際は、日銀とFRB.の資金供給量の差を比較した“日米マネタリーベース比率”、いわゆる“ソロスチャート”が注目されたがFRB.が量的緩和を実施するなかで資金供給量を急拡大させた為、日銀のマネタリーベースをFRB.のマネタリーベースで割った“ソロスチャート”が急低下し、ドル・円相場は107円台から90円台へ急落した。
現在もFRB.のマネタリーベースは増え続けており、“ソロスチャート”は低下傾向にある。”
と述べたが、市場にドルの余剰感が台頭するとリセッション入りをも懸念される極めて悪い米国ファンダメンタルズと相まって、思わぬドル安&円高が進むリスクが有るのではなかろうか?
かつての株安=リスクオフ=ドル安&円高の図式とは異なる、株高=リスクオンだけれどもドル安&円高と言う変則な図式も頭に入れておく必要が有るかも知れない。
先週と同じく、今週も戻り売りのスタンスで臨みたい。