総括
数少ない好材料で上昇
通貨最下位、株価7位
予想レンジ 南アランド円 5.5-6.5
(ポイント)
*原油高、中国武漢再開を好感し上昇
*3月の企業景況感指数が悪化
*まだ悪材料のほうが多い
*通貨は年初来最弱
*2020年はマイナス4%成長か
*外出制限期間を延長
*中銀が銀行に配当中止を勧告
*ムーディーズに続きフィッチも格下げ
*通貨安で株価は上昇
*3月民間購買担当者景気指数(PMI)は悪化
*直接投資が減少、海外投資家は株式を売り越した
*中銀は国債購入を開始、流動性を供給
*BMWに続きトヨタに続きも工場稼働を停止した
*政策金利は予想を上回った下げ幅となった
*4Q・GDPはマイナス成長でリセッション入り
*電力大手のエスコム社、南アフリカ航空ともに財政難
*12月と2019年は貿易黒字
*南アの最大貿易相手国は中国
*中銀はランドの平均的な水準を1ドル14.5としている
(数少ない好材料で上昇)
前回触れた数少ない好材料で上昇した。先週は対円で5.61%上昇、株価指数も7.65%上昇した。ただ南アランドはまだ年初来最弱となっている。好材料とは原油高が資源高に繋がるという期待や南アが大きく依存する中国経済で封鎖されていた武漢が再開し景気回復へ歩みを進めたことであった。ただ原油価格は結局最終合意に至らなかったことで不安定な動きを見せるだろう。(数多き悪材料は低成長とリセッション、財政赤字拡大、停電、ジャンク債への格下げにコロナウィルス感染)
(企業景況感指数が悪化)
3月の企業景況感指数は89.9と、前月の92.7から低下し、2019年8月以来の低水準となった。新型コロナウイルスにより自動車販売が影響を受けたほか、通貨ランド相場が下落したことが背景とみられている。ラマポーザ大統領は、感染拡大抑制のため3月下旬に全土のロックダウンを実施。経済がすでにリセッションに突入している中、需要が直撃を受けている。感染拡大により、当面は構造面での経済問題に取り組むのが困難になると見られている。
(マイナス4%成長か、2020年)
中銀は半期に一度の金融政策見直しで、新型コロナウイルスの影響により国内総生産(GDP)成長率見通しを引き下げるとし、2020年は最大でマイナス4%成長になるとの見方を示した。
また21年の成長率が1%を超える可能性は低いとしたほか、今年の失業者数が37万人に達し、企業の倒産が約1600件増加する可能性が高いと指摘。
(外出制限機関を延長)
南アフリカ政府は、当初、外出制限の期限を今月16日までとしていましたがラマポーザ大統領は、2週間延期して、4月末までとすることを発表した。
(南ア銀行株が下落、中銀が配当中止を勧告)
南アの銀行株が下落している。4月6日、新型コロナウイルスの経済への打撃を踏まえ銀行に配当取りやめを勧告したため。中銀は、銀行に今年は配当や賞与を実施しないよう勧告。すでに英中銀やECBが同様な要請を銀行にしている。
国内最大手のスタンダード銀行は声明で、配当の重要性を取締役会は十分認識しているが、新型コロナ危機のなかで家計や企業を支援する必要性や、グループの短期・中期・長期の安定確保の重要性も認識していると表明した。
(ホームレス対象に食料など配給)
ラマポーザ大統領が「ステイホーム」と外出制限を命じた時に、ホームレスの人々は「家がない我々はどうすればいいのか」と抗議のデモを行ったが、南アには貧困層が多い。
収入が途絶えた貧困層の困窮が深まっていて、NGOが中心になって、路上生活者いわゆるホームレスを対象にした食料などの配給が行われた。
市内の公園に集まった人たちは1000人近くになり、一人一人が、豆や保存ができる牛乳、それにせっけんなどを受け取っていた。建設現場で日雇いで働いているという男性は、「食事をして元気をつけたいし、せっけんで体もきれいにしたい」と話した。
配給を企画した団体の代表は、ホームレスの人はヨハネスブルクだけで1万5000人になるとしたうえで、「外出制限が3週目に入るが、多くの人が支援を受けることができず、社会の安定にとっても懸念される」と話した。
テクニカル分析(ランド/円)
1月以来の4連続陽線
日足。久々の4連続陽線。ボリバン下限下抜きから反発。4月9日-10日の上昇ラインがサポート。3月25日-4月9日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。
週足。ボリバン内へ戻る。3月23日週-4月6日週の下降ラインが上値抵抗。
月足。3か月連続陰線、今月も陰線でボリバン下限以下で推移していたが先週反発。長い下ヒゲ。ただまだボリバン下限以下。2月-3月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-18年、16年-19年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
サハラ以南もマイナス成長
世界銀行は、新型コロナウイルス感染拡大により、今年はサハラ以南のアフリカ諸国が25年ぶりにリセッション入りするとのレポートを発表した。
世銀はサハラ以南のアフリカ域内総生産(GDP)伸び率見通しについて、マイナス2.1-マイナス5.1%になると予想。2019年はプラス2.4%だった。
新型ウイルスの感染拡大による貿易や供給網の断絶などにより、同地域では370億-790億ドル相当の生産が失われる見通し。
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