総括
中国の感染のピークは過ぎたのか、トヨタは工場稼働へ
予想レンジ 人民元/円 14.8-15.8
(ポイント)
*1-2月鉱工業生産や小売売上は予想外の悪化
*政府は2Qから経済が正常化するとしている
*米国とメディアでの争いがある
*1-2月貿易収支は輸出が大幅減少
*1月消費者物価は新型ウィルス感染と豚コレラで上昇、2月は低下
*各種2月PMIは軒並み悪化
*全人代は延期
*中国の報道はやや楽観的すぎるきらいがある
*今年は「第13次5カ年計画」の最終年
*習国家主席は、2020年の経済成長目標を達成できるとした
*政府は新型ウィルス感染は2月がピーク、4月に収束とした
*経済成長率は1Qは前年比4%台へ落ち込むが20年通年では5%後半になるという予想
*経済打撃は6兆円超か
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
*中国の経済活動に回復の兆し=大気汚染から
(市況、主席発言、準備率、トヨタ)
習国家主席は、新型コロナ発生後初めて感染拡大の中心地となった湖北省武漢市を訪問し「新型コロナウイルスの感染拡大は短期的に湖北省の経済に打撃を与えるだろうが、中国経済のファンダメンタルズに長期的な影響を及ぼすことはないだろう」と述べた。また保健当局は、3月12日、国内で新たに確認された新型コロナウイルスの感染者が、8人にとどまったと発表。1日当たりの新たな感染者の数が10人を下回ったのは、全国の統計の発表を開始して以来、初めて。中国の状況について「感染のピークは過ぎた」という認識を初めて示した。
人民銀行は13日、預金準備率を引き下げると発表した。5500億元を供給し、新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けている経済を支援する。
トヨタ自動車は13日、広州市の完成車工場で、16日からすべての生産ラインが、新型コロナウイルス発生前の通常生産に戻ると明らかにした。
(予想より大幅悪化の小売売上、鉱工業生産)
1-2月、前年同月比
・鉱工業生産 前月5.7% 予想-3.0% 結果-13.5%
・小売売上 前月8.0%、予想-4.0%、結果-20.5%
鉱工業生産は前年同期比13.5%減少し、30年ぶりの大幅なマイナスを記録した。新型コロナウイルスの影響が鮮明に表れた。
小売売上高は20.5%減少した。新型ウイルス感染を懸念した消費者が商業施設や飲食店、映画館など混雑した場所を敬遠した。
統計は1Qの経済が小幅に縮小している可能性が高いことを示唆している。当局者は中国における新型コロナ流行がピークを過ぎたとしているものの、アナリストは経済が正常に戻るまで数カ月かかる可能性があると警告。世界中で感染が急速に拡大していることも世界的なリセッション(景気後退)懸念を強めており、そうなれば中国製品への需要が損なわれることになる。
(中国経済、2Qに正常化)
国家発展改革委員会(発改委、NDRC)は、新型コロナウイルスの感染拡大による影響軽減に向けた政府の措置に効果が表れるのに伴い、中国経済は2Qに正常化するとの見通しを示した。中国には十分な政策手段があり、適切な時期に関連措置を打ち出すとも述べた。
「湖北省以外では大規模事業会社の90%が通常操業に戻った。浙江省、江蘇省、上海市などでは100%に近い」と強調。鉄道輸送も通常水準を回復しているほか、民間航空輸送、港湾事業、水上輸送も平常通りだ、とした。
(自動車販売、2月は前年比‐79.1%で過去最大の減少幅)
2月の自動車販売台数は前年同月比79.1%減。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、月次ベースでは過去最大の減少幅となった。減少は20カ月連続。1月は18.7%減だった。
総販売台数は31万台だった。
ただ4月までに新型ウイルスの感染拡大が抑制されるとの前提で、2020年上半期の販売は10%超の減少、年間では5%程度の減少を見込んでいるようだ。
(新型ウイルスの影響を過小評価せず、雇用安定に全力、首相)
李克強首相は、新型コロナウイルスの感染拡大が中国経済に及ぼす影響を過小評価すべきでない、と述べた。また、雇用を安定させるため、いかなる手段も惜しまない姿勢を示した。雇用が安定している限り、今年の経済成長が多少変動することは大きな問題ではない、と述べた。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン下限下抜きから中位へ向かう
日足。3月9日は下窓を開けて14.53まで下落。翌10日には窓を埋める激しい動き。3月16日-17日、9日-12日の上昇ラインがサポート。13日-18日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向き。
週足。ボリバン下限下抜きからはバンド内へ戻すも、依然下限近辺で推移。3月2日週-9日週の下降ラインが上値抵抗。
月足、4か月連続上昇後、20年1月、2月は長い上ヒゲを残し12月-2月の上昇ラインを下抜く。3月は陰線スタートでボリバン下限を下抜くもバンド内へ戻す。20年1月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-19年の下降ラインが上値抵抗。11年-19年の上昇ラインを下抜くか。
チーファンラマ
米主要3紙の記者追放
中国外務省は、米主要3紙(WSJ、NYT、WP)に所属する記者の取材証を剥奪すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大や報道の自由を巡り、中国と米国の緊張が一段と高まっている。
両国の対立は、2月に中国がWSJの論説記事に反発し、同紙の記者3人の記者証を剥奪したことから始まった。中国は「アジアの病人(real sick man of Asia)」と題したWSJの論説を人種差別的だと強く批判。同紙が謝罪を拒否したことから、北京の同紙記者3人の記者証を剥奪した。
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