“怒涛の1週間、そして波乱の週の幕開け。”

f:id:okinawa-support:20190819165949j:plain

 

先週のドル・円相場は前週のFRB.の突然の50bp.にも拘わらず、ダウ30種平均株価が2度の史上最大の下げを見せた後、金曜日にはトランプ大統領の非常事態宣言を好感して今度は史上最大の上げを演じるという激しい動きの中、月曜日に安値101.19、金曜日には高値108.49を付けて実に7円30銭の値幅を付けると言う怒涛の1週間となった。

1日の値動きも11日を除いて連日3円から4円と言う神経質な動きを見せた。

下のチャートは先週のドル・円相場、ダウ平均株価、日経平均株価、米国10年債利回りの終値を表している。
(ドル・円相場のカッコ内【】はその日のレンジ、ダウ平均株価、日経平均株価、米国10年債利回り(9日のみ)はその日の安値を表す。)

米国10年債利回りは月曜日に史上最安値の0.318%を記録した後じり高となり金曜日は0.982%で引けた。
          
     ドル・円相場 ダウ平均株価 日経平均株価 米国10年債利回り
3月9日 102.41 23,851.02 19,698.76 0.559%
(101.19~104.58) (23,706.07) (19,472.26) (0.318%)
値幅 3.39

 10日 105.58 25,018.16 19,867.12 0.799%
(102.03~105.91) (23.690.34) (18,891.77)
値幅 3.88

 11日 104.46 23,553.22 19,416.06 0.877%
(104.11~105.53) (23.328.32) (19,392.25)
値幅 1.42

 12日 104.62 21,200.62 18,559.63 0.812%
(103.10~106.09) (21,154.46) (18,339.27)
値幅 2.99

 13日 108.00 23,185.62 17,431.05 0.982%
(104.51~108.49) (21,285.37) (16,690.60)
値幅 3.98


先ずは月曜日のフラッシュ・クラッシュにも似たドル・円の急落であるが、間違いなく当時マーケットはドル・ロング&円・ショートであったが為にその反対取引が起きて下げが下げを呼んだと思われる。

シカゴ・IMM.の投機筋は3月10日時点で前週の42,324枚のネットの円・ショート(約50億ドルのドル・ロング)から一挙に円の買い戻し(ドルの売り戻し)に転じ、少額ながらネットで8,157枚の円・ロング(約10億ドルのドル・ショート)に転じた。
大量のドル売りを行ってドテンしてドルの買い持ちからドルの売り持ちに転じたのである。

個人投資家も前週のドル上昇の動きに乗じて一旦はドルの売り持ちに転じていたが前週は約30億ドルの買い持ちポジションに成っており、ドルの下げに従ってドル売りに走らざるを得なかった筈である。

それにもう一つ値動きを大きくした要素がある。
短期のプレーヤーであるヘッジファンドが大量のオプションを売っていてネガティブ・ガンマが生じて、相場が下がれば追っ掛けて売り、相場が上がれば追っ掛けて買う必要が生じるのだ。

当然順張り方向の値動き(相場が下がれば売り方向で動き、上がれば買い方向で動く。)は大きくなる。

今朝市場が開く前に突然のニュースが飛び込んできた。
日曜日にも拘わらずFRB.が突然1%の利下げと総額7,000億ドルの債券購入(資金供給)を発表し、金曜日108.00で引けたドル・円相場がいきなり窓を開けて107.04でオープンした。
ものの30分で安値105.73まで急落したが昼前には107.56まで戻すと言う荒っぽい動きとなった。
そして午後3時前には再び106.40前後まで下げている。

正午から日銀もFRB.に倣って緊急政策決定会合を開きETF.の購入を6兆円から12兆円に増額したが、マイナス金利の深堀りは無し。
そして日経平均株価は高値圏の17,785円から安値圏の17,000円近辺まで下落した。

実はNYダウ先物CME.もFRB.の緩和アナウンス直後から21,800ドル近辺で下値低迷しており、これは金曜日の終値23,185.62ドルから約1,400ドル下げている。
このままでは今晩のニューヨーク株式市場も下げて始まる可能性が大であろう。

どうやら日米株式市場とも中央銀行の緊急緩和策には冷たく反応した模様である。

新型コロナ・ウィルスの影響は凄まじく、アメリカでは非常事態宣言が出され、オーストラリア、ニュージーランドでは入国者の自主隔離、欧州各国では入国制限、外出禁止令やレストランや商店・娯楽施設への休業勧告などの規制が相次いでいる。

我が国でも公立学校の休校や、企業の時差出勤や在宅ワークなどの奨励が行われているが、他国の対策と比べると未だましか?

相場がこうも目まぐるしく動くと中々決め打ちは出来ないが、
⁻利下げにも拘わらず株価が上がらない。
⁻金曜日に0.982%まで戻した米国10年物債券利回りが夜間取引で0.7%割れまで急落している。
⁻相変わらず新型コロナ・ウィルスに対する画期的な治療法が見つからない。
と言う状況ではリスク・オンとなってドル・円相場が大きく上に行くとも思えない。

とは言え先週101.19から108.49まで1週間足らずで7円以上も急上昇したのも事実。

値ごろ感でドルの上昇に対して逆張り(相場の上げに対して売り向かう。)すると痛い目に遭う事も有るので値動きに注意しながら賢明なリスク管理をすることが肝要であろう。


今週は今朝の105円台突入の折にもドル買いに出たGPIF.の動向を語る積りでいたが来週に回させて頂きます。

top