“ゲーム・チェンジ?”

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相変わらず新型コロナウィルスの(COVID-19)の猛威は衰えることを知らず、日毎に世界中で患者数が増えているが金融市場にも大きな影響を与えている。

先週のドル・円相場はCOVID-19によるリスク・オフが意識されて109円台で始まったが,次々に出て来る円にとってネガティブな材料によりそれまでのレジスタンスとされた110.20~110.40を上切ると一挙に週の高値で、2019年4月以来の高値に当たる112.22を示現した。

ドル・円相場を引き上げた円にとってのネガティブな材料とは、
-内閣府が17日に発表した2019年10-12月期実質国内総生産(GDP)は前期比マイナス1.6%、年率換算でマイナス6.3%となり、5四半期ぶりのマイナス成長となり、減少幅は2014年4-6月期以来の大きさとなった。
10月の台風19号や消費増税の影響である程度の減速が予想されていたが、COVID-19の影響により2020年1-3月期もマイナス成長に陥るとの可能性が高まり、我が国がリセッション(景気後退)入りする事が濃厚との見方が広がった。

-109円台ミドルからドル買いオーダーを置いていると噂されていた世界最大の運用会社であるGPIF.=(年金積立金管理運用独立行政法人)が4月の新年度からアロケーション変更(外貨建て債権への割り増し)を行うとの思惑から民間機関投資家もより積極的な外貨買い&米債買いに走った。
前週からその傾向は見られ、2月9日~15日の週、機関投資家による中長期債はネットで1兆4千億円の買い越しとなった。
2月2日から15日までの2週間でその買い越し額は3兆円超にも上る。

-安倍内閣の桜の会関連の国会対応やクルーズ船によるCOVID-19リスクに対する不手際に対して不信感を募らせた海外のヘッジ・ファンドが“Sell Japan.”の号令の下、大量の円売りを仕掛けた。

-セブン&アイ・ホールディングスが米石油精製会社のガソリンスタンド部門のスピードウェイを約220億ドル(約2兆4500億円)で買収する独占交渉に入ったと伝わり、巨額のドル需要につながるとの思惑が駆け巡った。

-今まではCOVID-19の影響によるリスク・オフの流れは円買いと理解されていたが政府の不手際なども相まって、むしろヘッジ・ファンドが取った行動の様にセンチメントが円買いではなく円売りへと変化した。

-110円ミドルの抵抗線を上切ってテクニカル的にさらなるドル上昇を見込む市場参加者が増え、リスク・オフの流れで円買い(ドル売り)の持ち高を膨らませてきた塾長を含めた投機筋が慌てて損切りの反対売買(円売り&ドル買い)に走った。


と市場はドル・ブル(ドルに強気)、円・ベア(円に弱気)に成り掛けていたところ、東京市場が天皇誕生日の振替休日でお休みの中、COVID-19罹患者が中国、日本のみならず韓国、イタリア、イランなどの国でも増加したことによる欧州から始まった株安の動きはニューヨーク市場まで続き、昨日のニューヨーク市場では株価3指数の何れもが3%以上の下落を記録し、長期金利も5年物債券利回りが史上最低値に近い1.370%まで、そして30年債利回りは史上最低値の1.832%まで下げた。

正にリスク・オフによる株安&債券高(金利低下)である。

そしてドル・円相場は安値110.34迄急落した。
再びリスク・オフによる円高か?

今日の東京株式市場では日経平均株価は一時1,000円以上下落して現在午後1時現在で約800円安(-3.4%)の22,600円前後で取引されている。

COVID-19は収まるどころか、東京オリンピック開催を危ぶむ声さえ聞かれる。
今迄のリスク・オフ=株安=円高の図式からリスク・オフ=株安、そして円安と言う風にゲーム・チェンジ=(ビジネスの従来の枠組み・ルールが崩壊し、新たなものに切り替わること)が起きたのかどうか定かではない。

自分自身は110.40を超えた段階でドルのショート・ポジションは解消し、様子を見ているのだが主要国のみならず発展途上国までもが利下げに走り、ドルの一人勝ちとなっている今の状況をトランプ政権が看過するとも思えない。

COVID-19リスクが増して“Sell Japan.”が台頭し、日本株安が円売りを増幅させるようであれば(言い換えればゲーム・チェンジが起きる。)更なるドル高&円安が起きるかも知れないが、現時点では全く自信が無い。

暫くは様子を見たい。

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