総括
金融市場は不思議と安定、ウィルスは2月ピークとなるか
予想レンジ 人民元/円 15.4-16.4
(ポイント)
*新型ウィルス感染拡大はあるも金融市場は落ち着いている
*習国家主席は、2020年の経済成長目標を達成できるとした
*政府は新型ウィルス感染は2月がピーク、4月に収束とした
*経済成長率は1Qは前年比4%台へ落ち込むが20年通年では5%後半になるという予想
*全人代は延期か
*米国からの輸入品について、追加関税の免除申請受付
*1月消費者物価は新型ウィルス感染と豚コレラで上昇
*経済打撃は6兆円超か
*2020年はGDP倍増目標の達成年
*香港は格下げ
*19年対米貿易は輸出入ともに減少
*米国は中国の為替操作国の認定解除
*中国GDPが100兆元へ近づく
*中国は米国以外への経済外交を積極的に進めている
*中国は通貨バスケット制に基づき元を変動させる
*全人代のCPI上昇目標は3%
(市況)
新型肺炎感染拡大については大きな不透明感はあるが、金融市場は意外と動揺していない。ドル元相場は春節明けに7.02まで上昇も、先週末には7割れとなっている。対円でも1月27日には窓を開け、2月3日には年初来安値の15.43をつけたが、先週末は15.70で昨年12月と同水準である。上海総合指数は春節明けで2685まで下落するも、今週は3000近くまで戻している。肺炎感染はまだコントロールが効かないが、金融市場は資金供給や株の売り制限示唆などもあり、大きなショックとならないで済んでいる。経済成長率も、多くは1Qは前年比4%台へ落ち込むが、20年通年では5%後半になるという予想が出始め、10年間でのGDP倍増の目標は達成できるとしている。あとは格付けがどのようなところに落ち着くかである。しかしこれも 感染症研究の第一人者で中国政府の専門家チームを率いる鐘南山氏が、中国国内における新型コロナウイルスの流行が2月にピークを迎え、4月ごろに終息する可能性があるとの予想が実現するかどうかにかかっている。
(2月19日は世界的リスク選好へ)
国当局によると、新型ウイルスの新たな感染数が2日連続で減少。米株式市場では、中国が景気刺激策を打ち出し、新型ウイルスの影響に対応するとの楽観論が広がり、主要指数が最高値を更新した。
(今年の成長目標達成可能 新型肺炎感染拡大でも=習主席)
習近平国家主席は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響にもかかわらず中国は2020年の経済成長目標を達成できると述べた。習主席はまた、新型ウイルスの封じ込めに向けた取り組みが重要な局面に入る中、経済は耐性を維持しているとの認識を示した。
(人民銀行が1年物MLF通じて2000億元を供給)
人民銀行は2月17日、1年物中期貸出制度(MLF)を通じて金融機関に2000億元を供給した。金利は0.1%引き下げ、3.15%とした。
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大が企業活動を停滞させており、当局は国内経済への悪影響を抑える姿勢を鮮明にしている。
金利の引き下げを受けて、中国株式市場は上昇。他のアジア株の支援要因となっている。
(全人代は延期か)
新華社通信は、毎年3月に開催される全国人民代表大会(全人代)の延期案が2月24日に全人代常務委員会で討議されると伝えた。新型コロナウイルスによる肺炎の流行で延期を検討するいう。ウイルス感染拡大抑制に注力することが重要との認識から延期案が提示された。
(米国からの輸入品について、追加関税の免除申請を受け付け)
財政省は米国からの輸入品696品目について、追加関税の免除申請を受け付けると発表した。豚肉、牛肉、大豆、液化天然ガス、原油など主要農産品・エネルギーが含まれる。
追加関税の免除は、米中貿易摩擦が始まって以降3度目で、過去最大規模となる。
米中は1カ月前に第1段階の通商合意に署名。中国は米国のモノ・サービスの購入を今後2年間で2000億ドル増やすことを約束している。
対象となるのは他に、変性エタノール、一部の小麦、トウモロコシ、ソルガム、一部の医療機器、銅鉱石・精鉱、銅スクラップ、アルミスクラップといった一部の金属など。
中国では新型肺炎の感染が拡大しており、米当局者やアナリストの間では、第1段階の通商合意で約束した輸入を実現できるのかとの疑問が浮上している。
テクニカル分析(人民元/円)
窓埋め後、ボリバン上限へ
日足。1月27日に開けた窓を埋め、2月17日-18日の下降ラインを上抜きボリバン上限へ。
2月4日-18日の上昇ラインがサポート。5日線上向く。
週足。1月20日週-2月10日週の下降ラインを上抜き雲の上に上昇。19年8月26日週-20年2月3日週の上昇ラインがサポート。
月足、4か月連続上昇後、20年1月も上昇スタートも新型肺炎で下落、長い上ヒゲを残す。2月は上昇スタート。19年12月-20年2月の上昇ラインがサポート。19年4月-20年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足、18年-19年の下降ラインが上値抵抗。11年-19年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
中国の新規投信、目標の20倍の資金調達 新型肺炎の影響見られず
株式と債券に投資する中国のバランス型投資信託が2月18日、目標額の20倍に当たる約1200億元の資金を集めたと、明らかにした。新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されているものの、投資意欲が健在であることが示された。
フォーサイト・ファンド・マネジメントが組成した同投信の目標調達額は60億元。注文が殺到したため販売キャンペーンを早めに打ち切ったという。新規ファンドは調達資金の60-95%を株式に、それ以外を債券に投資する。
本レポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的として提供するものではありません。投資方針や時期選択等の最終決定はご自身で判断されますようお願いいたしま す。また、本レポートに記載された意見や予測等は、今後予告なしに変更されることがございます。 なお、本レポートにより利用者の皆様に生じたいかなる損害についても、FX湘南投資グループグならびに株式会社外為どっとコムは一切の責任を負いかねますことをご了承願います。