総括
経済より外交問題山積、リラ買い介入観測あり
通貨6位、株価15位
(今週=経常収支 失業率)
予想レンジ トルコリラ/円 17.5-18.5
(ポイント)
*外交でトラブルが多すぎる
*中東緊張がトルコリラにも及び売られた リラ買い介入観測あり
*トルコはリビア派兵を決定
*外貨預金への準備率を引き下げ
*3Q・GDPは予想を下回った
*12月CPIは上昇
*経常収支は3か月連続黒字
*内外の機関が成長見通しを上方修正
*来年は5%成長を目指す(政府)
*1月にトルコ・ロシア首脳会談あり
*米露とはミサイル購入問題がある
*IS戦闘員を出身国に年内送還
*EUが対トルコ制裁を決定(キプロス沖での石油開発で)
*フィッチが格付け見通しを上方修正
*大統領支持率が上昇
*EUとの間で難民問題あり
*観光業は好調
*海外からトルコ国内への投資は増加
*トルコは軍事でよりロシアに接近している
(経済よりも外交内政で躓く)
尽きることなき中東のトラブルに巻き込まれるトルコ、以下の通りである。経済指標が改善しても上昇しないトルコリラとなってきた。ただ政府は国営銀行を通じてリラ買い介入を実施している模様
・以下は山積みされる課題
「米イラン緊張」米国防総省はトランプ大統領の指示を受け、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官を殺害
「ロシアS400」エルドアン大統領は、ロシアから購入したS-400ミサイルシステムを巡って米国側から示された制裁を実行した場合にはトルコが報復を行うと発言した
「ジェノサイド」米上院が1世紀前のオスマン帝国時代に起きたとされるアルメニア人虐殺事件について「ジェノサイド(虐殺)」と認定する決議案を可決したのに大統領は反発しトルコ南部のインジルリク米軍基地について「必要なら閉鎖する」と述べた。
「トルコストリーム」米国がトルコストリーム(ロシアの天然ガスを黒海とトルコを経由して欧州に輸送するパイプライン)に関して制裁を示唆したことにもエルドアン大統領の怒りを買った。
「NATO」NATOが、トルコがテロ組織とみなす集団(YPG)をテロ組織と認定しなければ、NATOのいかなる措置にも反対する
「安全地帯」エルドアン大統領は、シリア北東部に安全地帯を設けるという構想を持つが欧州諸国はトルコの安全地帯構想を批判している。
「リビアと国境合意、リビアへ増派」トルコ政府は、リビアの暫定政権と地中海上の境界線で合意。トルコのエネルギー探査を巡る対立が複雑化する可能性がある。
EUは、トルコがキプロス沖で「違法な」石油・ガス掘削活動を行っているとして、対トルコ制裁を準備しており、トルコは国境に関する同盟国を探していた。トルコはキプロスを国家として認めていない
内戦で混乱するリビアへ増派を決定
「シリア攻撃」トルコのシリア攻撃については、EUはトルコへの武器輸出を制限している。
「移民」エルドアン大統領は、欧州議会がトルコの欧州連合(EU)加盟に向けた交渉の凍結を求める決議を採択したことを受け、トルコ国境から不法移民を欧州へ開放すると述べた
・内政
「元首相が与党離脱」与党AKPを9月に離党したダウトオール元首相が、新党「未来党」の設立を発表し、現政権が「権力維持しか考えていない」と批判した。外交内政の混乱が大きくなるとせっかくの景気回復が挫折してしまう。
「弾圧」2016年のクーデター未遂事件より反対派を弾圧している。与党の勢力が弱まれば反対派の勢力も盛り返してくるだろう
(12月CPI上昇)
12月消費者物価指数(CPI)は前年比11.84%上昇となった。
予想の11.56%を小幅上回り、11月の10.56%から伸びが拡大したが、政府が年末の目標として掲げていた12%に近い数字となり、追加利下げの可能性は小さくなりそうだ。
(トルコの金融緩和は行き過ぎ、IMF)
IMFはトルコの金融緩和は「行き過ぎ」とし、財政政策を経済運営の中心に据えるべきとの見解を示した。
「最近の財政刺激策は景気回復に寄与したが財政赤字が急拡大した」と指摘。「2020年は財政スタンスをほぼ中立にするよう提案した」とし、公的債務を低水準にとどめるには「適度な緊縮」が必要と訴えた。
トルコ中銀は7月以降12%の利下げを行ったが、IMFは「インフレ期待がなお高いことを踏まえ、金融政策は長期にわたってインフレ率を引き下げることに焦点を当てるべき」と強調し「そうすることが政策金利を永続的に引き下げることにつながる」との見解を示した。その上で「こうした状況において、最近の金融緩和は行き過ぎだ」と言明した。
IMFまたトルコ中銀は金融政策と介入方針をより明確にし、中銀としての透明性と信頼性を改善すべきと訴えた。
(外貨預金の準備率引き上げ)
トルコ中銀は12月28日、市中銀行が外貨預金に関して中銀に預け入れる準備率を200ベーシスポイント引き上げると発表した。中銀によると、金融の安定を支援するための措置で、すべての期間の外貨預金が対象。この結果、市場から外貨流動性が約29億ドル吸収されるとしている。ただ、中銀が設定した融資の伸びに関する条件を満たした銀行については、今回の措置は適用が免除されるという。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン下限に沿って下落
日足、ボリバン下限に沿い下落してきたが1月3日-6日の下降ラインを上抜いて反発。1月2日-3日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向き。
週足、雲の中に入れず、ボリバン下限まで下落。12月16日週-30日週の下降ラインが上値抵抗。雲の下。
月足、19年8月-12月の上昇ラインを下抜く。19円に定着せず下落。19年8月-12月の下降ラインが上値抵抗。
年足 5年連続陰線、今年も陰線スタート。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
トランプ大統領とリビア問題
トランプ米大統領は、エルドアン大統領と電話会談し「外国の介入はリビア情勢を複雑化させる」と指摘し、リビア派兵の動きを進めるトルコをけん制した。
トルコ国会は、国家分裂状態のリビアのシラージュ暫定政権を支援するため、軍の派遣を決めた政府提案の動議を賛成多数で承認した。派兵の時期や規模は不明だが、エジプトやサウジアラビアは反発している。
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