“波乱の幕開けか?”

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明けましておめでとう御座います。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。

お屠蘇気分が冷めやらぬ1月3日、とんでもないニュースが飛び込んできた。

アメリカ軍のドローンによる攻撃でイランの革命防衛隊コッズ部隊司令官のソレイマニと、イラクの親イランシーア派民兵組織であるカタイブ・ヒズボラの指導者であり、イラクのシーア派民兵の連合体である人民動員隊(PMU)の副司令官であるムハンディスが殺害された。

ソレイマニはイランでは最高指導者のハメネイ師に次ぐナンバーツーと目されている重要人物で、イラン国民の怒りは凄まじい。
また自国民を殺されたイラクの反発も大きい。

ハメネイ師は3日間の喪に服した後、ソレイマニ司令官の復讐を行うと宣言しており、それに対抗するためアメリカも中東へ米軍3500人の増派を決めた。
またトランプ大統領はイランが報復で米国人や米国の施設などを攻撃した場合に“イラン関連の52カ所を標的にとても迅速かつ激しく攻撃する。”とツイッターに書き込み、“米国は2兆ドル(約216兆円)を軍の装備に支出し、世界最大だ。”とも警告した。
報復が報復を呼ぶ負の連鎖が起きることが懸念される。

何故トランプ大統領は突然この行動に出たのであろうか?
それは“イラン関連の52カ所を標的”の52に意味がある。
52とは1979年に起きた在イランアメリカ大使館人質事件の人質の人数であり、イランを毛嫌いするアメリカ人には象徴的な数字である。
この人質事件は解決までに14ヶ月を要し、時のカーター大統領に対する弱腰が批判されて“強いアメリカ”を掲げた時期大統領となるレーガンに選挙戦で敗北することとなった。

弾劾問題で追及されているトランプ大統領としては、再選の為の人気を維持する為にもここら辺でイランを叩いておくことは極めて重要だったのではなかろうか?

イランは、恐らく圧倒的な軍事力を誇る米国と全面戦争を試みる様な馬鹿な事は起こさないであろうが、アメリカの軍事基地や大使館などを狙った局地的な攻撃を行うであうことは想像に難くない。

正月早々とんでもない地政学的リスクが勃発したと言っても良かろう。

今朝の東京市場はこれを受けて107.85と金曜日の終わり値109.11から窓を開けて始まり、一時107.77の安値を付けたがその後じわじわと値を戻し、午後2時半現在108.05近辺で取引されている。

それに比べて株価の下落は凄まじい。
同じく午後2時半現在で日経平均株価は2%安の約23,180円(約470円安)で取引されており、外為市場の実需のドル買い現象と株式市場の実需の株売り現象との対照が興味深い。

此れも2020年の相場展開を占っているのであろうか?


ところで日曜日発刊の日経ヴェリタスが、アナリストやストラタジストに対して年初恒例の相場アンケートを実施したのでご披露したい。

68名が参加した円高・円安予想の円高平均は104.21で、最も円高を予想したのは98.8であった。
1円刻みで最も多かった相場は105.00(16名)で次点が100.00(10名)、 次々点は104.00(9名)であった。
66名(2名は時期予想をしなかった。)が予想した最も円高となる時期は、
1月3名、2月12名、3月8名、4月2名、5月2名、6月6名、
7月1名、8月6名、9月5名、10月8名、11月3名、12月10名となって最多が2月(12名)、次は12月(10名)であった。

円安平均は113.20で、最も円安を予想したのは119.00であった。
1円刻みで最も多かった相場は112.00(17名)で次点が115.00(16名)、次々点は114.00(9名)であった。
66名が予想した最も円安となる時期は、
1月4名、2月4名、3月6名、4月5名、5月4名、6月4名、
7月3名、8月1名、9月1名、10月8名、11月3名、12月23名となって最多12月(23名)が圧倒的で次点は10月(8名)であった。

まとめてみると、2020年の円高予想の平均は104.21で2019年の最も円高相場(104.44)に近い。
時期は結構ばらけており、春に掛けて円高傾向となり秋に向けて円安傾向となるが、下でご披露する最も円安を予想する12月が円高予想の次点に来ていることも面白い。

円安予想の平均は113.20でこれも2019年の最も円安相場(112.40)から大きくは逸脱していない。
時期は10月以降が約半数を占めており、秋から年末に向けて円安傾向となると見ている。

これは秋の米大統領選が終わり、トランプ大統領のドル安政策に変化が有ると見ているのであろうか?


今年も再び波乱の幕開けで始まったが、米大統領選挙、中東と北朝鮮の地政学的リスク、通商問題から人権問題へと変化しつつある米中問題、Brexit.の行方などリスクオフとなる要因は多く存在するものの、日本国債の大量償還を控えて運用先に悩む本邦機関投資家の外物(そともの)に対する実需のドル買いも大きかろう。

どうやらアンケート通りの104.21~113.20のレンジを大きく逸脱することはないのだろうか?

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