総括
利下げか、GDPに落胆、喧嘩外交続く
*通貨最下位、株価10位
(先週=製造業PMI GDP 消費者物価、今週=政策金利 経常収支 鉱工業生産)
予想レンジ トルコリラ/円 18.2-19.2
(ポイント)
*3Q・GDPは予想を下回った
*11月インフレは10.56%で10月の8.55%から上昇
*今週は利下げか
*経常収支は3か月連続黒字
*内外の機関が成長見通しを上方修正
*来年は5%成長を目指す(政府)
*外交でトラブルが多すぎる
*1月にトルコ・ロシア首脳会談あり
*米露とはミサイル購入問題がある
*IS戦闘員を出身国に年内送還
*EUが対トルコ制裁を決定(キプロス沖での石油開発で)
*フィッチが格付け見通しを上方修正
*大統領支持率が上昇
*EUとの間で難民問題あり
*観光業は好調
*海外からトルコ国内への投資は増加
*トルコは軍事でよりロシアに接近している
(市況)
反落しボリバン下限も下抜いている。対円19円への定着は難しかった。最近の経済指標の改善や、国際機関の成長見通し上方修正で期待された3Q・GDPが予想を下回ったことや、米国雇用統計の改善でドルが急伸したことがトルコリラを下落させた。
(弱かった3Q・GDP)
3Q・GDPは前期比0.4%増と予想の2.5%増を大きく下回った。前年比では0.9%増と予想の1%増を下回った。公的セクター、家計とも支出にブレーキをかけた。上昇の一途をたどる失業率と高いインフレ率で失った人気の回復に躍起のエルドアン大統領は、今回のGDP統計に焦りを感じる公算が大きい。トルコには利下げや歳出拡大による景気刺激策を打つ余地がほとんどないとみる投資家にとって、拡張的な政策がとられる可能性は不安材料だ。ただ、アルバイラク財務相は4Qの先行指標は経済成長の勢いが増し続けていることを示していると述べている。
(今週は政策金利と経常収支)
中銀は12日に政策金利を現行の14%から1.5%引き下げて12.5%とする見通しだ。景気を回復させるとともに、実質金利を大半の新興国市場よりも低い水準に引き下げるため。インフレは再び二ケタ台にのせ、リラ安もあるが景気減速も補わないといけない。
経常収支は改善傾向を続けている。3か月連続黒字。今回は10月分で予想は16億ドルの黒字。
(外交問題)
外交では依然問題が多い。ロシアとトルコは、ロシア製ミサイル防衛システム「S400」を追加でトルコに納入する契約について作業を進めている。トランプ大統領は「トルコへの経済制裁を現在検討しており、協議しているところだ」と表明した。またマクロン仏大統領は、「トルコはNATO加盟国であるにもかかわらず、シリアにおける過激派組織「イスラム国」(IS)掃討戦で共闘したクルド人勢力をテロ組織に認定するようNATOに要求していると批判し、トルコがNATOにとどまることの正当性に疑問を呈した。
(大統領は金利とインフレ率、1桁台を目指す)
エルドアン大統領は、2020年に1桁台の金利とインフレ率を達成すると表明し、これにより投資拡大への道が開かれるとの見方を示した。
(米国からの経済制裁は)
トランプ米大統領は12月3、トルコによるロシア製の地対空ミサイル「S400」の購入を巡って、トルコへの制裁措置を検討していると明らかにした。
トランプ氏は「トルコへの制裁を現在検討しており、協議しているところだ」と表明。その上で「周知の通りトルコは当初、米国製の地対空ミサイル『パトリオット』を購入したがっていた。それなのにオバマ前政権はトルコの購入を認めず、トルコが他のミサイルを購入する段になって慌てて動きだす始末だった」と語った。
テクニカル分析(トルコリラ/円)
ボリバン下限下抜く弱さ
日足、再びボリバン上限に到達も反落。11月28日-12月2日の上昇ラインを下抜く。ボリバン下限も下抜く。12月6日‐9日の下降ラインは上抜くか。12月5日-6日の下降ラインが上値抵抗。
週足、雲に近づくも下落。11月18日週-25日週の上昇ラインを下抜く。10月7日週-14日週の上昇ラインがサポート。
月足、19年5月-7月、8月10月の上昇ラインを下抜く。19円に定着せず下落
年足 4年連続陰線、今年も陰線。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
メルハバ
日本はトルコを投資適格級に格付け
世界の格付け会社大手3社はトルコをジャンク債級に格付けしているが、
日本格付研究所(JCR)は、経常黒字によりトルコ経済が再び回復に転じたことを公表、「トルコ経済は回復中」として投資適格を維持している(BBB-、見通しネガティブ)。
トルコのインフレが対アメリカ関係の改善や公共インフラ支出における減少に続いて安定を取り戻したとされた。「これらの進展によりトルコ当局は、国際通貨基金(IMF)も含めた外部支援に依存することなくインフレを自力で食い止めることに成功した」と述べられた。
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