総括
今週はGDP、資源価格は底堅い。通貨7位、株価14位
予想レンジ 南アランド円 7.0-8.0
(先週=企業信頼感 卸売物価 貿易収支、今週=GDP 経常収支)
(ポイント)
*今週はGDP
*4Q企業景況感指数は改善
*S&Pは格付け見通しを引き下げた
*低成長、財政赤字が問題
*資源価格の底堅さが南アランドを支える 貿易収支は改善
*政策金利は据え置き、CPIは低下
*ムーディーズはジャンク債級への格下げは行わなかったが財政の問題は残る
*9月小売売上は冴えず
*中銀国有化の議論が再び始まる
*大統領の財政改善や海外からの投資呼び込みの効果が出るか
*エスコム社は再び停電を計画している
*ムーディーズはエスコム社を格下げ
*2016年から安定しているのは貿易収支の改善から
*世銀は成長見通しを下方修正
*土地収用問題では温和な報告書が提示された
*2Q・GDPは予想外の改善
*移民排斥運動が勃発
*中銀はランドの平均的な水準を1ドル14.5としている
(市況とS&P)
先週はS&Pの南ア信用格付け見通し引き下げに始まったが、週を通じては上昇した。S&Pは経営再建中の電力会社エスコムを向こう3年で分割し、電力部門の包括的改革を目指す南ア政府の計画について、「いくらか楽観的」との見解を示した。ただ、「支援案により財務面での柔軟性が改善すれば、エスコムにおいて意図せぬデフォルトが生じるリスクや、政府保証債務のリスクが減じることになる」と評価した。
S&Pはエスコムの信用格付けを「CCCプラス」、格付け見通しを「安定的」で据え置いた。
(企業景況感指数改善、今週は3QのGDP)
4Qの企業景況感指数は、26ポイントと2年ぶりの改善を示した。住宅建設の活況と、年末需要を期待した小売業界の動きが背景にある。3Qは21であった。
今週は3Q・GDPの発表がある。2Qは前期比で3.1%増と強い成長を見せたが、3Qの予想は0.1%増に減速する。マイナス成長とならなければ良いが。
(IMFの警告)
IMFは南アに関する審査終了を受け、同国が経済改革を迅速に進めない限り、失業率の悪化や格差の拡大など長引く景気低迷を招く恐れがあるという見解を示した。IMFは19年成長見通しを従来の1.2%から0.5%に引き下げたばかり。迅速な改革を行わなければ来年の成長率も阻害されると警告した。政府は来年2月の2020年・21年度予算で財政や国有企業、債務安定の問題に関して明確な対応策を打ち出す必要があるとした上、取り組みが見られない場合、「金融の安定性が損なわれ、国のリスクプレミアムも一段と上昇する」と述べた。
(資源価格は底堅い)
今年、ランドが大きくは売られていないのは年初来45%上昇のパラジウムを始め、金銀、白金などの価格が上昇し貿易収支も改善しているからだろう。
(高リスク・無担保融資増加が金融安定に脅威、中銀)
中銀は、金融部門安定に関する年2回のリポートを発表、リスクの高い無担保融資が増加し、金融セクターの安定に脅威をもたらしているとの見解を示した。
南アでは、経済が低迷する中、生活コストが上昇し、失業率が30%に迫る水準に達している。このため多くの貧困層は、一般に高金利な無担保融資に依存している。
中銀は、今年下半期に無担保融資比率が急上昇しているとし、家計に対する圧力が高まる中で金融部門の安定に脅威が生じていると指摘した。リポートで中銀は、「家計は、物価や金利の急激な上昇といった経済環境の衝撃に対して特に敏感だ。したがって、家計部門が多額の債務を抱えることは懸念材料となる」とした。
(最近の南アの格付け)
ムーディーズだけが投資適格級に格付け、フィッチとS&Pはジャンク債級に格付け。
見通しは3社ともにネガティブ
テクニカル分析(ランド/円)
ボリバン上限到達
日足。11月22日-25日の下降ラインを上抜く。11月27日-29日の上昇ラインがサポート。ボリバン上限。5日線上向き
週足。11月18日週-25日週の上昇ラインがサポート。4月15日週-7月22日週の下降ラインが上値抵抗。
月足。7月-8月の下降ラインを上抜く。8月-10月の上昇ラインがサポート。18年12月-19年1月の下降ラインが上値抵抗。
年足、16年-18年の上昇ラインを下抜く。15年-18年の下降ラインが上値抵抗。
喜望峰
日本人が逮捕される、アルマジロトカゲ
絶滅の危機にあり、ワシントン条約で取引が規制されているアルマジロトカゲを違法に所持していたとして、南アの裁判所は日本人の男2人に禁錮6年と4年の有罪判決を言い渡した。
南ア紙タイムズによると、2人は貴重な野生動物の所持などを禁じた同国の法律に違反した疑いがあるとして、9月に逮捕されていた。少なくとも5匹を所持していたという。
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