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【ファイナンス】新型iPadの価格から学ぶ、外貨積立やFXのドルコスト平均法が危険な理由

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(※写真はイメージ)

Appleが3月18日に新型iPad miniとiPad Air、19日にiMac、20日にAirPodsの新モデルを発表しました。

今度のiPad miniはApple Pencilに対応するとあって、iPad ProとApple Pencilを使って簡単なメモをとったり、考えを整理したりしている私にとって、非常に魅力的な製品となりました。

今回は、この新型iPad miniの価格から為替レートの数値と、その本質的な意味を解説し、FX取引に対してどのような意識を持つと良いのかを考えてみたいと思います。

新型iPad miniの価格から為替レートを計算

為替レートのレートとはRateのことで、比率を意味します。
そして、為替レートとは2通貨の交換比率のことで、例えば、1ドルを何円で交換すればいいのかを表しています。

為替レートの決定理論はいくつかあります。
長期的な名目為替レートを評価する方法として購買力平価説があります。

「異なる2国間でそれぞれ同じモノが売られているとき、そのモノの価値は本質的に等しい」とする仮定から為替レートを計算する考え方です。

購買力平価説から算出される有名な為替レートが「ビッグマック指数」なのですが、今回は新型iPad miniを使って算出してみます。

新型iPad miniは、アメリカのAppleストアでは399ドルで売られていました。
一方、日本では45,800円です。

アメリカのiPad miniと日本のiPad miniの製品としての価値は同じのはずなので、以下の等式が成立します。

アメリカのiPad [ドル] = 日本のiPad [円]

※ 簡単のため、以下iPad miniの価格をiPadとします。

1ドルを何円で交換すればいいのかの交換比率を計算すると、

⇔  399 [ドル] = 45,800 [円]

⇔  1 [ドル]= 45,800 ÷ 399 [円]

⇔  1 [ドル] = 114.787 [円]

つまり、購買力平価説からは

為替レート(2通貨の交換比率) = 日本のiPad/アメリカのiPad

であることが算出されます。

この114.787ですが、実際の為替レートとは若干異なる数字になっています。

それは、輸送コストや関税、消費税などによって、実は購買力平価説の「2国間でそれぞれ売られているモノは、同じ価値を持つ」という仮定が、成り立たないためです。

ただ、これから紹介する為替レートの変動の考え方には、大きな影響はありません。
そこで為替レート = 日本のiPad/アメリカのiPadで説明します。

株価は無限大に発散してもいいが、為替レートは交換比率。ゼロや無限大はありえない

ここで株の話になりますが、株価は対象の企業の業績や財務状況をもとにして計算された値なので、企業の関係者は、株価が無限大に発散しても困りません。

株価が無限大になるということは、企業業績や財務状況が非常に素晴らしいということなので、企業の経営者はハッピーになっているはずです。
また、そのような会社の給料はいいでしょうし、社会的ステータスも高くなるでしょうから、働いている授業員もハッピーでしょう。
さらに、そのような好業績の企業が支払う税金の額も大きいでしょうから、その企業がある国や自治体の財政も潤うでしょう。

このように、 一般的に株価が無限大に発散するような状況を、嫌がるような企業の関係者はいません。
そのため理論上、株価は上昇し続けることが望まれます。

しかし、為替レートは無限大に発散して良いのでしょうか?

為替レートは2通貨の交換比率であるため、無限大に発散してはいけません。

為替レート(2通貨の交換比率) = 日本のiPad/アメリカのiPad

この式で為替レートが無限大に発散するときの条件は、日本のiPadが無限大になるか、アメリカのiPadが限りなくゼロに近づくようなときです。

日本のiPadが無限大の価格になったり、アメリカのiPadがゼロに近い価格になったりするような経済状況は、どちらかに大問題が発生してしまいます。

逆に、為替レートがゼロに収束するとき。
つまり、日本のiPadが限りなくゼロに近づくような状況や、アメリカのiPadが無限大の価格になるような経済状況ですので、どちらかに大問題が発生しているはずです。

整理すると、株価は無限大に発散してよく、企業の関係者は、株価上昇を望みますが、為替レートは交換比率なので、ゼロに収束したり、無限大に発散したりすることはありえませんし、そのような極端な状況は望まれないということがわかると思います。

長期的視点からみた為替レートはどのように動いているのか?

ゼロに収束したり無限大に発散したりすることはない為替レート。

それでは、為替レートは長期的にどのような値動きをするのか、外為情報ナビのチャートでトレンドラインを引いて確認しました。

米ドル/円 月足 2002年4月〜

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ユーロ/円 月足 2002年4月〜

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ユーロ/米ドル 月足 2002年4月〜

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豪ドル/円 月足 2002年4月〜

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ポンド/円 月足 2002年4月〜

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上記5つの通貨ペアは、外為情報ナビの通貨ペア選択ボックスの上から5つのものなのですが、どの通貨ペアのチャートも2本以上のトレンドラインが引けました。

2002年からという限られた期間ですが、長期的視点からみた為替チャートでは、数年間続く上昇トレンドと下降トレンドの波が確認できると思います。

為替レートは2国間の通貨ペアの交換比率です。

国の経済には好景気や不景気の波があり、二国間のインフレ率格差の変動、金利差の変動、生産性格差の変動等のさまざまな要因の組み合わせよって、それぞれの通貨の需要が変化し、数年間継続する上昇トレンドと、下降トレンドの波を形成していくのだと思います。

外貨預金やFXなどの外貨投資をするときの注意

前回の記事でも紹介しましたが、外貨の金利よりも為替レートの変動率は大きくなります。
そして、その変動は上にも下にも動きます。
その上下の変動が、長期的には数年間続く上昇トレンドと下降トレンドの波を形成していくことを確認しました。

そのため、高金利や高スワップポイントだからといって、むやみに外貨に投資するのではなく、まず、長期的視点から、その為替レートが上昇トレンドなのか、それとも下降トレンドなのかを確認してください。

スワップ狙いで安易に買いポジションを持ち、含み損をどんどん大きくさせているFX初心者の方は想像以上に多いのです。

外貨積立やFXのドルコスト平均法が危険な理由

外貨積立の広告の説明
最後に、インターネット上で外貨積立を勧める広告の危険性について、簡単に説明します。

外貨積立の広告を見ると、毎月一定額の金額で外貨を購入するので、購入時期をずらすことで、時間分散効果が発生して、リスクが抑えられると書いてありました。

また、一定の金額で外貨を購入する方法は、ドルコスト平均法と同じ投資手法であり、平均購入単価を下げることができると書いてありました。

外貨積立だけではなく、FXに関するサイトにも、ドルコスト平均法でリスクが抑えられ、とても有益であると書いてありました。
果たして本当にそうなのでしょうか。

外貨積立もFXのドルコスト平均法による投資も結局は買いポジション

しかし、外貨積立もFXのドルコスト平均法にもとづいた投資も、結局は買いポジションなので、最終的に決済するときの価格が、平均購入単価よりも高くなければ、利益は出ません。

下落トレンド中に外貨積立をしても、ドルコスト平均法で、平均購入単価を下げたとしても、含み損は広がるばかりです。

時間分散によってリスクが抑えられるとか、ドルコスト平均法を使うので平均購入単価が下げられるとか、耳障りのいい言葉に惑わされず、為替レートは2通貨の交換比率であり、上昇トレンドと下降トレンドの波を繰り返すものだという認識を再確認し、外貨に投資する前に、長期的視点でチャートを確認するようにしてください。

岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。