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【ファイナンス】年間の変動率と手数料から判断するFXが外貨預金よりもお得な理由

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「円預金でお金を貯金しても、今の低金利では利息がつかない」ということで、高金利の外貨預金を紹介するサイトがインターネット上にたくさんあります。
そのようなサイトでは、「外貨預金は高金利で低手数料」とうたっていますが、果たして本当にそうなのでしょうか。
そこで今回は、外貨預金の金利、手数料率、外貨の変動率をわかりやすく紹介するとともに、FXよりもメリットがあるかどうかを検証してみましょう。

日本の超低金利と比較すると、確かに外貨預金は高金利

日本銀行のマイナス金利政策で、国内銀行の金利は今、超低金利となっています。
その金利と比較すると確かに外貨預金の金利は魅力的に映ります。
具体的にはどの程度の金利が設定されているのでしょうか。
「外貨預金」で広告を出している2つの金融機関の金利を調べてみました。
数字は年利で、1年もの定期預金の値です。

1)メガバンクグループ系信託銀行の定期預金金利(2019/02/07現在)

円定期金利 0.010%

この金利は20.315%(国税15.315%、地方税5%)の源泉分離課税が徴収されるので、計算すると以下のようになります。

0.010%×(1 - 0.20315) = 0.00796850%

つまり、この金利で100万円を運用したときの実際の利息は
100万円×0.00796850% = 79.685円
1円未満の金利の端数部分は切り捨てるのが一般的なので、79円となります。

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国内金融機関で外貨預金をする場合、利息に対する税金は、円を預けた場合と同様の税金が徴収されます。

ここでは、為替手数料や為替レートの変動を考慮せず、100万円を税引後金利で運用したときの利息を計算してみます。

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2)ネット専門銀行の定期預金金利

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2つの金融機関を調べると、ネット専門銀行が実店舗の運営コストを削減しているためか、より高い金利でサービスを提供していることがわかります。
他行や営業時間外にATMを利用したときの手数料は100〜200円程度です。
このように100万円を運用した場合で、実際の利息を計算すると、高金利の「外貨」の魅力は、よりわかりやすくなります。
ただ、外貨預金では、「為替手数料」と「為替レートの変動」を考慮しなくてはなりません。

為替手数料を割合で表示してみる

外貨預金の広告を見ると、米ドルの為替手数料は「50銭」や「4銭」などの数字が記載されています。
この手数料が高いのか、それとも低いのかを判断するために、購入金額に対する手数料の割合を計算してみます。

1)メガバンクグループ系信託銀行の為替手数料の割合(2019/02/07現在)

円から米ドルへ交換するときの為替レート 110.98
米ドルから円へ交換するときの為替レート 108.98

上記の為替レートで100万円を外貨預金してみましょう。

まず、円から米ドルに交換します。
1セント未満は切り捨てです。

100万(円)÷110.98(円/米ドル) = 9,010.63(米ドル)

外貨預金口座に9,010.63米ドルが預けられました。

では、この瞬間、資産は日本円でいくらになるのでしょうか?
この外貨を日本円に交換してみます。
1円未満は切り捨てです。

9,010.63(米ドル)×108.98(円/米ドル) = 981,978(円)

100万円の「モノ」を購入した瞬間に、その価値が981,978円と評価されていることがわかります。

この差額、18,022円が為替手数料なのです。
100万円の「モノ」を購入した瞬間に、18,022円の手数料を支払っているわけですから、その割合を計算してみると、

18022÷1000000×100 = 1.80%
つまり、この銀行で外貨預金すると、1.80%の手数料を取られるのです。

この銀行の米ドル1年もの定期預金の税引後金利は0.47811000%でした。
つまり、為替レートがまったく変動しないと仮定すると、1年間預けただけでは、赤字になってしまうことがわかります。

それでは手数料の割合の一般式を求めてみましょう。

日本円での預け入れ金をD(円)
円から外貨への為替レートをA(円/外貨)
外貨から円への為替レートをB(円/外貨)
とします。


円から外貨へ交換したときの外貨の数量は、

D÷A = D/A(外貨)

この外貨がBのレートで評価されるので、外貨預金した瞬間の資産(円)は、
D/A×B = D×B/A

手数料は、

預け入れ金 - 外貨預金した瞬間の資産価格
= D - D×B/A
= D (1 - B/A)

手数料の割合は、

手数料÷預け入れ金
= D (1 - B/A)÷D
= (1 - B/A)
= (A - B)/A

ここで、
A - B
= 円から外貨への為替レート - 外貨から円への為替レート
= Ask - Bid
= スプレッド
ですから、
手数料の割合 = スプレッド/Ask
となります。


これにより、100万円を外貨預金する際の支払手数料を計算します。

支払手数料 = 100万円 × 手数料の割合

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ここで、先ほど表示したこの銀行の外貨預金の受取利息と比べてみましょう。

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このように、この銀行の支払手数料は、1年後に受け取れる利息よりも高額であることがわかります。
つまり赤字です。

2)ネット専門銀行の為替手数料の割合(2019/02/07現在)

ネット専門銀行の為替手数料についても計算してみました。

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ネット専門銀行では、1年ものの外貨預金(定期)をすると、黒字になることがわかります。
しかし、外貨預金では、「為替レートの変動」も考慮しなければなりません。

為替レートの年間変動率

外貨預金の広告には、必ず、為替レートの変動リスクについての「説明書き」があります。
預け入れた通貨が、円に対して安くなった場合に、元本が目減りする可能性についての注意が明記されています。

それでは、実際にはどの程度、為替は変動するものなのでしょうか?

外貨NEXT neoチャートから月足のデータを取得し、年間の変動率の平均と標準偏差を計算しました。

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USD/JPY 2003〜2018年の13年間の統計情報
平均年間変動率 0.026%
年間変動率の標準偏差 10.482%
これらの統計情報は、仮にドル/円レートの年間変動率が、正規分布で動くとした場合、年間変動率が-10.456% 〜 10.507%の間におさまる可能性が、約70%であるということを表しています。

AUD/JPY 2003〜2018年の13年間の統計情報
平均年間変動率 2.033%
年間変動率の標準偏差 14.261%
年間変動率は -12.227% 〜 16.294%の間におさまる可能性が約70%
(年間変動率が正規分布で動くと仮定した場合)

ZAR/JPY 2003〜2018年の13年間の統計情報
平均年間変動率 -1.912%
年間変動率の標準偏差 17.202%
年間変動率は -19.114% 〜 15.290%の間におさまる可能性が約70%
(年間変動率が正規分布で動くと仮定した場合)

外貨投資で最も考慮しなければならないのは為替の変動率

さて、金利、手数料の割合、為替の変動率を計算してきました。
外貨投資で利益を生み出す最大の要因は何だったでしょうか?

信託銀行の米ドルのデータでは、
① 金利 0.47811000%
② 手数料の割合 1.8021%
③ 為替の変動率の統計情報
・平均年間変動率 0.026%
・年間変動率の標準偏差 10.482%
 (年間変動率は-10.456% 〜 10.507%の間におさまる可能性が約70%)

ネット専門銀行の南アランドのデータでは
① 金利 4.78110000%
② 手数料の割合 3.3816%
③ 為替の変動率の統計情報
・平均年間変動率 -1.912%
・年間変動率の標準偏差 17.202%
 (年間変動率は-19.114% 〜 15.290%の間におさまる可能性が約70%)

これまでのデータから、高金利で魅力的だと思われた外貨預金ですが、高い手数料率でうま味が奪われて、かろうじて残った利息も、為替レートが円高に振れた瞬間に、すぐに消し飛んでしまうことがわかります。

円安・外貨高になるかをチャートで確認

外貨預金をする前にチャートを確認しましょう。
USD/JPY 月足 2003年〜現在

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USD/JPYは今後どのように推移すると思いますか?

もし、長期的に上昇するのであれば、米ドル預金をしてもいいと思います。

AUD/JPY 月足 2003年〜現在

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AUD/JPYは今後どのように推移すると思いますか?
2014年の高値から徐々に上値を切り下げているように見えます。
現在の価格から上昇に転じると思うのであれば、豪ドルで預金してもいいと思います。

ZAR/JPY 月足 2003年〜現在

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ZAR/JPYは今後どのように推移すると思いますか?
現在の価格から上昇に転じると思うのであれば、南アランドで預金してもいいと思います。

しかし、為替はそもそも二国間の交換比率です。

それぞれの通貨の需要によって、トレンドは決まりますが、経済大国の日本の円に対する需要と、南アフリカのランドに対する需要が逆転するのは、どちらかの国の経済に、根本的な変化が起こったときだろうと思います。

TRY/JPY 月足 2008年〜現在

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トルコリラ/円のチャートです。
2008年からずっと円高・トルコリラ安です。

高金利で人気のあったトルコリラですが、長期投資をしていた場合、ほとんどの方が為替変動で評価損を出したのではないでしょうか。

外貨預金とFXの比較

最後に外貨預金と同様に外貨に投資するFXについて、金利、手数料率、そして、為替の変動率に対応するための取引環境の観点から比較してみましょう

金利について

FXには外貨預金の金利に対応するものとして、スワップポイントがあります。
高金利通貨のポジションを保有すると、毎日スワップポイントが付与されます。
外貨預金の金利が、金融機関ごとに異なるように、スワップポイントも業者ごとに異なるため、一概に比較はできません。
ただ、外貨預金の金利は、外貨に付与され、その金利が、また金利を生み出すという複利効果が発生します。

これに対してスワップポイントはポジションごとに円として計算されて、FX口座に付与されるので、外貨の高金利の恩恵を受けることはできません。
また、円としてFX口座に預け入れていても、利息は発生しないため、金利(長期投資をしたときの複利効果)においては、外貨預金に軍配があがります。

手数料について

手数料の割合が、スプレッド/Ask で計算できることは、先ほどご紹介しました。
外為どっとコムの現在のレートで手数料の割合を計算してみます。

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これを先ほどの外貨預金と比較してみましょう。

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手数料が安かったネット専門銀行の外貨預金と比較しても、FX(外為どっとコム)の手数料の割合は、圧倒的に低いことがわかります。

為替の変動率に対応したFXの取引環境

FX会社が提供する取引環境は、外貨預金のそれとは比べ物にならないほどいいです。
1日数万件の注文を処理するために、大規模なシステムを用意し、高頻度で発注するトレーダーのニーズにも応えるような高機能取引ツールを無料で提供してくれます。
また、変化の激しい為替相場を、あらゆる角度から分析できるように、多種多彩な分析機能も搭載しています。

さて、今回は外貨預金とFXを比較してみました。
資産を増やすうえで、いろいろな投資方法があります。
ただ、それぞれで提供されるサービスは異なりますから、それぞれを深く理解しておかないと比較できません。

外貨預金を紹介しているサイトで、「長期投資は外貨預金。
リスクを取って、短期で収益をあげるならFX」というような記載をよく見かけます。
しかし、両方ともに同じ外貨に投資するので、為替変動リスクはまったく同じなのです。
むしろ、手数料が高かったり、取引環境が充実していなかったりすることを考えると、外貨預金のほうが、高リスクなのではないでしょうか。
いずれにせよ、外貨に投資をする前には、契約前取引交付書面をよく読んで、取引ルールをしっかりと把握したうえで、投資するようにしましょう。

岩田仙吉(いわたせんきち)氏
株式会社タートルズ代表/テクニカルアナリスト
2004年、東京工業大学から一橋大学へ編入学。専門は数理経済学。卒業後、FX会社のシステムトレードプロジェクトのリーダーになり、プラットフォーム開発および自動売買プログラムの開発に従事。その後、金融系ベンチャーの立ち上げに参画。より多くの人に金融のことを知ってほしいと思い金融教育コンテンツの制作に集中するために会社を創業。現在は、ハイリスク・ハイリターンの投資手法ではなく、初心者でも長く続けられるリスクを抑えた投資手法を研究中。