◆ポンド、英金利先行きに対する思惑で上下か
◆ポンド、スターマー首相の対抗馬であるバーナム氏の選挙戦に注目
◆加ドル、BOC利上げ観測の強弱に左右される展開
予想レンジ
ポンド円 210.50-216.50円
加ドル円 114.00-117.00円
5月25日週の展望
来週の英国は25日がスプリングバンクホリデーで休場となり、週を通じて経済指標の発表もない。政局の不透明感が続く中も材料が乏しく、ポンドは今週発表された雇用データやインフレ指標を背景とした先行き英金利への思惑で上下する展開となりそうだ。
今週発表の雇用統計では、4月給与所得者数がコロナ禍以来最大の10万人減となり、1-3月失業率(ILO方式)も5.0%へ悪化。ボーナス除く週平均賃金も前年比3.4%と鈍化した。20日の4月消費者物価指数(CPI)は前年比2.8%と予想を下回り、3月の3.3%から減速した。ただし、昨年4月の公共料金引き上げの反動によるもので、年内に4%前後まで再加速するとの見方が多く、インフレ懸念は払拭されていない。一方、足元の雇用悪化がイングランド銀行(BOE)の利上げ判断を難しくしており、市場が織り込む年内利上げ回数は3回から2回程度へと修正された。
政局面では、もし労働党党首選が開かれた場合、スターマー首相の有力な対抗馬と目されるバーナム・マンチェスター市長が、メイカーフィールド補欠選挙(6月18日)に立候補することが決定。同氏は今週、財政規律の維持を明言してポンド買い戻しを誘った。もっとも、補欠選挙のエリアは先の地方選でリフォームUKが大きく支持を伸ばしたところだ。同選挙を勝たなければ党首選への道は閉ざされるため、補欠選挙の支持率調査にも市場は一喜一憂することになりそうだ。
加ドルは、カナダ銀行(BOC)の利上げ観測の強弱に左右される一週間となりそうだ。今週発表された4月CPIはヘッドラインが前年比2.8%と約2年ぶりの高水準に達した。炭素税廃止に伴うベース効果が剥落したことに加え、イラン紛争の影響でガソリン価格が前年比28%超も急騰したことが主因。ただ、市場予想の3.1%は下回り、BOCが重視するコアCPIはトリムが2.0%、中央値が2.1%へとむしろ低下した。ヘッドラインの上振れは一時的な要因が大きく、物価の基調は依然落ち着いている格好だ。
短期金融市場では9月会合での利上げをほぼ確実視しており、今後12カ月で80bp以上の引き締めを織り込んでいる。しかし、BOCが13日に公表した議事要旨では、コアインフレの下向きモメンタムと労働市場の緩みを確認しつつ、「現行の政策スタンスは適切」と明記された。原油高が長引けば利上げが必要になり得るとしながらも、あくまで条件付きの判断となっている。雇用の軟調さとコアインフレの落ち着きを踏まえると、市場の利上げ観測は積み上がり過ぎの感もあり、利上げ期待の修正が加ドルの上値を抑える展開も想定される。
5月18日週の回顧
ポンドは週明けに下値を試すも、バーナム・マンチェスター市長の「財政規則は変更しない」との発言をきっかけに買い戻しが強まった。対円では211円前半から213円後半、対ドルで1.33ドル付近から1.34ポンド半ばまで切り返した。加ドルは対円では115円台で上下し、対ドルも1.37加ドル台で小動きだったが一時1.3800加ドルまで加ドル安が進む場面があった。(了)
(執筆:5月22日、9:00)
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
