昨日の海外市場では、ドル円は一時159.33円まで弱含んだ。ただ、原油先物相場が底堅く推移し、対欧州・オセアニア通貨中心にドル高が進んだ影響を受けて、159.74円付近まで下げ幅を縮めた。ユーロドルは1.1443ドルまで弱含んだ。
本日の為替市場も、引き続きイラン情勢に振らされる展開がメインシナリオ。ただし、月末・年度末フローが重なる本日は、東京仲値を中心に実需の売買が通常以上に膨らみやすく、明確なニュースがなくとも相場が急変するリスクには警戒しておきたい。
イラン情勢を巡っては、英紙が報じたところによれば、トランプ米大統領は「イランの石油を奪い、輸出拠点であるカーグ島を占領できる」と発言。空爆を4月6日まで見送る一方で、資源確保とホルムズ海峡の掌握を視野に入れる強硬姿勢が透ける。こうした構図のもとでは、イラン側が安易に停戦へ傾くとは考えにくい。短期間で終了するとされていたロシアのウクライナ侵攻が5年目を迎えているように短期決着の思惑は後退し、戦線の長期化を織り込む流れが強まりやすい。結果として、原油高を背景としたドル需要は当面底堅さを維持しそうだ。
もっとも、カーグ島の掌握は言うほど単純ではない。イランの徹底抗戦は織り込み済みとしても、同島はホルムズ海峡から約500kmと距離があり、仮に制圧したとしても輸出ボトルネックの解消には直結しない。加えて、民間インフラへの攻撃は国際人道法上のリスクも孕む。仮に米兵の犠牲が増えれば、低下基調にある支持率への打撃は避けられず、政権にとってもハイリスクな賭けとなる。
こうした地政学リスクが主導する地合いの中で、本日は年度末フローがもう一つの注目動向となる。昨年は仲値にかけて円売りが優勢となったが、その後は株安に押され失速。本日も仲値前後にかけてピンポイントで流動性が歪み、短期的な値動きが増幅される可能性が高い。
為替介入については、三村財務官が「この状況が続けば断固たる措置が必要」と踏み込んだ。ただ、足元の円安は円単独ではなくドル全面高の色彩が強い。ドル高局面で円だけを買い支えても、効果は限定的となる公算が大きい。介入警戒は残るが、トレンド転換の決定打とまでは見込みづらい。
なお、本日は2月失業率と3月東京都区部CPIが発表予定。都区部CPIは全国版の先行指標とされるが、足元のエネルギー価格上昇の影響はなお限定的で、前年比+1.8%程度と前月並みの伸びが見込まれている。インフレ加速の有無というより、現状維持を確認するイベントにとどまる可能性が高い。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
