先週末のニューヨーク為替市場でドル円は反発した。有事のドル買いや米金利先高観の強まりに後押しされ、一時159.39円まで上げ幅を広げた。ユーロドルは1.1525ドルまで下落も、ECBの早期利上げ観測が支えとなった。ユーロ円が184.26円まで上値を伸ばした。
23日の東京外国為替市場でドル円は、先週同様に中東情勢を注視しつつ神経質に振れる展開となりそうだ。週末にかけて中東情勢は一段と緊迫し、有事のドル買いが改めて意識されている。
トランプ米大統領の発言は相変わらず揺れている。20日に対イラン軍事行動の縮小を検討する考えを示したものの、日本時間22日には「イランが48時間以内にホルムズ海峡を開放しなければ発電所を爆撃する」と警告した。一方、イラン側は発電施設が攻撃を受けた場合、ホルムズ海峡を完全に封鎖すると強硬な姿勢を崩していない。
焦点は、中東リスクが原油相場と米金利にどう波及し、それがドル円にどう跳ね返るか。ドル円と原油先物の連動性は、米国・イスラエルとイランの軍事衝突が始まって以降、かなり強まっている。原油高を通じたインフレ再燃懸念から、先週後半は米利下げ観測が急速に後退し、年内利上げ観測まで浮上した。
そうしたなか、今週も米連邦準備理事会(FRB)高官の発言や米財務省による中期債入札への関心が高まりやすいだろう。エネルギー高と米金利上昇観測の組み合わせが続くなら、ドル円は地政学リスク(有事のドル買い)と金利の両面から支えられやすい。
ドル円が160円台を見据えるなか、本邦通貨当局による円買い介入への警戒感も高まってきている。先週の日米首脳会談では高市首相がうまく立ち回ったとの評価が多く、日米関係の安定が改めて意識された。市場では、日本側が為替対応を取りやすい環境が整ったのではないかとの見方も広がりやすく、ドル円が一段と上値を伸ばす局面では介入警戒が上値抑制要因として意識されるだろう。
国内要因では、連合が公表する春闘の第1回回答集計結果が注目される。先週は大手企業を中心に高水準の回答が相次いだが、日本の雇用の大半は中小企業が担っており、ここで賃上げが広がらなければ家計全体の所得押し上げにはつながりにくい。日銀も中小や非製造業への波及を重視しているとみられ、結果次第では日銀の先行きの金融政策観測が変化し、ドル円の方向感を左右する可能性がある。
また今週は、3月末を控えた本邦企業や機関投資家のレパトリの動きにも注意が必要となる。海外で保有する外貨建て資産や収益を国内へ戻す円買い需要は、規模やタイミングこそ読みにくいが、ドル円の下押し要因になり得る。本邦通貨当局の円安阻止への動きが警戒されるなか、実需の円買いが続くようならば、短期筋の持ち高調整を誘う場面がありそうだ。
(小針)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
