昨日の海外市場でドル円は、強弱まちまちな内容となった米経済指標後には155.40円を挟んで上下に振れたものの、次第に上値の重さが意識されると一時155.01円まで下押した。ユーロドルは、欧米金利差縮小への思惑からユーロ買い・ドル売りが出た。1.16ドル台半ばで下値の堅さを確認すると、1.1678ドルと10月17日以来の高値を更新した。
本日の東京時間でのドル円は、市場を動意づけるようなイベントが少ないことで、本邦や時間外の米債券市場の動きを睨みながら神経質な値動きになりそうだ。
来週には米連邦公開市場委員(FOMC)が行われ、その翌週は日銀金融政策決定会合とこれまで延期になっていた米国の重要経済指標が発表される。今年最後のイベントを前に、市場は思惑的な動きで上下を繰り返している。本日は本邦の対外対内証券売買契約等の状況と豪州から貿易収支が発表される以外は市場が注目するイベントがなく、ここ最近は神経質な動きを見せている日米の債券市場や株式市場に連れて、ドル円は動くことになりそうだ。
ドル円を支えるのは、引き続き日米金利差縮小期待が高まっていること。FOMCでの利下げ確率は9割弱まで上昇し、日銀の利上げも概ね市場が織り込んではいる。ただ、市場が注目するのは12月の結果だけではなく、来年初旬に米連邦準備理事会(FRB)が利下げを継続するのか、日銀の追加利上げが行われるかに焦点は移りつつある。
昨日、ウォールストリートジャーナル(WSJ)紙のティミラオス氏が、昨日予定されていたヴァンス副大統領とFRB議長候補のインタビューが中止されたのは、トランプ大統領がすでに議長を決め、それがハセット米国家経済会議(NEC)委員長なのではないかとの憶測が広がった。ハセット氏がFRB議長に就任すれば、トランプ大統領の意向を組み、来年も利下げを継続するとの予想が高まっている。一方、国内では植田日銀総裁が利上げしても「まだ緩和的」と述べるなど、12月以後も金融引き締めが継続されるとの予想もある。これらの動きが進めば、米財務省が公表した「アベノミクス導入から12年が経過し、状況は大きく変化していることから、インフレ期待を安定させ、為替レートの過度な変動を防ぐ上で、健全な金融政策の策定とコミュニケーションが果たす重要な役割を強調した」と米国側の要望通りの結果になるだろう。
一方、高市政権のプライマリーバランスを無視した財政政策に対する懸念は強く、引き続き長期的には円安トレンドが続くとの予想も多い。本邦の2・10年債利回りが17年ぶりの水準まで上昇しているのは、日銀の利上げ期待だけではなく、放漫財政による債券売りという側面もある。堅調な株式市場とは異なり、債券市場では日本売りとなっている。昨日は豪ドル円やポンド円が年初来高値を更新したが、株高でのリスク選好という正の側面だけではなく、日本売りによる負の側面もあることが円安の流れを止めにくそうだ。
なお、本日も豪ドルの動きにも注目したい。昨日発表された7-9月期国内総生産(GDP)は予想を僅かに下振れたが、4-6月期分は前期比、前年比ともに上方修正された。株高もあり豪ドルは対円で年初来高値を更新したほか、対ドルでも10月下旬以来の0.66ドル台まで上昇。来週8-9日に豪準備銀行(RBA)理事会が開かれ、RBAが更にタカ派に転じる可能性がある。また、11日には豪雇用統計も発表されることで、豪州のイベントを前に豪ドルが上値を狙いに行く可能性もありそうだ。
(松井)
・提供 DZHフィナンシャルリサーチ
